【大人のための絵本】vol.1
モデル・アンヌさんが推す名作2選
大人にこそ読んでほしい絵本
今回のテーマは、「『わたし』を大切にする絵本」
こんにちは。アンヌです。絵本が好きで、息子や地域の子どもたちに読み聞かせもしてきました。絵本とかかわって13年。なかには大人の私が心揺さぶられるものもたくさんありました。絵本には、大人の心を癒して育む力があるもの。大人にこそ読んでほしい、おすすめの作品をこれから少しずつご紹介していきたいと思います。今回は、「わたし」を大切にする絵本、というテーマで2冊ご紹介します
選・文/アンヌ
モデル、絵本ソムリエ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒業。モデルのほかエッセイやコラムの執筆などで活躍。最近は地域で絵本の読み聞かせ活動も行っている。
忙しさから解放されたときにこそ読んでほしい
意識を自分に向けるこの2冊
今年の春、息子が中学に入学。なんでも自分でできるようになり、おかげで私はほんの少し「ゆとり」が持てるようになりました。でも、かえってどう過ごしたら?と戸惑うことも。長い間、子どもや家族を優先して、自分自身のことは後回し。一生懸命突っ走ってきて、突然、解放された今、少しのゆとりができたことで、「わたし」の迷子になってしまった! そんな感じなのです。これが人生の節目なのかな、と身をもって感じるこの頃です。
このタイミングにこそ自分のことを考えるチャンスではないでしょうか。
「わたし」は何をしたいのか、そもそもどういう人なのか? と、思いを巡らしてみると、これから歩むべく道に光が差すかもしれません。
自分を思うこと。それはすなわち、周囲を幸福にすることへも繋がるのでは。
「だいじなのは、何になるかではなく、わたしがわたしになっていくこと」(『わたしたち』河出書房新社)――あるとき、落合恵子さんの言葉にはっとさせられました。この言葉に導かれるようにして、私が「ゆとり」の時間に、もう一度開いた2冊をご紹介します。みなさんが、もし、仕事や家庭での役割に懸命になりすぎて、忘れていたことがあるとするなら。それが「自分らしさ」だとするならぜひ!そして自分を大切にしたら、きっと周囲も笑顔になるでしょう!
『ルピナスさん』
作:バーバラ・クーニー
訳:掛川恭子
ほるぷ出版
ちいさな女の子がおじいさんと3つの約束をします。大きくなったら世界を旅し、海辺の家に住むこと。そしてもうひとつは…。やがて世の中を美しくするためにルピナスの花を植えると決めます。「ルピナスさん」と呼ばれるに至るまでの、ひとりの女性の人生の物語。彼女の生き方に背中をおされるような、薄紫のグラデーションカラーが美しい水彩画の作品です。
『わたしとなかよし』
作:ナンシー・カールソン
訳:なかがわちひろ
瑞雲舎
1ページめくるごとに、こぶたの「わたし」が、どういうふうに自分を受け入れ、自分と仲良くしているのかをまるで秘密を打ち明けるように教えてくれます。まずは「わたし」を大切に、って。ポップな色使いや壁紙の模様もとてもおしゃれ。元気をもらえます!
画像・文章の無断転載はご遠慮ください