【更年期世代のリアル】
神津まり江さん 「ずっと探していた何かが見つかったような気がする」
閉経前後で心や体が大きく変化する「更年期」。
英語では更年期を「The change of life」と表現します。その言葉通り、また新たなステージへ進むこの時期をどう過ごしていったらいいのか—。
聞き手にキュレーターの石田紀佳さんを迎え、さまざまな女性が歩んだ「それぞれの更年期」のエピソードを伺います。
今回お話を伺ったのは・・・
神津まり江さん
1975年生まれ。栄養士であり、自然食と自然療法を実践する母の元で育つ。「婦人画報」等の編集者を経て、フリーランスへ。2015年、植物療法のディプロマ取得。同年、「ルボア フィトテラピースクール」のカリキュラムディレクターに。2022年、植物療法家ユニット、ミルフルールを発足。2024年、「食べるフィトテラピー12か月」と題してワークショップをスタート。自著に『パリジェンヌの薬箱』(朝日新聞出版)がある。
女性ホルモンとともに生きる心と体
植物の恩恵をセルフケアにも取り入れている植物療法家の神津まり江さん。
49歳の現在、生理周期の不順が1年半ほど続いているが、肉体的にも精神的にも生活に困るような不調はない。
「以前、女性誌の美容担当をしていて、更年期世代の方々のお話をたくさん伺いました。見た目にはとてもイキイキされている方が、実は死にたいくらいの気持ちでいたとか……。人生の10年くらいが辛い期間になる気がして、30代だった私はこれからやってくる更年期に対して不安感を持ちました」
いったい何が根本的な対策になるか、とまり江さんは考えた。
「私も含めて、ほとんどの女性が自分の体に対する知識が、あまりにも不足しているように感じました。人生におけるホルモンバランスは変化していくもので、それが心と体に与える影響を知っていれば、自分でできる準備やケアもあるのではないかと思いました」
美しい人は植物の力を知っている
そんな苦労をしている女性たちの共通項が「なんらかの形で植物に助けを求めている」ということにも気がついた。精油、食事、サプリメント、森林浴や花を育てること。これがまり江さんに強く印象付けられた。
「当時、私にも心身の乱れがありました。男性誌から希望していた女性誌に配属されたので、やりがいはありましたが、1年中空調のきいた室内にいるのは辛かったですね。朝日も夕日も見ずに健康でいるのは難しい、と感じるようになりました」
常に心の真ん中にぽっかり穴が空いた感じがしていた。しかしその仕事を通じて「植物療法」に出合う。
「ずっと探していた何かが見つかったような、ピースがはまった感じがしました」
まり江さんは決意する。
「私はこれを仕事にせねば。植物の力を暮らしに取り入れることが必要だから」
美容専門の雑誌編集者から、植物療法を中心にした仕事へとシフトチェンジ。38歳だった。その最初の仕事が自著の『パリジェンヌの薬箱』(朝日新聞出版)の出版だった。
「たいていのフランスの女性にはかかりつけの婦人科医がいますが、病院に行く前に、まずハーブ店に行くんです。それが羨ましくて、日本にもそういうところがあったらいいのに、との願いを込めてまとめました」
取材執筆を進めていくにつれて、植物療法の知識不足を痛感し、フランス植物療法普及医学協会認定学校ルボア フィトテラピースクールへ。実は、まり江さんの母は自然療法家であり、幼い頃から一般の病院や薬に頼らず育ってきていた。だから、どんな植物がどんなふうに心身を癒やしてくれるのかは身をもって知っていたのだが、植物療法を体系的に学ぶ必要性を感じたのだ。
「フィトテラピー」とは?
「フィトテラピー」とは、植物に含まれる有効成分を利用して人が持つ自然治癒力に働きかける植物療法。まり江さんが教科書づくりのディレクターを務めるルボアは、日本で唯一のフランス植物療法普及医学協会認定校。
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