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2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
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夏に観たい名作3選

中山恵子

海辺のポーリーヌ

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『海辺のポーリーヌ』©1983 - LES FILMS DU LOSANGE - C.E.R. COMPAGNIE ERIC ROHMER


まぶしい太陽、夏休み、いつもと違う特別な何かによって、夏の出来事は深く心に刻み込まれるのかもしれません。そんなシーンは映画にも多く描かれています。今回は、忘れがたいひと夏の恋や冒険を描いた珠玉の名作として、『君の名前で僕を呼んで』『スタンド・バイ・ミー』『海辺のポーリーヌ』の3作品を紹介します。

青年同士の瑞々しく鮮烈な夏の恋
『君の名前で僕を呼んで』(2017年)

君の名前で僕を呼んで©Frenesy , La Cinefacture

 1983年の夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオが暮らす広大な家に、大学教授の父の助手として24歳の大学院生オリヴァーがやってきます。美形で自信にあふれていて人気者のオリヴァーに最初こそ反発心を抱いていたエリオですが、次第に彼に惹かれていき、その気持ちを隠せなくなっていきます。しかし、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいて……。

君の名前で僕を呼んで

©Frenesy , La Cinefacture

君の名前で僕を呼んで

©Frenesy , La Cinefacture

 エリオ役はティモシー・シャラメ、オリヴァー役はアーミー・ハマー。緑が輝く夏の庭でアプリコット・ジュースを飲み干すオリヴァーの姿を見つめる少年エリオの眼差しが永遠の恋の始まりを予感させます。濃厚な夏を経て、色のない冬へ。すべてのシーンが美しい作品ですが、とりわけラストシーンの数分間にわたるシャラメの表情は心に迫るものがあります。

君の名前で僕を呼んで©Frenesy , La Cinefacture

 原作を脚色したのは、イギリス上流階級の青年同士の恋を描いた名作『モーリス』で監督を務めたジェームズ・アイヴォリー。まだ若く無邪気なエリオの視点から同性愛を描くことで、普遍的で瑞々しい恋愛映画の傑作となりました。

君の名前で僕を呼んで

『君の名前で僕を呼んで』

Blu-ray¥5,280
DVD¥4,290 
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング


会えなくても、友への思いは変わらず
『スタンド・バイ・ミー』(1986年)

スタンド バイ ミー©1986 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 1959年の暑い夏、オレゴンの小さな町で、12歳の少年4人組(ゴーディ、クリス、テディ、バーン)は“死体探しの旅”へ。列車に轢かれたと噂される死体を発見すれば有名になれるという好奇心から、ひたすら線路沿いを歩く4人組。その2日間の冒険を描いただけでありながら、少年たちがくだらない話をしては笑い、「食後の一服は最高」とタバコを吸い、家庭の悩みを思い出して泣き、大人になりたくないと思う、その姿に少年時代のすべてが詰まっています。

スタンドバイミー©1986 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 名作ゆえ繰り返し観ている、という人も多い作品。筆者は日本公開時に観た記憶がありますが、当時は中学生で、少年たちと近い年齢でした。覚えているのは、“ヒマシ油”と“ヒル”、そして不良グループのエースが憎らしいこと。とにかく、あのヒマシ油は強烈だった……。

リヴァー・フェニックスが©1986 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 ただ、その後は、もう物語をありのままでは見ることができていないように思います。というのは、本作に奇跡的な輝きをもたらしたクリス役のリヴァー・フェニックスが、1993年に23歳でこの世を去ったから。若手スターの筆頭格だったリヴァー。『スタンド・バイ・ミー』の劇中で、中年になったゴーディがクリスを回想する言葉が、そのままリヴァーにも重なります。訃報からもまもなく30年がたちますが、今なお色褪せない夏の名作です。


スタンド バイ ミー

『スタンド・バイ・ミー』

デジタル配信中
Blu-ray¥2,619
DVD¥1,551
4K ULTRA HD¥5,217
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント


15歳の少女が巻き込まれるひと夏の恋愛模様
『海辺のポーリーヌ』(1983年)

海辺のポーリーヌ©1983 - LES FILMS DU LOSANGE - C.E.R. COMPAGNIE ERIC ROHMER

 夏のノルマンディを舞台に、15歳の少女ポーリーヌの視点から大人たちの恋愛模様を描いたフランス映画。ヌーヴェル・ヴァーグの名匠エリック・ロメール監督による連作≪喜劇と格言劇≫シリーズ第3作で、副題は12世紀後半の詩人クレチアン・ド・トロワの言葉「言葉多きものは災いの元」。

海辺のポーリーヌ©1983 - LES FILMS DU LOSANGE - C.E.R. COMPAGNIE ERIC ROHMER

 まだ本格的な恋愛をしたことのないポーリーヌは、色っぽい年上の従姉マリオンと海辺の別荘を訪れます。紫陽花が咲く庭で、恋への憧れを語るポーリーヌ。そこにマリオンの元恋人ピエールとその知り合いの男性アンリが現れ、さらにポーリーヌは少年シルヴァンと出会い……。音楽はダンスをするときにレコードをかけるくらいで、波の音がリアルな夏を感じさせる本作。かといって静かな作品ではなく、大人たちは恋愛の悩みや相手への思いをひたすら語っていますが、そこに深刻さはありません。恋の駆け引きに巻き込まれるだけのポーリーヌが、誰よりも聡明であるという喜劇なのです。

海辺のポーリーヌ©1983 - LES FILMS DU LOSANGE - C.E.R. COMPAGNIE ERIC ROHMER

 ポーリーヌのセーラーカラーのブラウスや健康的な肉体美を強調する小さなビキニ、一方、セクシーなマリアンヌが着るシックなワンピース水着など、フランス映画らしい夏のファッションも魅力です。

海辺のポーリーヌ

『海辺のポーリーヌ』《HDレストア版》

DVD¥5,280
発売元:シネマクガフィン
販売元:紀伊國屋書店


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構成・文

中山恵子

ライター中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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