【桐島かれんさん】インタビュー
「50代後半、やりたいことはいくらでもある」
(大人のおしゃれ手帖2023年6月号)
都心から葉山の古い日本家屋へ。
草花を愛で、庭作りに勤しむ日々
「もともと私はいわゆる”都会っ子”なんです。昔だったら、東京から離れるなんて想像もできなかったし、海外に住むなら絶対にニューヨークかロンドンかパリ!と言っていたくらい、人が大勢いる賑やかな街が好き」
そんな桐島かれんさんが、東京から神奈川県の葉山へと拠点を移したのは、昨年11月のこと。
現在は海を一望できる高台の家で、今月号の表紙をともに飾ってくれた愛犬・ダリたちと、自然に囲まれた日々を送っています。
都会育ちだったかれんさんの心境の変化は、年を重ねるにつれて、暮らしを楽しむことに目が向いてきたことが理由。
「みなさんもそうだと思いますけど、30代、40代は仕事や家事に忙しくて、あっという間に過ぎてしまいますよね。でも夫も60代になり、私も50代後半になって、もっと暮らしを豊かにするために時間を使いたいと思うようになったんです。
この家は別荘として使っていましたが、私は年に数回程度しか来られなくて。海辺なので、人がいないと傷んでしまうのも気になっていました。
ここに住むならまだ体力があるうちがいいと思っていたし、ちょうど息子が大学生になって手が離れたこともあって、思い切って葉山で暮らし始めました。
実は長女が生まれたときも葉山に住んでいたので、このあたりにはなじみがあるんですよね」
外へ出かけるよりも、自分好みに整えた家で、のんびりと心地よく過ごしたい。
そう考えるようになったのは、ステイホームの影響も大きかったそう。
「都心のおしゃれなレストランで食事をしたり、買い物をしたり……といった楽しみが、コロナ禍のときになくなったのも大きいですよね。いざ、そういうものから離れてみたら、意外と平気だった。
葉山に移ってからはお洋服を見に行く機会も減ったけど、代わりに駅前の魚屋さんや農家の直売所へ行くのが楽しい。時季になると毎日のようにしらすを買って、丼にして味わっています。
夜はとても静かですが、もう少し経つと海岸に海の家が並んで、遠くから子どもたちがはしゃぐ声が聞こえて、夏らしい雰囲気に。
わが家でも庭でスイカ割りをしたり、部屋を夏仕様に模様替えしたりして、季節を楽しんでいます」
現在の家は、築100年を超える、数寄屋造りの日本家屋。
古さを活かしつつも、住みやすく手を入れた部屋には、かれんさんや写真家の夫・上田義彦さんが世界各地で集めてきた工芸品やアートが並びます。
ちなみに、右の写真でかれんさんとダリが座っている後ろにかけられた絵は、かれんさんが上田さんの誕生日に贈ったものだそう。
50代後半、やりたいことはいくらでもある
そして、何よりもこだわっているのが、都内に住んでいたときよりも格段に広くなった庭で楽しむ、趣味のガーデニング。凝り性なかれんさんだけに、いっそう力が入っているようです。
「夫に石を組んで花壇を作ってもらったり、生ごみを堆肥にするコンポストを設置したり、土を耕したり……と、やることがたくさん! 前の家ではプランターで野菜を育てていたけど、今の家では地植えができるので、よりいろんな品種にトライできそう。
ダリも縄張りが広がって嬉しそうだし、高齢で目が見えなくなった先住犬のセザンヌも、庭で草の匂いを嗅ぐと落ち着くようです。動物たちには幸せな環境ですよね。
もちろん私自身も、毎日がバカンスのようなこの景色に癒やされています。
最近は毎朝、リスやカエルの鳴き声に起こされていて。私の枕元のすぐ側に雨樋があって、そこをリスが駆けていくので、すごく騒がしいんですよ(笑)」
庭作りを始める前には本やネットで徹底的にリサーチし、興味が湧いたことにはすぐ挑戦するのが、かれんさんのスタイル。
そこにあるのは、「まずはなんでも、自分でやってみよう」というDIY精神です。
「私は誰にも相談しないで、なんでも勝手に始めるタイプ(笑)。ひとり遊びが好きなんです。間違ったり、失敗したりもするけど、そのプロセス自体も楽しいから。
よく参考にしているのが、海外のガーデニング系YouTube。まだ日本では普及していないような、植物の育て方や畑の作り方を教わることができるんです。
例えばアメリカの若いファーマーの間では、畑の土を耕さずに育てる方法が流行っているのですが、私もそれを試してみたくて。夫には『土はちゃんと耕すものだ』と反対されましたけど(笑)。
新しいメソッドを知るとすぐに触発されて、自分でもやりたくなってしまうんです」
英語圏の動画までチェックすることで、得られる情報も広がり、そこから新たな暮らしのアイデアが膨らむことも。
「最近気になっているのが、自給自足をしている海外の若手YouTuberの動画です。
鶏や牛を飼って、畑を耕して、庭の手入れをして収穫して……という暮らしを発信しているのですが、みんなおしゃれで、料理もプロ並み。動画の編集も上手です。
秋になると、収穫した野菜と果物で冬を乗り切るためのピクルスやトマトソースなどの保存食を作るのですが、その瓶がずらりと並んだ様子もかわいくて!
そうした動画からも刺激を受けています。私も庭が落ちついたら、次は〝食〟を探求していこうかな。パンも焼いてみたいし、パスタも打ってみたい。
やりたいことはいくらでもあるんです」
KAREN KIRISHIMA
1964年、神奈川県生まれ。モデルとして活躍する傍ら、ファッションブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターを務め、世界中を旅して得たインスピレーションを活かした服や雑貨をプロデュース。写真家の上田義彦さんと結婚後は、4人の子を育てながら日々の暮らしを提案。母・桐島洋子さんの自伝に加えて、かれんさんら3人の子どもが母への思いを綴った『ペガサスの記憶』(小学館)も話題に。
かれんさん着用:ワンピース¥42,900、パンツ¥26,400/ともにハウス オブ ロータス(ハウス オブ ロータス 二子玉川店)
SHOPLIST
ハウス オブ ロータス 二子玉川店 03-6431-0917
撮影/浅井佳代子 スタイリング/小暮美奈子 ヘアメイク/福沢京子 文/工藤花衣
大人のおしゃれ手帖2023年6月号より抜粋
※この記事の内容及び、掲載商品の情報・価格などは2023年5月時点の情報です。販売が終了している可能性があります。ご了承ください。
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