【インタビュー】「食べることを力に変えて」
たかはしみえさんの考える暮らしとは?
マクロビからも自由に
33歳からマクロビオティックの食生活を実践してきたみえさんは、ホルモンバランスが良くなり、体のむくみも取れ、健康になっていった。
子宮内膜症は改善され、生理痛はなくなり、月経血コントロールもできるようになった。
「若い頃には子どもを欲しいとは思わなかったの。子宮内膜症だったから、本能的に欲しなかったんでしょうね。でも体の調子が良くなっていくと、子どもを産みたくなりました」
残念ながら流産をしたが、離婚が決まるまでは人一倍働けた。
「離婚後、今までの体調とは違ってきて、それを全部離婚のせいにしていたの。それから食事についても過信していたことに気づいたの」
マクロビオティックの食事をしていれば大丈夫と信じていたので、自分の体のケアを怠っていた。
「人にはビワ葉温灸やこんにゃく湿布の手当てをしていたのに、自分はまったくしなかったのよ」
たまたま出会った鍼灸医に、「今までとは違う巡りに入っているから、動物性をちょっとは摂らないと体の血液を作るのに間に合いません」と言われる。
カラダの変わり目と環境の変わり目で受けたストレスの影響が大きいのだと感じ、それからは動物性も適度に食べるようになり、セルフケアとして朝晩にお灸をするようになった。
「人生初の『推し』は久司先生。ニューヨークに100人連れてこいと先生に言われたら、連れていったくらい。今でも尊敬は続いていますが、今は重たい看板もなくなって、お料理をみんなと一緒に楽しんでいるのよ」
みえさんは生徒たちのことを「魔女っ子」と呼んでいる。
以前は生徒に厳しく指導するのが当たり前と思っていたが、今では「みんなと一緒に、体と心全体を見よう」というスタンスに変わっている。
マクロビオティックとは、哲学者の桜沢如一が提唱し、久司道夫が世に広めた玄米菜食の食養法。正食とも言われ、従来は厳格な食事療法的な面が強かったが、みえさんは日常を美しく楽しくする方向でマクロビを伝えている。作り、そして食べ、心と体を整える。
百年先まで残したいもの 奥出雲へ
2023年秋、自身のルーツでもある奥出雲に拠点を作った。
みえさんが提唱する「フードレメディ」、日本の四季を感じる「二十四節気暦」を中心とした食材の選び方や食べ方暮らし方を現実化していくためだ。還暦を過ぎたみえさんは、奥出雲から日々の暮らしを整えるSBNR(Spiritual But NotReligious)の活動を始めた。
「本当の意味で自然界とつながる暮らしを、今、体感しています。日本人が大切にしてきた『食と祈り』を結びつけて考える暮らしをもう一度食卓に再現してほしい。お鍋での玄米ご飯の炊き方、『お箸おき』の使い方を伝えたい。奥出雲に、そんな『暮らせる博物館』を作りたいのよ」
〜私を支えるもの〜
撮影/白井裕介 聞き手・文/石田紀佳 編集/鈴木香里
※大人のおしゃれ手帖2024年6月号から抜粋
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