食習慣、運動習慣……体づくりの正解、ここにあり!
『大人のおしゃれ手帖』2023年2月号掲載の「体づくりの『正解』まるわかり図鑑」特集で、エビデンスにもとづいた健康情報を教えてくれた久保明先生。先生の著書には、目からうろこの健康情報がまだまだたくさん! 今回は先生の著書『最新医学でわかった 新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から、大人世代が知っておきたい、最新の健康情報をピックアップしてお届けします。
血液サラサラ効果を期待するなら、納豆は「夕食」に
さまざまな健康効果をもつ食品として知られている納豆。岐阜大学が16万人を対象に行った高山スタディでは、脳梗塞を防ぐ効果が確かめられています。納豆の摂取量が多い人は少ない人に比べて、脳梗塞による死亡リスクが3割も低かったのです。これは納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」のおかげ。ナットウキナーゼとは納豆菌が分泌する酵素タンパクの一種で、血栓(血液のかたまり)を溶かしたり、脳梗塞の有効な治療薬(t-PA)の働きを助けてくれます。脳梗塞などの原因となる血栓ができやすいのは深夜から早朝にかけてですが、ナットウキナーゼの活性が最大になるのは、納豆を食べてから約4時間後。したがって、ナットウキナーゼの血栓防止効果を期待するなら、納豆は夕食で食べるのがおすすめです。
運動習慣がなくても、何歳からでも、筋肉はつけられる!
美容のためにも健康のためにも、大切なのは筋肉をつけること。でも、「この歳になってから運動を始めて、筋肉なんてつくのかな?」と不安に思う人もいるでしょう。そんな不安を払拭してくれる研究が、イギリスの大学で行われていました。運動習慣のない健康な男性8人(平均年齢73.5歳)と、週2回以上の運動習慣を長年続けてきた男性7人(平均年齢68.9歳)を対象に、筋トレメニューや食事条件を同じにして、筋肉の付き方を調べたのです。すると、筋タンパク質合成率に差はほとんどなかったそう。つまり、年齢や運動習慣の有無にかかわらず、筋トレをすれば誰でも筋肉はつくのです。ぜひ久保先生おすすめの軽い筋トレから始めてみてください。
軽いスクワット
両脚を肩幅に開いて立ちます。膝を曲げすぎず、腰を軽く落として元に戻します。膝はつま先より前に出ないように。
壁腕立て伏せ
脚をそろえて立ち、壁に両手をつきます。ゆっくり両腕を曲げて、元に戻します。慣れてきたら片手ずつもチャレンジしてみて。
長時間の「座りっぱなし」は死亡リスクを高める!?
長引くコロナ禍で、運動不足が気になるという人は多いもの。でもその前に「座りっぱなし」の生活になっていませんか? 実は長時間の座りっぱなしも、死亡リスクを高めるという報告があります。オーストラリア・シドニー大学の研究チームが2012年に発表した調査報告によれば、座っている時間が長いと死亡率が高くなるうえ、座位時間が11時間以上だと、4時間未満の人に比べて、死亡リスクが40%も高くなるそう。長時間の座りっぱなしで、心筋梗塞や脳卒中、がんなどのリスクが高まると考えられています。座りっぱなし解消には30分ごとに立ち歩くのがいちばん。今、座っている人はちょっと立ち上がって体を動かしてみましょう。
教えてくれたのは……
久保明先生
医学博士・東海大学医学部客員教授・医療法人財団百葉の会銀座医院院長補佐。アンチエイジング医学の専門家。
文/寺本 彩 画像・イラスト素材/PIXTA
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