舞台の“裏方さん”に聞く、仕事への想いや原動力とは?「ニッセイ・バックステージ賞」受賞者インタビュー
受賞者のおふたりにインタビュー!
半世紀の長きにおいて、「演劇に触れる機会を子どもたちに届ける」という一心で、児童青少年演劇の発展・普及に貢献されてきた石坂慎二さん。児童演劇の国際交流においても大きな役割を担っていたそう。
そして生の植物を使えない舞台上で、長期公演や場面転換にふさわしい植物を作り出す櫻井忍さん。「ステージグリーンコーディネーター」という職種を確立させた唯一無二の存在として、国内外の多くの美術家・演出家から信頼を集めています。素晴らしい功績をあげたおふたりに、今回の受賞が決まったときの気持ちや仕事への熱い想いをお聞きしました。
―この度は「ニッセイ・バックステージ賞」の受賞、おめでとうございます! まずは今の率直なお気持ちをお聞かせください。
石坂さん(以下、石坂):いい仕事をやってきたなと実感しています。私は運がいい、ということも。というのも、仲間や諸先輩方が素晴らしく、後輩も一生懸命やってくれています。とにかく仲間に恵まれたことで、ここまで続けることができました。
櫻井さん(以下、櫻井):石坂さんもおっしゃる通り、私も仲間たちに深く感謝しています。ステージグリーンの仕事は、ひとりではできないお仕事です。今回の受賞を機に、後輩や次の世代のために、ますます努力したいと思います。
―今のお仕事と出会ったきっかけを教えていただけますか?
石坂:私は、もともとは脚本家を志していたのですが、私の師匠が児童演劇作家の斎田喬氏でした。先生と巡り会い、事務的なほうが向いているかも知れないと児童演劇の裏方の世界へ進むことになりました。
櫻井:私は、夫が大道具製作会社を設立し、植栽に関するお仕事があり「ちょっと手伝ってくれ」のひとことがきっかけです。それ以前は、お花のディスプレイやウェディングブーケなど、お花や園芸にまつわる仕事をしていました。それと、小さい頃から昆虫が好きで、植物と木に対する知識は豊富だったんです。舞台のストーリーが、どんな場所でどの季節なのかにより、生えている植物は違うので、背景を考えて表現する。舞台上の一本の木がその場所と空気とすべてを表します。だんだん舞台の仕事の方が多くなり、今に至ります。
―石坂さんは半世紀以上、櫻井さんは30年以上。ひとつの仕事と真剣に向き合い、ひたむきに続けてこられた原動力を教えてください。
石坂:やっぱり子どもが喜ぶ笑顔です。離島や過疎地など全国各地のあらゆる場所で、児童演劇の公演のお手伝いをしてきました。劇団に感謝の手紙が寄せられることもあり、そういう手紙を読むと、元気が出ます。一番感動したのは、障がいを持つ子どもたちに向けて公演をしたとき。保護者の方は、劇ではなく、わが子の顔を見ていたんですね。後日お母さんから「生まれて初めてあんな表情をしたんです」とお手紙をもらったときは、涙が溢れました。
櫻井:やっぱり舞台が出来上がった瞬間ですね。準備期間からさまざまなことを乗り越えて、役者さんとセット、演出などすべてがひとつになるとき、「これで完成だ!」と一区切りつけることができます。その瞬間のために頑張れているような気がします。
仕事のなかで感じる演劇や舞台の魅力とは?
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