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2024年7月5日(金)発売
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更年期障害と混同も!
女性に多い甲状腺の病気とは

加藤大也

甲状腺

「バセドウ病」や「橋本病」という病名を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
これらは女性に多い甲状腺の病気です。
更年期障害と似た症状が多く、勘違いしてしまうことも。

甲状腺は、のどぼとけの下にある小さな臓器で、甲状腺ホルモンをつくり、蓄え、分泌しています。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝を活発にしたり、成長や発達を促したりするなど、大切なはたらきがあります。
通常、甲状腺ホルモンの分泌量は一定に保たれていますが、甲状腺のはたらきに異常が起こり、ホルモンの分泌量が多すぎたり少なすぎたりすると、さまざまな症状が現れます。

よくある甲状腺の病気

甲状腺甲状腺の病気で代表的なものは、「バセドウ病」と「橋本病」です。
「バセドウ病」と「橋本病」は、免疫系が自分の細胞を異物と認識して攻撃してしまう自己免疫疾患です。
いずれも適切な治療を受けることで、健康な人と同じような生活を送ることができます。

甲状腺機能亢進症(主にバセドウ病)

「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態です。
主な病気として「バセドウ病」があり、20~30代の女性に多く見られます。

必要以上に新陳代謝が活発になるため、疲れやすい、汗をよくかく、暑がりになる、体重の減少、動悸、息切れ、手が震える、脈拍数が増える、のどが渇く、排便の回数が増える、イライラする、などの症状が現れます。
また、甲状腺が腫れ、目が内側から押し出されるように見える「眼球突出」が現れるのもバセドウ病の典型的な症状の一つです。

検査方法は、血液検査をして甲状腺の機能を示すホルモンの数値を調べたり、自己抗体の有無を調べたりします。
治療方法は、抗甲状腺薬(甲状腺ホルモンの合成と分泌を抑える薬)の服用から始めるのが一般的です。
ほかに、アイソトープ(放射性ヨウ素)が入ったカプセルを服用し、甲状腺ホルモンの分泌を抑える方法や、手術で甲状腺の一部または全部を取り除く方法があります。

症状は更年期障害や自律神経失調症と似ているため、これらの病気と勘違いしやすい点に注意が必要です。

甲状腺機能低下症(主に橋本病)

「甲状腺機能低下症」は、甲状腺ホルモンの分泌が不足する状態です。
主な病気として「橋本病」があります(すべての「橋本病」が「甲状腺機能低下症」となるわけではありません)。
「橋本病」は更年期以降の女性に多く見られます。

「甲状腺機能低下症」では、甲状腺ホルモンが不足して新陳代謝が悪くなります。
そのため、疲れやすい、汗をかかない、寒がりになる、体温の低下、体重の増加、息切れ、脈拍数の減少、肌の乾燥、むくみ、便秘、眠気、無気力、月経不順などの症状が現れます。また、甲状腺が腫れてきます。

検査方法は、「甲状腺機能亢進症」と同様に血液検査をして診断します。
「橋本病」の治療方法は、甲状腺機能が正常な場合は、治療は不要です。
ただし、「甲状腺機能低下症」がある場合は、不足している甲状腺ホルモンを薬で服用し、補います。
甲状腺機能が正常でも、甲状腺の腫れが大きい場合は、甲状腺ホルモン剤を服用して腫れを小さくすることもあります。

「甲状腺機能低下症」も、症状が更年期障害や自律神経失調症と似ており、見逃されてしまうことがあります。

(まとめ)
甲状腺の病気は、更年期世代だと「更年期だから調子が悪いのかも?」と思ってしまいがちです。
しかし、甲状腺は私たちが生きていく上で大切なはたらきをしています。
上記の症状が気になるときは甲状腺の病気を疑い、医師に相談することをおすすめします。
甲状腺の病気を疑ったら、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医・専門医療機関を紹介してもらうのもよいでしょう。


構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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この記事の監修者

たいや内科クリニック

たいや内科クリニック 院長加藤大也

1997年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。2003年4月から同大学医学部内分泌・代謝内科助手を務める。2010年5月、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝科病棟部長などを経て2022年5月、たいや内科クリニックを開院。糖尿病専門医・総合内科専門医・甲状腺専門医 藤田医科大学医学部客員講師。医学博士 糖尿病、生活習慣病を中心に、日々診療に取り組む。患者さん目線で分かり易い説明がモットー。

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Website:https://taiya-naika.com

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