【50代から注意したい】
女性疾患プロファイル
〜骨粗しょう症とは?〜
心身のさまざまな変化を感じることが増えてくる50代。
とりわけ大きな変化が「閉経」です。単に月経が来なくなるというだけでなく、女性ホルモンの低下から病気のリスクが高まることも。
そこで、50代から注意したい女性疾患について、女性医療に詳しい善方裕美先生に伺いました。
教えてくれたのは・・・
善方裕美先生
よしかた産婦人科院長。30年以上にわたって、更年期女性のサポートに尽力する女性ヘルスケア専門医。カウンセリングやホルモン補充療法、漢方薬など多角的な治療を行う。著書に『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム)など。
正しい知識とケアで体の変化に対応する
卵巣の機能は40代からゆっくり低下し、約50歳で卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)は、ほぼゼロに。
1年間月経が来なければ「閉経」とされ、閉経を挟んだ前後10年間を「更年期」といいます。
更年期はエストロゲン分泌が順調にできなくなるため、月経不順に加え、ホットフラッシュやイライラなどの「更年期症状」が出やすい時期。その後、閉経から5年以上経過するとアフター更年期に入ります。
「エストロゲンは排卵や月経をコントロールするだけでなく、骨を丈夫にする、血管をしなやかに保つ、脂質の代謝を促す、皮膚のハリを保つなど、さまざまな役割をもっています。そのため、更年期以降にエストロゲンが急減すると、さまざまな病気のリスクが高まってきます」
代表的なものが「骨粗しょう症」や「泌尿生殖器の萎縮」。また、50代から増えてくる「乳がん」や「子宮体がん」にも注意が必要です。
さらに、「甲状腺の病気」や「関節リウマチ」など、更年期症状と似た症状が現れる病気もあります。
「大切なのは、50代に体がどう変わるのかをきちんと知っておくこと。正しい知識があれば、食事や運動など予防に気を配ったり、定期的に検査を受けるなど、対策が立てられます」
「お疲れさま」の気持ちを込めて、体の総点検を
「閉経とは卵巣が寿命を迎えることで、すべての女性に訪れる人生の中間地点。これまでのご自分に、誇りと慈しみの気持ちを持って〝よく頑張った〟と労わってあげてください。
体の総点検をすると同時に、ライフスタイルを見つめ直す良いチャンスです。これまで目的地に向かって、懸命に高速道路を飛ばしていたとしたら、これからは、一般道路をゆっくり走ってみるのはいかがでしょうか。今までとは違う景色が見えてくるかもしれませんよ」と善方先生。
「年を重ねたからこそできるようになることや、研ぎ澄まされていく感覚がある。生殖から解放された閉経後って、実はとても楽しいですよ!」とも。
まずは自分と自分の体にやさしく「お疲れさま」を。そしてこれから先の人生のために、体の総点検をしておきましょう。
この記事の監修者
よしかた産婦人科院長善方裕美
よしかた産婦人科院長。30年以上にわたって、更年期女性のサポートに尽力する女性ヘルスケア専門医。カウンセリングやホルモン補充療法、漢方薬など多角的な治療を行う。著書に『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム)など。