カテゴリー

人気タグ

大人のおしゃれ手帖 12月号

大人のおしゃれ手帖

最新号&付録

大人のおしゃれ手帖
2024年12月号

2024年11月7日(木)発売
特別価格:1650円(税込)
表紙の人:天海祐希さん

2024年12月号

閉じる

記事公開日

最終更新日

この記事の
関連キーワード

大人のおしゃれ手帖
の記事をシェア!

「何事も塩梅が大事」
松たか子さんが大事にしている生き方とは?
(大人のおしゃれ手帖2022年12月号)

季節の恵みを味わい、生きる歓びを瑞々しく表現

透き通った北風が木々を揺らし、色づいた落ち葉の舞う季節になりました。
冬のおしゃれは、これからが本番。
大人のおしゃれ手帖 12月号本誌に、はじめてご登場くださった俳優・松たか子さん。

舞台、テレビドラマ、そして映画と、作品ごと、演じる役ごとに新鮮な佇まいを見せてくれます。
この11月に公開される映画『土を喰らう十二ヵ月』で扮するのは、年上の作家・ツトム(沢田研二・演)を恋人に持つ編集者・真知子役。

週末、彼女はツトムが暮らす信州の山荘を訪ね、山深い里でひとときをともに過ごします。
少年時代に禅寺に暮らし、精進料理の素養を身につけたツトムが彼女のために作るのは、山や畑で育った新鮮な素材をそのまま生かした料理。

季節の恵みを味わい、生きる歓びを全身で表現する二人の様子は、天真爛漫でありながら、ときに官能的にも映ります。

「本当ですか?(笑) そう見えるとしたら、それはやはり沢田さんから匂い立つ色気がそうさせるんでしょう。沢田さんは現場ではとても淡々として静かで、本当にツトムさんそのものとしていらした。そして、ロケ地である白馬の自然光を収めた監督とカメラマン、照明さんをはじめとするスタッフの皆さんの力量あってのことだと思います。私はその中に入れていただき、ずっとときめきを感じていられました」

料理の監修は、土井善晴さん。
シンプルで清々しくありながら、じわりと浸み出す滋味を感じさせる料理は、一品一品画面に登場するたび五感を揺り動かし、思わずお腹が鳴ってしまいそうになるほど。
松さんも、「何もかもおいしくて、通うのがただただ楽しかった」と、その日々を振り返ります。

カーディガン¥86,900、ドレス¥96,800/ともにラシュモン(アペリア)

自分に時間を使わなくてはいけないときは必ずやってくる

作品を輝かせているのは、登場する人物たちが決して立派な聖人君主ではなく、正直な姿で描かれていたこと。
業の深い人間のまま自然と向き合って生きる姿勢に、大人のひとりとして強く惹かれるものがあったといいます。

「ツトムさんにしても、モテるけれどもけっこうダメな人でしょう?(笑) そういう人がああした健康的な、人も羨むような生活をしているわけで。その落差がいいというか、罪深い人が厳しい自然の中で生き、手間暇かけて料理をしていることが、どこか生きながら罰を受け入れているようにも見えて……。
私にしても、都会で仕事をしながら生活をしていて、時短でやりくり上手であればなぁと思うこともありますが、それでもそんなに上手になろうとはしていない部分があります。『時短、最高!』みたいなことは、あまり信用していない、というか。都合よくいいとこ取りをしているといえばそれまでですが、時短できることは時短して、でも、自分に時間を使わなくてはいけないときは必ずやってくるから、そのときはちゃんとそうしたいなと。
だから、普段からあまり『大変だ』とは言わないようにして、その時その時の状況を素直に受け入れられるように……。年齢を重ねて、そういう考え方により近づいてきているんじゃないかと思いますね」 

この作品に参加してしみじみ感じたのは、「塩梅が大事」ということだったと、松さん。
何事もいい塩梅で、という料理にも使われるこのバランス感覚が、仕事でも、暮らし方においても、大人は試されているのかもしれません。

「そうですね。でも、家では子どもに『お母さん、もうちょっと落ち着いて』『ちゃんとしてほしい』と言われるくらい、毎日バタバタしているのが私なんですけれど(笑)。それでも、自分を大事にして、そのために使う時間は惜しまずに……。個人的に、自分をいたわりたいときにするのは、裁縫です。最近用意しているのは、スモッキング刺繍のキット。現実逃避したくなったときには、夜な夜なやっていると思います」 

冬の長い夜は、趣味にいそしみ、心を整えるのにきっといいひとときになることでしょう。


『土を喰らう十二ヵ月』

《好きな人と食べるごはんが、いちばんおいしいじゃないか》。
『雁の寺』などを遺した作家・水上勉の随筆を『ナビィの恋』の中江裕司監督が映画化。
1年半の間、白馬の自然と向き合い、カメラに収めた四季のうつろいは瑞々しく、瞼と魂に沁みる。
11/11より全国公開。

MATSU TAKAKO
1977年東京生まれ。93年、歌舞伎座で初舞台を踏み、翌年大河ドラマ『花の乱』で映像デビュー。
以降、テレビドラマ、映画、舞台に出演し、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、読売演劇大賞最優秀女優賞など受賞多数。
最近の出演作に舞台『「Q」:A Night At The Kabuki』、映画『峠 最後のサムライ』、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』がある。


撮影/枦木 功[nomadica] スタイリング/梅山弘子[KiKi.inc] ヘアメイク/須賀元子[hoshino office] 文/大谷道子

大人のおしゃれ手帖2022年12月号より抜粋
※この記事の内容及び、掲載商品の情報・価格などは2022年11月時点の情報です。販売が終了している可能性があります。ご了承ください。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事のキーワード

記事一覧へ戻る

大人のおしゃれ手帖の記事をシェア!