【大人のための絵本】vol.3
モデル・アンヌさんが推す「クリスマスに贈りたい絵本」
クリスマスの贈り物にしたい絵本
誰かを思ったり、思われたりの大切な時間
こんにちは。アンヌです。
朝夕めっきり冷えるようになりましたね。クリスマスシーズンの到来です! パッとイルミネーションがライトアップされると、ウキウキしてきませんか? その輝きを眺めるだけでも、一年頑張ってきた自分に街からのご褒美でしょう。
でもそれだけではありません。やっぱりプレゼント! サンタさんや大好きな家族からの贈り物を開いた、子どもの頃を思い出してみたり。大人になった今は、今度は自分がプレゼントを準備する番になったりで楽しくなります。
これには誰かのことを思ったり、思われたりした大切な時間が含まれています。だから心が潤って、嬉しくなるのではないでしょうか。贈り主の「イチオシ」が包まれたものだと、サプライズがあって感激しますよね。さらには、素敵な景色を見せてもらう。美味しいお料理をご馳走になる。美しく装飾したツリーで出迎えてくれる……。思いやりがこもっていれば全てが贈り物です。
こうして今回選んだ絵本がこの2冊。私から皆さんへのクリスマスプレゼントです。大切な人にも是非。手に取った人の心が潤ってくれたら。
『わたしのすてきなクリスマスツリー』
ダーロフ・イプカー:作
やましたはるお:訳
1,650円/BL出版
クリスマスの夜。窓の向こうに一本のもみの木が静かにそびえています。そのてっぺんにキラキラと輝く星が、ひとつ。その下には黒い熊が二頭。その下には三匹のボブキャット。ページをめくるごとに、素敵な動物たちが木を彩っていきます。まるで上から下にオーナメントを飾ってゆくように。高いデザイン性と詩的な言葉。いつまでも眺めていたくなります。最後に驚きも待っていて、たいへん美しいカウンティングブックです。こんなツリーで友人たちを迎えることができたら!
『まってる。』
デヴィット・カリ:著
セルジュ・ブロック:絵
小山薫堂:訳
/千倉書房 1,650円
人生は、「まってる」ことの連続です。雨が止むのを、ケーキが焼けるのを、クリスマスを……という具合に。ひとりの男の子が、大きくなり、恋をして、結婚をして、家族を持ち、と成長してゆく過程を追ってゆく本作品。その間には、楽しみにしていることもあれば、絶望の淵で希望の光を待ち望むこともあり。1ページごとに描かれた23個の「まってる」は、全て赤い糸で繋がっています。人生を作るのは、待つことで紡がれる縁。さりげなく可愛らしいデッサンと、感慨深い言葉の組み合わせで、じわじわと心に沁みてきます。
選・文/アンヌ
モデル、絵本ソムリエ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒業。モデルのほかエッセイやコラムの執筆などで活躍。最近は地域で絵本の読み聞かせ活動も行っている。
画像・文章の無断転載はご遠慮ください