『レ・ミゼラブル』新バルジャン役 飯田洋輔さんインタビュー
「心の鍵を開け、自分の居場所を選んでいく」
いつかは挑戦したかった大作。決断するのは、今しかない
もともと『レ・ミゼラブル』は、その出会いのときから長く心の中で特別な位置にあった作品だったといいます。合唱団に所属する両親のもと幼少時から歌に親しみ、中学生で観た『キャッツ』をきっかけにミュージカルに魅せられた飯田さん。“レミゼ”の存在を知ったのは、長じて進学した東京藝術大学でミュージカルサークルを立ち上げた後でした。
「大学に入るまでは、四季の作品しか知らなかったんです。でも、サークルで『レント』や『ミス・サイゴン』といった海外の作品をよく観ている仲間と知り合い、レミゼを観に行って、その音楽の素晴らしさと世界観の壮大さに衝撃を受けて……。その後、仲間たちとコンサート形式でレミゼを上演した際、たまたまバルジャン役を僕がやることになったんですが、最近、当時の友人から聞いたんです。その頃から『俺、いつかバルジャンやるわ』と言っていたと」
在学中にオーディションに合格し、憧れの劇団四季でミュージカル俳優として歩み出した飯田さん。作品の力と言葉の表現を第一に尊重する厳しい稽古場で磨かれた気品は、俳優としての大きな武器になりました。しかし、そこから一歩先に――その思いは、いつしか自然に自身の中に芽生え始めたといいます。
「自分の年齢とキャリアを思ったとき、このまま劇団にいるべきなのか?ということを考え始めた時期があって……そのタイミングと、バルジャンという役との巡り合いが、ちょうど重なったんだと今は思っています」
年齢的にも経験的にも、その役にはまらなければ、なかなか決断できないことだったと、飯田さん。
「もちろん、劇団を出ることは大冒険です。ただ、常にチャレンジングでありたいということは、劇団の中にいたときからも思っていましたから……。劇団に入ったのも、そこでいい作品に巡り合い、出演し続けられたのも、僕にとっては挑戦の連続だった。だから、次は何の作品をやりたい、そのための場所を選んでいきたいというのは、自然な流れだったんだと。それはきっと、大人になってからどんな新しい挑戦をする人にとっても同じだと思うんですが」
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