舞台の“裏方さん”に聞く、仕事への想いや原動力とは?「ニッセイ・バックステージ賞」受賞者インタビュー
―お仕事のこだわりや大事にされていることを教えてください。
石坂:仲間たちを大切にすることですね。私たちは「すべては子どもたちのために」という共通の大きな目標があります。だから素敵な仲間が集まってきて、みんな仲良いですよ。それはありがたいことなのですが、なかなかお金にならないのも現状です。それでも皆、子どもたちのために汗水を流している。その想いを絶やさないように、大事にしたいというのが私の役割かなと思います。
櫻井:最初の打ち合わせから、何か月も前から準備をします。舞台の内容から予算、さらに美術家と演出家の意向もすべてお聞きしたうえで制作をスタートします。皆さんの心の中にある風景を作り出すのが私たちの仕事。決してひとりではできないので、チーム一丸となって柔軟な対応ができるように取り組んでいます。また、若手のスタッフには年長者がついて、順番に教えて、しっかり技術が身につくように。次の世代につながるように丁寧に進めることを大切にしています。
―今後の展望や何か叶えたいことはありますか?
石坂:とにかく子ども達に演劇を見せてあげたい、その一心ですね。少しでも多く機会を作るためにまだまだ努力したいと思っています。また、私は家族3世代で演劇を観ていただきたいと、ことあるごとに伝えています。家族みんなで同じ演劇を観て、ぜひ感想を話し合ってほしい。きっと家族の絆も深まると思います。
櫻井:授賞式にも来てくださった美術家さんたちのお仕事が次々に決まっています。私たちは常に複数の演目のために同時進行で制作を進行しています。ストーリーも方向性もまるで違うお仕事になるので、しっかり心を切り替えて、丁寧に対応していきたいと思っています。また、後進の育成に関しても一層取り組んでいきたいです。多くの仕事がそうですが、私たちの仕事も方法が教科書に書いてあるものではなく、終着駅もありません。いろんなものを見聞きして、ものを見る目を養い、現場ではどんどん手を動かして学んでいってほしいなと思っています。
―今日は素敵なお話をありがとうございました。最後に、読者へのメッセージをお願いいたします!
石坂:お子さんがいる読者の方は、ぜひお子さんに芝居をたくさん見せてあげてください。最近では、残念ながら学校での学芸会や演劇公演も少なくなってしまっています。子どもは、芝居することや表現すること大好きだと思うんです。保護者の言葉で学校や自治体が動いてくれることもありますので、ぜひ全国のお母さん方、声をあげてください!
櫻井:特に女性は、優れた柔軟性があると思っています。チームで仕事をしているとき、困難なことにぶつかっても「一緒にやってみましょうか!」と、臨機応変に模索しながら、みんなをゴールに導いていく力が本当に素晴らしいと思っています。これからますます皆さんのパワーやご活躍に期待しています。
●受賞者PROFILE
石坂慎二さん
児童劇作家の斎田喬氏に師事し、1970年に「学生児童劇団<ピッポ>」を創立。1988年、日本児童青少年演劇協会の事務局長に就任後、50年以上にわたり、児童演劇の普及と発展に取り組む。
櫻井忍さん
武蔵野美術短期大学卒業後、百貨店の生花装飾などに携わる。1991年、夫の櫻井俊郎氏が有限会社C-COMを設立したことをきっかけに舞台の世界へ。生花装飾や植物の知識を応用しながら、グリーンコーディネーターとして数多くの実績を築き上げる。
撮影/松橋晶子 取材・文/阿部里歩
この記事を書いた人
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