【吉田 羊さん】女であることを改めて考えさせられた機会とは?
(大人のおしゃれ手帖2022年10月号)
運命的な出合いは
それと向き合うのにふさわしいタイミングでやってくる
この夏、舞台『ザ・ウェルキン』の上演に打ち込んだ俳優・吉田羊さん。
「18世紀のイングランドを舞台に、死刑を宣告された少女の処遇を巡り、判断を委ねられた12人の女性陪審員たちの物語。等身大の女性の生きづらさや命を生み出す性の苦しみに、これだけ正面からぶつかった作品は、自分としてははじめてでした。なので、どこか自分で自分を演じるような経験でもあったというか……。女性同士の連帯だけでなく、理解し合えない部分も、作品にはきちんと描かれていたんですよね。恨み、妬み、相手を愛せない苦しみ。それらを通して女性として生まれてきた私が、あらためて〝女であること〟を考えさせられ、自分自身とこれまでの生き方を俯瞰して考える機会にもなったなと、今振り返って感じています」
ハードな作品と向き合うことに、どこか運命に似たものを感じていたともいいます。
「どの仕事に参加するときも、この作品、この役が自分のところにやってきた意味のようなものを、私はつい考えてしまうのですが、今回はとくに……。今年に入って、年齢相応な体の変化を感じることが多々あり、劇中で登場人物たちが語らう女性の体を生きる辛さにものすごく共感できたこともあって、そうか、とくに同世代の女性たちにこの物語を自分ごととして捉えていただくために、私が選ばれたのか?と」
経験から得たものを胸に、前へ。
吉田さんは、きっと一生の思い出に残る、特別な瞬間を迎えるための準備に取り掛かっています。
前回、本誌(2022年7月号)に登場したときにほんのり匂わせていた特別なイベント、それが、9月22日、23日の両日に行う初の単独ライブパフォーマンス。
俳優活動25周年を記念した、この胸躍るステージには「THE PARALLEL」(=平行、あるいは並行)という謎めいたタイトルを、自らつけました。
「わりとパッと思いつきました。俳優の私にとって、歌うことは非日常で非現実なんですよ、というややエクスキューズ的な部分もありつつ(笑)。でも、どこか〝歌を歌っているもうひとりの吉田羊がいたら〟〝演じることではなく、もし歌うことを選んでいたら〟という、パラレルワールドを生きる自分の姿を表現してみたい、という企みでもあり」
今の自分だからできることを、精いっぱい
「これもやっぱり、タイミングあってのことなんですよね」と吉田さん、感慨深げにつぶやきます。
「最初こそ『いえいえ、私なんか』と思いましたが、25年間、ファンの方々、スタッフの皆さんの支えで仕事を続けてきた私だから、今これをやるべきだということなのかな、と。ことが叶うには、それにふさわしい時があるのだと信じて」
今の自分だからできることを、精いっぱい――
ライブを終えると、秋が深まる頃には、早くも次の舞台出演が待っています。吉田さんの輝かしい歩みを、これからも私たちはまぶしく眺め、それを励みにすることになるのでしょう。
「歌を歌うという、これまでやってこなかった新しい挑戦が、またひとつ、自分にとっての自信と勇気にできることを願って……。個人的には、それが終わったら1回リセットして、また1からという気持ち。新鮮な気持ちで、次の運命との出合いを待ちたいと思います」
YOH YOSHIDA
福岡県生まれ。「吉田 羊NIGHT SPECTACLES THE PARALLEL ウタウヒツジ〜25TH ANNIVERSARY SPECIAL」は9/22(木)・23(金)、東京・六本木のビルボードライブ東京で各日2ステージ開催(23日夜は配信も決定)。〝ご自身が思うとびっきりオシャレな恰好で〟というドレスコードは「準備する段階からワクワクし、楽しんでいただけるように」とのこと。大人のおしゃれ心を、今こそ!
撮影/浅井佳代子スタイリスト/石井あすかヘアメイク/重見幸江
大人のおしゃれ手帖2022年10月号より抜粋
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