【50代のこよみ養生 Vol.37】今しかできない! 真夏に行う冬のための養生「冬病夏治(とうびょうかち)」とは?
お灸で陽気を補い冬の不調を予防する
冬病夏治の養生法のふたつめは、お灸です。中国では初伏、中伏、末伏の日にお灸をすえて陽気を蓄える「三伏灸(さんぷくきゅう)」が鍼灸院などでさかんに行われています。日本では三伏灸を施術してくれる鍼灸院はあまり多くないので、三伏の日にセルフでお灸をしてみませんか。
三伏灸で施術される代表的なツボは、次の通りです。お灸は入浴前後、食事直後、飲酒後、発熱時を避けて、就寝前などのリラックスしているときに行いましょう。
・大椎(だいつい)⋯⋯首を前に倒したときに首の後ろで一番出っぱる骨の下のくぼみ。冷えやかぜの予防に適するツボです。
・風門(ふうもん)⋯⋯大椎から2つ下の背骨から指2本分外側にあるツボ。左右にあります。かぜの予防に適します。
・肺兪(はいゆ)⋯⋯大椎から3つ下の背骨から指2本分外側にあるツボ。左右にあります。かぜの予防に適します。
・脾兪(ひゆ)⋯⋯両手を垂らした時に肘の先端を左右で結ぶ線上にある背骨(第12胸椎)の上のへこみから、指2本分外側にあるツボ。左右にあります。腹痛、消化不良、下痢などの予防に適します。
・腎兪(じんゆ)⋯⋯ウエストの一番くびれた位置の背骨から指2本分外側にあるツボ。左右にあります。冷え、腰痛などに適します。
背中のツボは自分で探すのが少し難しいかもしれませんが、押さえたときに軽い圧痛を感じる場所がツボになります。火を使わないお灸なら、セルフでも安全にお灸をすることができるので活用してみてください。
そのほか、冷房による冷えすぎから体を守る、冷たい飲食物をとりすぎない、入浴はシャワーだけでなく湯船にもつかるなど、体を冷やさないように注意することも冬病夏治の養生として効果的です。
なお、暑がりの人、のぼせやすい人、イライラしやすい人、寝汗をよくかく人などは、あまり夏に体を温めないほうがいいので陽気を補う薬膳やお灸は控えてください。
暑い時期に、冬の冷えやかぜのことまで考えられない⋯⋯なんて思うかもしれませんが、次の季節やそのまた次の季節まで見すえた養生ができることは、東洋医学ならではの醍醐味。長い目で見た健康管理にも、ぜひトライしてみてください。
画像素材/PIXTA
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
Website:https://toyoigaku-shizen.com/
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