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大人のおしゃれ手帖 1月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

2025年1月号

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書き手の追伸 ~三國万里子さん~

ニットデザイナーとして活躍する三國万里子さんが初のエッセイ集を刊行。
三國さんにとっての「書く」ことと「編む」こと。
大人になった今、過去の記憶をたどることの意味とは―

過去の記憶を物語にして身軽になる

テーマは〝日本画〟。
「秋草図のようなイメージで、右の胸元には雁、左にはそれを振り返っている狐のブローチをつけました」。

遊び心にあふれたこの日のコーディネートについて教えてくれたのは、ニットデザイナーの三國万里子さん。

「気仙沼ニッティング」や「Miknits」のデザインを手がけてきた三國さんによる初のエッセイ集が、『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』です。

「いつも一緒に仕事をしている編集者の方に、何か書いてみない? と言われたのがきっかけ。とくにテーマも決めずにゆるく始まりましたが、書いたものを送るたびに相手が面白がってくれるので、書くのがどんどん楽しくなっていきました。もちろん、書くつらさもわかりましたけど、嫌な感じではなく〝つら楽しい〟みたいな感じで」 

書かれているのは、夫との出会い、新潟で過ごした子ども時代、妹であるなかしましほさんとのやり取り、ニットデザイナーとしての始まり……といったエピソード。
そうした三國さんの思い出を追っていくうちに、おのずと読む側も、自分自身の記憶を呼び起こされます。

「書かないか、と声をかけてもらったのが40代半ば。自分の中にあった断片的な記憶が、年を重ねるほどに重く感じられてきて。それを自分のやり方で言葉にすることを、記憶が求めていたのだと思います。そう言うとちょっとカッコつけすぎですけどね。みなさんもそうだと思いますが、過去に傷ついた出来事の中で、決着がついていないことってありますよね。大人になった自分なら、『あのことは自分にとって、どんな意味があったのか』と意味づけできる。そうやって自分なりにけじめをつけることで、気持ちが軽くなることはあるかもしれません」 

書きたいことを探しながら進んでいくうちに、いつの間にかしかるべきゴールにたどり着く……という過程は、編むことにも似ている、という三國さん。

「編み物でもただのメリヤス地を編んでいるときって、ラクだけど実は楽しくない。文章を書いていると、自分でもびっくりするような言葉が出てくることがあって。編み物でも、色の組み合わせなどで、同じようなことがあるんです。どちらも、チャレンジを感じていられる瞬間がいちばん楽しいですね」

『編めば編むほど わたしはわたしになっていった』
三國万里子 
¥1,650(新潮社)

ニットデザイナーの著者による初のエッセイ集。夫との出会い、学校になじめなかった思春期、温泉宿での住み込みアルバイト…と、その半生が描かれる。表紙に写っている人形は、三國さん自身が見つけた海外の人形作家に特注したものだそう。


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文/工藤花衣 写真/安彦幸枝

大人のおしゃれ手帖2022年12月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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