50代に必要な口腔ケアQ&A
歯と歯の土台の健康は、体と心の健康にまでつながっています。正しいケアを習慣づけて「かむ力」を鍛え、この先もずっと健やかに過ごすために、あらためてケア方法を見直してみましょう。
Q 50代から歯周病リスクが高くなるって本当?
A 本当。50代からは歯の喪失本数が増加!
50代になると筋力やホルモン分泌が低下し、体にさまざまな変化が起こります。口腔環境も同じで、加齢とともに変化が現れ、歯の喪失本数も50代から一気に増加。40代までは平均1本未満なのが、50代になると平均2~3本、60代では4~6本以上になり、急激に喪失が進みます(厚労省「平成28年 歯科疾患実態調査」より)。日常的に適度な運動をすることで筋力の低下を防げるように、歯のケアも早くから始めることで、その後の口内の状況に大きな違いが生じます。特に適切なケアを心がけましょう。
Q 歯の土台はなぜ大事なの?
A 家の屋台骨みたいなもの。全身の健康に影響します
歯の土台とは、歯ぐきとその奥にある骨(歯槽骨)などの歯周組織を示します。歯と歯の土台の関係は家と家を支える基礎構造のようなもの。家も歯も土台がしっかりしてなければ不安定になり、沈下や傾きが起こります。
また、歯の土台が弱まり固いものが食べづらくなると、軟らかい食べものを選ぶようになり、さらにかむ力が弱まります。こうした口腔機能の衰え=オーラルフレイルは、栄養不足や気持ちの落ち込み、さらに全身の筋力低下(フレイル)にもつながります。
Q 歯みがきはいつ、何分間がいいの?
A 雑な3回より丁寧な1回。20分が目安
最低でも1日1回、歯1本につき表裏各20秒かけてみがきましょう。歯の本数は個人差がありますが、30本とし、くまなくみがくと20分はかかる計算になります。歯ブラシは歯と歯茎の境目に毛先を斜め45度に当て、軽い力で5mm幅程度に小刻みに動かすのがポイント。フロスやタフトブラシも併用を。
Q 外出中に歯みがきができないときにできるケアは?
A コットン磨きがおすすめ
化粧用のコットンパフをポーチに入れて持ち歩くと便利。中指に巻き付けて前後左右に動かしながら歯の表面や歯ぐきをこするようにして汚れをふき取りましょう。
Q 歯の土台を健康に保つためにできるケアは?
A 正しい姿勢での食事が大切!? 歯みがきマッサージも
食事の際は、背すじをピンと伸ばして食べ物をすりつぶすようにしてゆっくり時間をかけてかみましょう。歯の土台を構成する歯槽骨の骨芽細胞を活性化できます。また、歯みがきのあとはきれいに洗った手でマッサージするのがおすすめ。歯茎と唇の折り返し部、歯と歯の間の歯肉を中心に向かって指でなぞるようにしてマッサージを。
Q 虫歯がなければ歯科医院でのプロフェッショナルケアは不要?
A 50代からは3か月に1回は歯科医院へ
磨きにくい部分や歯石などは日々の歯みがきだけではケアしきれません。特に歯石の除去は専用の器具を使って除去しなくてはいけないため、3か月に一度を目安に、プロのケアを受けましょう。
●お話を伺った方
歯科医師 宝田恭子先生
東京歯科大学卒業後、同大学勤務を経て宝田歯科の三代目院長に。歯周病を中心に「残っている歯を守る」診療に従事。著書多数。
画像協力/PIXTA
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