桐島かれんさん BloomingLife 〜和の空間に椿を飾る〜
静謐な空気に凜と咲く椿その佇まいを堪能する
冷たく冴えた空気に、鮮やかな色を差す冬の椿。
ぽとりと花が落ちる様子から、縁起が悪いとも言われていますが、凍える季節を彩ってくれる椿は、わが家の庭に欠かせない花。
夫の上田義彦が監督した映画『椿の庭』が葉山の家で撮影されたこともあって、私にとっては思い入れのある花のひとつです。
和の玄関や床の間はもちろんのこと、意外と洋の空間とも相性がよく、飾る場所を選びません。
お客様がいらっしゃるときはさっと庭に出て椿を切ってくればよいので、花が少ない冬はとても助かっています。
庭には種類が異なるものを植えているので、それぞれ咲く時期がずれて、真冬から春先まで常に、花が咲いている状態を保てています。
茶花でもよく使われる椿は、一輪だけでもひとつの世界観を伝えられる、力強い美しさが魅力。
枝がしっかりしているので、慣れない人でも生けやすく、さまになりやすいのもよいところです。
茎や枝が細い花は向きを安定させにくく、1輪ではさまにならないものが多いんですよね。
特に、今回椿のつぼみを生けた黒の花器のような口の細い一輪挿しは、あれこれ考えずにすっと挿すだけでも上手に生けられるので、ひとつ持っておくと重宝します。
葉を少し整えるだけで花の美しさはより際立つ
華やかな八重咲きの椿は、大ぶりのガラスの花器へ。
「和のイメージが強い椿ですが、シャネルのモチーフはカメリアですし、実は洋の空間ともよく合うんです。洋の花と同じような感覚で、バスルームやキッチンにも飾ってみては」
冬の庭をにぎわせる椿どう飾るかを想い、はさみを入れる
玄関の椿は、自然の姿を活かした「投げ入れ」で生けたもの。
一緒に生けているのは、冬の終わりから春にかけて黄色の花をつけるトサミズキです。
大きな壺に長い枝ものをどさっと入れるだけで簡単に存在感を出せますし、和の空間にも映えるのがいいですね。
初夏はドウダンツツジ、秋はモミジを生けても素敵です。
生けるときは、葉で隠れていた花やつぼみが見えるように、葉を切って整えること。
正面から見たときの花の分量を増やすことで華やかになります。
仕上げに霧吹きで葉水をあげると、さらにみずみずしく、艶やかに見えますよ。
かれんさん着用:ブロードエンブロイダリーカフシャツ¥31,900、ウールジャージイージーワイドパンツ¥28,600/ともにハウス オブ ロータス ニ子玉川店
撮影/平岡尚子 文/工藤花衣 協力/Hanacho
大人のおしゃれ手帖2023年2月号より抜粋
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