【天海祐希さんインタビュー】
「人生は意外と短い。だから、悩んでいる時間がもったいないんです」
人生は意外と短い。
だから、悩んでいる時間がもったいないんです
晴れやかな気持ちで1年を締めくくるためにも、住まいを心地よく整えたいとき。天海祐希さんにとって、リラックスできる空間の条件は「ひとりであること」。
「それが絶対的な条件かもしれないですね。人といることが嫌なわけではなく、自分が勝手に気を遣って疲れてしまうこともあり……。それさえ叶えば、ものが散らかっても全然気にしません。この椅子じゃないと集中して台詞を覚えられない……なんて、そんなデリケートな人間でもないし、インテリアもあまりこだわりがないんですよね。もちろん、雑誌を見て素敵だなと思うことはあるけれど、実際にお店へ行って選んだりするのが億劫で。何も面白みがなくてごめんなさい(笑)」
最近はファッションも、トレンドより着心地のよさや機能性を優先するように。
「私も20代、30代はタイトなスカートや体のラインが出るワンピースを着ていたし、ヒールのある靴も履いてましたよ! でもそういう時期を経て、今はしわになりにくくて楽なことがいちばん。今日もそうですけど、お仕事ではいつもプロの方が素敵な服を選んでくださるので、それで十分、満足なんです」
私の可能性を信じてくれた方がいるなら、たとえそれが1%であっても努力したい
生活の中心は、あくまで仕事。作り手の熱意やファンの声を聞くことが天海さんのパワーの源であり、幸せでもあるそう。
12月13日公開の映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』に出演する決め手となったのも、「天海さんとならいい作品ができるはず」という期待に応えたいという思いから。
「本当に私でいいんだろうか……と思ったとしても、私の可能性を信じてくれた方がいるなら、たとえそれが1%であっても努力したい。今回の経験も、数年後の自分にとって必ずプラスに働くと思っているんです」
作品は、アニメ化もされた人気児童小説シリーズ。どんな願いも叶う駄菓子が並ぶ「銭天堂」を舞台に、天海さん演じるミステリアスな店主・紅子と、叶えたい望みを持つ人々を巡る物語です。
「銭天堂」の客の中には、駄菓子を有意義に使って成長する人もいれば、使い方を誤って恐ろしい事態を招いてしまう人も。
コントロールしきれない欲望に苦しんだり、成功している人を妬んだり……といったマイナスの感情をどう飼い慣らすかは、大人にとっても大きな課題ですが、天海さん自身はネガティブな気持ちとどう付き合ってきたのでしょうか。
「私、ネガティブな気持ちがあまりないんですよね。昔はダメな自分と向き合ったり、悩んだりした経験もあったけれど、マイナスな気持ちを抱えて過ごす自分が嫌で。悩み続けるより、どうやって解決するかを考えて、楽しい気持ちで時間を過ごしたほうがいい。もちろん、『この役をどう演じようか』『お客様はどう感じるだろうか』と思うことはありますが、でもそれは『考える』であって、悩みではないんです」
常に仕事に全力を注いでいる天海さんですが、来年はプライベートで海外へ行きたいと考えているそう。
「私は出不精なので、普段は旅行なんてもってのほか。でも今年、久しぶりに海外へ行ったら、たまには出かけることも大事だと感じて。ただ、せっかちだから海辺のリゾートでリラックス……みたいなことはできません(笑)。次はここに行って、これを見て、とせかせか動きたくなっちゃう。その国の歴史や文化に触れたり、自分の出演作に関連した場所へ行ったり。そういう時間も作りたいですね」
YUKI AMAMI
1967年、東京都出身。宝塚歌劇団73期生として活躍した後、多くの話題作の主演を務める。近年の主な出演作にドラマ『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』『Believe-君にかける橋-』、映画『仕掛人・藤枝梅安 第一作』、舞台『薔薇とサムライ2―海賊女王の帰還―』『レイディマクベス』など。主演映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』が12月13日より公開。12月8日よりKERA meets CHEKHOV Vol.4/4『桜の園』(東京・世田谷パブリックシアターほか)に出演。
撮影/枦木 功[nomadica] スタイリング/東知代子[fashion],岩佐 知布由[prop] ヘアメイク/林智子 文/工藤花衣
大人のおしゃれ手帖2024年12月号より抜粋
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