【収納のセオリー】2つのルールで自宅の空間をすっきり快適に!
家が狭くて家事効率が悪い、でもモノを大量に捨てるのは大変……。
そんな悩みを解消すべく、建築家の視点で考えた合理的なセオリーを教えてもらいました。
教えてくれたのは・・・
一級建築士
水越美枝子さん
暮らしに寄り添い、根本から収納を見直すリフォームが人気。
著書『一生、片づく家になる!』他多数。
目次
新ルール2
散らからない部屋になる
動線を意識した配置で収納する
モノの適所適量を再確認して
家の中に物を置くには、適所適量の法則があります。
「少し手間ですが、家の中でよく使うもののリストを作り、次の項目にあてはまっていないか、チェックするのがおすすめです」。
項目は、
❶ よく出しっぱなしになる
❷ 家族によく場所を聞かれる
❸ 場所が遠く感じられる
❹ 出すのが面倒になる
❺ よく行方不明になる
の5つ。
ひとつでも当てはまるものは、今の収納場所が、適所でない証拠。
キッチンであれば、水まわりで使う鍋やボウルはシンクの下、コンロで使うフライパンやお玉はコンロまわりなど、合理的な場所になっているか、改めて見直しましょう。
モノには指定席を決める
家にあるものすべてに、決まった置き場所をつくりましょう。
家族全員がよく使うものは、みんなが集まるリビングで、取り出しやすい高さに指定席をつくります。
宅配食品のケースなどいつも家にあるわけではないもの、使ったけれどまだ洗わないエプロンなど、中途半端なものも、すべて置き場所をつくればすっきり。
使うもののそばに収納する
指定席を決めるときは、家事の動きや、家族の行動を思い浮かべ、
どこに物があったら歩かずに済むかを考えます。
ちょうどよい場所の収納は、すでにふさがっているという場合は、中身を出して入れ替えるチャンスだと考えて。
用途を把握しやすい、キッチンや洗面所などから手を付けるのがおすすめです。
数が多いものは一軍、二軍に分ける
手持ちのものをすべて同じ場所に収納して、取り出しづらくなっていませんか?
そんな時は、すぐ使う「一軍」と、ストックや来客用の「二軍」に分け、「一軍」だけを取り出
しやすい場所に入れます。
ストックが多すぎるなら、思い切って処分を。
収納場所を決めるときは高さにも着目
人が見やすい場所は、高さ70cmから女性で140cmくらい。ですから、そこにはよく使うものを収納します。
靴箱や洗面所、キッチンのパントリーなどの収納も使用頻度の多いものをその高さに置いて。
それよりも下はかがまないと見えづらいので、引き出し式収納がおすすめ。
メッシュ素材のカゴが、中身が見やすく便利です。
ゴールは歩かずに家事ができる家
手の届く場所に必要なものがあって、使い終わったらすぐに決まった場所に戻せる。
家族に収納場所を聞かれることもない。それが、目指すべき理想です。
家のスペースごとに役割を考え、収納場所を見直しましょう。
〈キッチン〉
水まわりとコンロまわりを基準に動線をつくる
手を伸ばすだけでよいコックピットを目指して
使いやすいキッチンとは、調理台から手が届く範囲にすべてが収納されている、コックピットのようなキッチンのこと。
調理台の背面に家電が置かれ、そのそばに食器が収納されていれば、流れにそってスムーズに作業できます。
食器を棚にしまう場合も、大皿はコンロに近い場所、コップは冷蔵庫やシンクから近いところにするなど、配置を見直すといいでしょう。
家電は引き出し式が便利
炊飯器やホームベーカリーなど、家電の数が増えがちなキッチン。
使いたいときにだけ引き出せる、スライド式収納がおすすめです。
よく使うけれど、大きくて場所をとる電子レンジは、吊り戸棚の一部を改装して、目の高さに吊るす収納にするのもおすすめ。
シンク下に必要なものをセット
調理器具はワンアクションで取り出せるように収納を。コンロ下にはフライパンや調味料類、シンク下には鍋やボウル、まな板を。洗剤やスポンジもシンク下に収められるとスッキリします。ファイル立てやボックスをうまく活用すれば、ラップなども収まります。
食器類は引き出しに入れて
季節や料理によって使い分けることが多い食器。数が多い場合は、棚に収めるよりも引き出し式の収納のほうが、ひと目で中を見渡すことができて便利です。スカスカに入れると食器が動いてしまうので、すべり止めを敷き、ぎっちり詰めるのがコツです。
グラスは背面に収納する
家族も取り出して使う頻度の多いグラスやカップ類は、シンクのまわりの吊り戸棚に収納するのが動線的によい場所です。
積み重ねずにひとつずつ入れたほうが、取り出しやすくなります。
〈洗面所〉
個人のアイテムはそれぞれに分けるのがコツ
家族の出入りが多いので 人別にアイテムを整理したい
家族が多いほど使う頻度が高く、モノの出し入れも多くなる洗面室。
洗面のほか、洗濯や歯磨き、スキンケア、入浴時の着替えと、やることが多い場所です。
水垢やほこりがたまりやすいので、掃除の手間を考えると洗面台の上のものは少なくしたいもの。
個人別にアイテムを収納できるのが理想的。
こまごましたものが多いので、高密度収納にすればモノが収まります。
グッズは人別に整理
洗面所で使うものは細かいので、みんなが出しっぱなしにすると、片付かない状態に。
化粧品や洗面グッズは個人のカゴを用意にして、そこにしまうルールにするのがおすすめ。
使うときはカゴを洗面台に出し、終わったらしまうルールにします。
洗濯に使うものはまとめる
洗濯機の置き場所である洗面所。
洗濯ハンガーなど、洗濯もの干しに使うグッズは、バーを設けるなどしてまとめて収納を。
外に干した洗濯物が乾いていないときに、一時的に吊るせる場所もあると便利です。
〈ダイニング&リビング〉
家族の共有物をまとめて収納
役割の多いダイニングとくつろぐためのリビング
ダイニングは、食事のほかにパソコンを使ったり新聞を読んだりさまざまなことをする場所。
書き物をすることも多いので、必要なものがすべて入る場所があると便利です。
それにつながるリビングは、くつろぐためのスペース。
ここはあまりものをごちゃごちゃ置かず、ソファに座った時に目に入るのは、お気に入りの雑貨とグリーンだけ、という配置が理想的です。
取り皿やカトラリーは
ダイニング側にあるのが◎
取り皿やカトラリーなど、ダイニングテーブルに並べるものは、キッチンではなくダイニング
側にあると、家族に配膳を手伝ってもらいやすく便利です。
カトラリーはケースやカゴで分類しておいて、必要な時はそれごとテーブルにのせるのも◎。
キッチンカウンターの下に収納がある場合は、有効活用できるといいでしょう。
書類や薬はカウンター下にまとめる
家族全員が使う書類、薬関係、文房具などはダイニングテーブルのまわりに収納場所を確保。
ダイニングで書き物をすることも多いので、文房具の一軍だけをトレイなどで仕切っていれておくのがおすすめ。
カウンターを活用するか、薄い収納棚があると便利です。
ワークスペースはコンパクトに
ダイニングの一角にワーキングスペースがあると、テレワークはもちろん日常の家事のときにも
便利です。
カウンターの一部を活用したり、奥行きの浅いデスクを置くのがおすすめ。
ワーキングスペースには必ず収納を設けることで、すっきり使えます。
「見せる収納」をつくる
インテリアの中で、視線が集まる場所をフォーカルポイントと言います。
フォーカルポイントを整えると、空間が美しくなり、くつろぎ感がアップ。
壁のニッチの部分に雑貨を飾ったり、ガラスの吊り戸棚に食器を飾って楽しむのもよいでしょう。
〈玄関〉
外出時にバタバタしないために大切なことは?
家の顔、玄関の土間に置きっぱなしはNG
玄関に、外出時に使用する物を収納することができれば、ほかの部屋が散らかりにくくなる効果があります。
出かけるまでの動線が短くなるので、忘れ物をしたりバタバタ慌てることもなし。
とはいえ、家の顔ともなる玄関。
ほっとした気分になれるよう、物の置きっぱなしは避けたいもの。
下足入れの棚板を増やしたり、トビラ裏を活用した収納がおすすめです。
コート掛けスペースをつくっておく
出かける前や外出時の動線を効率的にするために、玄関にコート掛けを作るのがおすすめ。
最近では、シューズボックスの隣にコートが入るつくりも多くなっているのでぜひ活用を。
ハンカチ&マスクなどはまとめておく
ハンカチやティッシュに加えて、マスクも外出時の必需品に。
玄関にまとめておき、出かける直前に身に着ける習慣にすれば、出かける前に寝室やリビングを往復する手間もなし。
撮影/Kayo Nagano イラスト/福岡麻利子 編集・文/田中絵真
画像提供/アトリエサラ
大人のおしゃれ手帖2023年3月号より抜粋
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