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【リリー・フランキーさん】「いろいろやってきたことが、ひとつのことにプラスになっている」/映画『コットンテール』インタビュー

大人のおしゃれ手帖編集部

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「私の遺灰をウィンダミア湖にまいてほしい」――。亡き妻による最後の願いを叶えるため、疎遠だった息子とイギリスの湖水地方へ。哀しくて美しい旅を描く日英合作映画『コットンテール』で、主演を務めたリリー・フランキーさん。イギリス人監督との仕事、独特だったという撮影の印象、そして「生活に興味が出てきた」といういまの心境について聞きました。

自分で妻の‟葬儀”を終わらせる、そんな旅を描く

 俳優としてもバラエティ番組のMCでも、「俺が」という押しつけがましさはゼロ。常に脱力しているようでいて、どんな世界観のどんな役回りであってもさらりとハマる……近年、さらに俳優としての存在感が増すリリー・フランキーさん。最新出演作は、日本に留学経験のあるイギリス人のパトリック・ディキンソン監督が、自身の経験を投影した映画『コットンテール』です。リリーさんが演じる兼三郎は、ひとりで介護した愛妻を亡くした小説家で、妻の最後の願いを叶えようとイギリスへ。離れて暮らす息子とその妻子も同行しますが、妻の記憶に沈む兼三郎とことごとく衝突してしまいます。

「脚本をいただいたのは4年以上前、撮影はコロナ禍の只中でした。イギリス人監督の書いた脚本ですが、まるで他人事に思えない。ちょっと前、昭和の時代はいまほど寿命も長くなく、家族はひとつの家に住むことが多かったように思いますが、これが新しいスタンダードなのかもしれないなと、世界を近くに感じるようでした。兼三郎という役はきっと、パトリックのお父さんがモチーフで。この物語も十年ほど温めていたようです。とくに溝口健二監督の映画が好きだそうで、日本で撮影したい!という思いがあったんでしょう。一年ほど留学して日本のことにとても詳しいので、パトリックの頭の中にあるものを再現する、撮影はそんな作業だった気がします」

 サマータイムのあるヨーロッパでは、夜でも昼間のように明るい。終電が終わったことを示すために駅員が改札にチェーンをかけるシーンを撮影するも、本編ではカットに。「たった1秒ほどのシーンでも、そうした説明は必要ないと潔く思えるってなかなかすごいこと」とリリーさん。一方、イギリス人の目で描く日本が、新鮮に映る面もあったそう。

「息子が‟お父さんともっと話をしたかった”と口に出して言うのって、日本映画であまり描かれないですよね。僕も兼三郎同様、典型的な独居老人ですから! 用事がなければ、全然家から出ない。奥さんも息子もいないから、僕のほうがどことも繋がってません(笑)。兼三郎というのは仕事がパッとしないまま年を取り、息子には‟忙しかった”と詭弁を言う。家庭を顧みないまま妻と死別して悔恨の念にかられるというのは、世界中のおじさんが抱く感覚でもありますよね。だからこのおじさん、兼三郎は自らの行動で妻の‟葬儀”を終わらせるしかない。そんな旅なのかなと」

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