【舞台・インタビュー】麻実れいさんインタビュー
50代の女性たちへ~「思い悩まず、身近な人の存在を大事に」
人には負けても、自分に負けたくない
きっと、これからもっと変わってくるはず。麻実さんはそう言い、目を輝かせます。自分らしさの核を持ち、分け隔てなく人と手を取り合いながら未来を夢見る――そんな瑞々しい心を、どうしたら持ち続けられるのでしょう? そう尋ねると、おおらかに「悩まないことですよ」という答えが返ってきました。
「私なんて、単純そのもの。血液型がO型なせいもあってか、ものごとをシンプルにしか考えられないのね。やめたかったらやめればいいと思いながら、お客さまが注目してくださったとか、スポットライトが自分にも当たり始めたとか、そんなささやかな喜びの積み重ねでここまできた。でも、自分との戦いだけはずっと積み重ねてきました。私は、人に負けるのは何でもないけど、自分にだけは負けたくないの。そこが、私の命綱」
さらに、仲間の存在を感じることが力になっていると、麻実さん。
「演劇を志向する仲間たちと、皆で産みの苦しみを味わいながら、ひとつの物語を作り上げてお客さまに届ける……私たちの仕事は厳しいところもあるけれども、それをずっとやってきたということには揺るぎがないんでしょうね。もちろん、他のお仕事をされている方、社会で生きていらっしゃる方にもいろんな出会いがあって、同僚やお友だちがいて、家族がいて。お互いに話をすれば、世界が広がるじゃないですか。嫌なことは自分で乗り越えなければどうしようもないけれど、それを支えてくれる人たちがいらっしゃるのは、幸せなことですよ」
50代はとてもいい時期、と麻実さん。その日々をさらに充実させるためにも、ぜひ周囲への目配りを、と言葉を重ねます。
「私にも宝塚時代の同期生がたくさんいるけれど、忙しくしていて時間がなかったのね。同期会に参加したいなと思う頃には、体が言うことをきかなくなったりして……今から思うと、もったいない時期もあったな、と。ですから、まわりに目を向けて、会いたい人に会って、いろんなものを吸収してほしいと思いますね」
あさみ・れい/東京生まれ。70年に宝塚歌劇団入団、80年に雪組トップスター就任。85年の退団後も映像、舞台に精力的に出演し、読売演劇大賞最優秀女優賞、菊田一夫演劇賞など数々の賞に輝く。2006年紫綬褒章、2020年旭日小綬章。日本芸術院会員。
麻実れいさん出演舞台『インヘリタンス』
社会的分断が深まる21世紀のアメリカで懸命に自己を貫こうとするゲイ男性3世代の群像。マシュー・ロペス作、英・ローレンス・オリヴィエ賞、米・トニー賞各4部門に輝いた前後篇6時間超の大作の日本初演。後篇に出演し物語を締める役割を担う麻実さんは「亡き息子への愛、それだけはしっかりと掴んでお客さまに手渡したい」。共演に福士誠治、田中俊介、新原泰佑、篠井英介、山路和弘ほか。2024年2月11日〜24日、東京芸術劇場プレイハウスで上演。大阪、北九州公演あり。
撮影/白井裕介 取材・文/大谷道子
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