健康・美容・若々しさを左右する「血管」をケアする食事
美容面でも健康面でも衰えを感じ始める50代。
ケアのヒントは、全身に張り巡らされている血管にありました。
血管に良い食事をして血管のコンディションを保てば、アンチエイジングも夢ではありません!
教えてくれたのは……
堀 知佐子さん
管理栄養士・調理師。食生活アドバイザーも務める。健康やアンチエイジングをテーマに食生活の指導や講演など多方面で活躍。『今日から変わる!若返り食生活』など著書多数。
目次
更年期以降は血管ケアがより重要に
「更年期以降、大事になるのが血管をいたわる食習慣」と話すのは管理栄養士の堀知佐子さん。
「女性ホルモン(エストロゲン)には血管を守る働きがあるので、若い頃は高血圧や糖尿病など血管に関係する病気になりにくいのですが、更年期を境にそのリスクが高まります。
加齢とともに血管そのものも老化するので、血管が硬くなったり(動脈硬化)、血管の細胞が傷つきやすくなったりして、悪化の速度も速い。太い血管だけではなく、毛細血管も同様の変化が起こるので、血行が悪くなって隅々まで栄養が行き届かず、肌や髪などの衰えの原因にもなります」。
血管の糖化と酸化を防ぎ、NOを増やす食事を実践!
血管が老化する主な原因は “糖化”と“酸化”。
糖化はたんぱく質と糖が熱によって結びついて変性することをいい、いわば“コゲ”です。
「“コゲ”の程度が浅ければ細胞も修復できるのですが、AGE(最終糖化産物)という段階まで進んでしまうと元に戻りません。血管をはじめ、体内に蓄積して老化を加速させます」。
酸化は“サビ”にたとえられますが、体内で発生する活性酸素が血管の細胞を酸化して傷つけます。この“コゲとサビ”を防ぐ食生活を心がけることが重要になります。
また、近年注目を浴びているのが一酸化窒素(NO)。
NOは血管を柔らかくする作用があり、血管を広げて、血流をよくします。高めの血圧を下げる役割も。
「血管でNOの産生を促す物質を含む食品も見つかっていますから、上手に摂取するのもおすすめです」。
あなたの今の血管の状態は? 血管年齢チェックリスト
次の項目で、該当するものをチェックしましょう。
□ 満腹になるまで食べてしまう
□ 味の濃い料理や脂っぽい料理が好き
□ 就寝前2時間以内に食事をしたり、お酒を飲んだりする
□ 以前と比べてかなり太った
□ 運動はあまりしない。休日も家でゴロゴロ
□ ストレスが多い
□ 喫煙している
□ 親やきょうだいに心臓病や脳卒中になった人がいる
⇨4つ以上当てはまる人は血管年齢が高い可能性が大!
CHECK!
無塩のトマトジュースや野菜ジュースを飲んだときに「おいしくない」と感じる人は、味の濃いものを食べている可能性が大。自分の味付けが濃いかどうかの目安にして。
血管をしなやかに保つ3つのキーワード
血管は血管内皮細胞、内膜、中膜、外膜の4層からできています。
トラブルの原因の多くは、血管内皮細胞にダメージを受けること。
それを防ぐ食事のポイントを3つのキーワードでご紹介。
1. 抗糖化
こんがり焼き色は”コゲ”調理はなるべく生に近い状態で
おいしそうな焼き色も実は“コゲ”の一種。血管の糖化を進める一因になります。
食材は生で食べるなど、コゲが生じない調理法が理想です。また、抗AGE力が高いビタミンB1やB6(豚肉、大豆製品などに豊富)、緑茶に含まれるエピガロカテキンなどを積極的に摂るのも◎。“軽いコゲ”なら修復してくれます。
こげが生じにくい調理法は、生がベスト、次いで、蒸す、煮る、炒める、焼く、揚げる、の順です。生食できないものは、蒸す、煮るがおすすめ!
2. 抗酸化
野菜や果物の色素「フィトケミカル」が“サビ”を防ぐ
血管のサビを防ぐには、抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eや、フィトケミカルを摂取して。フィトケミカルとは、植物自身が紫外線や虫などの植物にとって有害なものから身を守るために作りだす香りや色素のことで、野菜、果物、いも類、茶葉、ハーブなど、多くの植物に含まれています。セレン、マンガン、亜鉛などの微量ミネラルも重要。活性酸素を除去する酵素の原料となるので不足しないようにしましょう。
にんじんの色素βカロテン、トマトの色素のリコピン、緑茶のポリフェノールなどは代表的なフィトケミカル。野菜は赤、橙、黄、緑、黒など、色で考えて食べるとさまざまなフィトケミカルが摂取可能。
3. 一酸化窒素
血管をゆるめる注目物質。ヒハツやシナモンなどを摂取
血管を柔らかくする一酸化窒素(NO)は、運動やマッサージなどで血流量が増えたときに分泌が増えますが、「食べるだけ」でもNOを増加させる食材あります。
それが、「ヒハツ、シナモン、ルイボスティー」です。これらに共通する「ピペリン」という物質が、NOの産生を促して、血管を拡張、血流をスムーズにします。
(下)コショウに似た刺激がある香辛料「ヒハツ」。コショウの代わりに料理に使えます。(左)お菓子に使われるシナモン。パウダー状なら、紅茶やホットワインに入れたり、ヨーグルトに一振りしても。(上)ルイボスティーはノンカフェインで体を冷やさないのもうれしい。
「塩・糖・脂」をコントロールして血液もよい状態に
血液のコンディションは血管にも影響を与えます。
高血圧、高血糖、脂質異常症など血液のトラブルがあると血管壁が傷つき、動脈硬化も進むので要注意。
特に日本人は塩分過多の傾向があるので、だしや香辛料などを上手に使い、減塩を心がけましょう。
糖分、肉や乳製品の「飽和脂肪酸」の摂りすぎも注意が必要です。
塩分や糖分の吸収を抑えて血糖値の急上昇も防ぐ「食物繊維」や、脂質や糖質の代謝を促す「酢やクエン酸」が摂れるわかめの酢の物は優秀な副菜。
果物ならリンゴ。余分な塩分を排出する「カリウム」「カルシウム」を含み、コレステロールが血管壁に溜まるのを防ぐポリフェノールも豊富!
撮影/安彦幸枝(image) イラスト/中島香奈 文/中山恵子
※大人のおしゃれ手帖2021年9月号をもとに再編集
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この記事を書いた人
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