【大人旅】緑と水の美しい鬼怒川
200年の歴史を持つ黒羽藍染の工房を訪ねて
開湯300年以上を誇る、歴史深い鬼怒川温泉。
豊かな水をたたえる鬼怒川の流れ、その雄大な渓谷を臨む山紫水明の温泉郷に手工芸作家の堀川波さんが訪れました。
緑と水の美しい温泉郷を訪れた前回に引き続き、今回は黒羽藍染(くろばねあいぞめ)の工房を訪ねました。
今回の旅人は・・・
手工芸作家・イラストレーター
堀川 波さん
本の執筆の他、籐や布小物の制作も行い、ファッションやライフスタイルにもファン多数。近著に『刺し子糸で楽しむ刺繍』(誠文堂新光社)など。
歴史を支える若手職人から藍染めの手業を楽しく学ぶ
「界」に滞在するもうひとつの楽しみが、地域の文化を継承する職人、生産者に会い、楽しみながら伝統文化を学べる「手業のひととき」。
ここ「界 鬼怒川」では、200年の歴史を持つ、栃木県伝統工芸品・黒羽藍染の工房を訪ねます。
手作りが好きな堀川さんも興味津々で参加。
訪れたのは、1804年創業の「黒羽藍染紺屋」。
小沼雄大さんは、江戸時代からこの地にある藍染めの甕と黒羽藍染めの技を引き継ぐ、ただひとりの職人。
デザインから型紙制作、染め上げまで、すべての工程を担っています。
まずは、藍染めの歴史と特徴を伺い、小沼さんが多く手掛ける「型染め」のもとになる柄を、小刀で彫っていく作業を体験。
細かな手作業に慣れている堀川さんも、その緻密さに驚くほど。
その後、通常は足を踏み入れることができない工房へ。
連綿と受け継がれてきた藍場(藍甕が並ぶ場所)は、伝統の凄みを感じる迫力が。
ここでは、型染めで使用するのりを液状にして、筆などで手ぬぐいに自由に模様を描く「フリ」にチャレンジ。
「藍染めの美しさにはあらためて驚きました。間近で見た藍の色、職人さんの技にも感動です」と堀川さん。
後日、小沼さんが染めて完成した手ぬぐいが自宅に届くのを楽しみに、工房を後にしました。
体験START!
① 藍染めの作品となる、いろいろな模様の「型」を見学
「模様の美しさは、こうするとよくわかりますよ」と、小沼さんが型紙を光にかざすと、繊細な柄が浮かび上がる。
同じ柄で作った品。
堀川さんが風車柄の型紙に挑戦。
乱れなくひとつひとつの柄を彫るには大変な集中力が必要。
「思ったよりも難しい!」と堀川さん。
② 工房で、生地に柄を写すのり付けを体験
実際に使っているへらを借り、持ち方から教わる。
やわらかいのりをすくうのも、均等に塗っていくのも難しい!
全体に塗り終えてゆっくり型紙を外していくと柄が布に写っている。
のりの量が均等でないと、柄の濃淡にバラツキが出て、美しく仕上がらず売り物にならない。
③ 200年引き継がれてきた藍あい甕がめが並ぶ藍場も拝見
藍場にも入らせいていただき、小沼さんが染液で染色する様子を見学。
美しい本物の藍色に見入る。
工房では、型紙を使わず、筆を使って自由にデザインをする「フリ」という手法を体験。
モダンな模様が! これを小沼さんが染め、後日完成した手ぬぐいが自宅に届く。
自分だけのオリジナル作品を作ることができる。
今回体験したのは・・・
『200年の歴史を継ぐ黒羽藍染の若手職人による工房ツアー』
【開催日時】2023年 11月7日、21日、2024年1月9日、23日、2月6日、20日
宿泊翌日の13:00~15:00(黒羽藍染紺屋に現地集合・解散)
【料金】1名¥11,000(宿泊料別)
【申し込み】公式サイトで4日前まで受付
教えてくれたのは・・・
黒羽藍染紺屋八代目
小沼雄大さん
1985年生まれ。江戸川区指定無形文化財・長板中形の技術保持者、松原與七氏に師事。24歳で1804年創業「黒羽藍染紺屋」の八代目に。「自然の染料にしか出せない色合いの魅力を伝えたい」。
栃木県・鬼怒川温泉
界 鬼怒川
栃木県日光市鬼怒川温泉滝308
1泊¥31,000~(2名1室利用時1名料金)税・サ込、夕朝食付き
【電車】東武鉄道鬼怒川線鬼怒川温泉駅より車で5分
【車】日光宇都宮道路今市ICより約25分
☎︎:050-3134-8092(界 予約センター)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikinugawa/
〈information〉
星野リゾートが運営する温泉旅館ブランド「界」。現在全国22か所に展開し、「王道なのに、あたらしい」をテーマに、快適な和の空間、その地域や季節ならではのおもてなしを用意。地域文化を楽しめる特別なサービスも提供しています。
撮影/白井裕介
大人のおしゃれ手帖2023年10月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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