【佐藤二朗さん】インタビュー「やりたいことができるのも、大人の特権」
多くの映画やドラマで、唯一無二の存在感を発揮する俳優の佐藤二朗さん。3月15日公開の映画『変な家』では、一風変わったミステリー愛好家の設計士を演じています。話題のYouTube動画をもとにした本作の見どころ、そして「大人のおしゃれ手帖」読者と同世代でもある佐藤さんに、充実した50代を過ごすヒントを尋ねました。
“ちょっとした違和感”がより恐怖をかき立てる
映画『変な家』は、再生数1600万回を超えるYouTuber・雨穴(うけつ)氏の動画と、それをもとにしたWeb記事から生まれた同名小説を実写化したもの。家の購入を決めた知人から不可解な間取りについて相談された主人公が、間取りの謎を調べていくうちに、驚きの真実にたどり着く……というミステリーです。
「あからさまな怖さではなく、間取りに対する違和感から始まっていく点が新しいなと。間取りって、ほぼすべての人が関わった経験があるものだし、大きな違和感よりも、“ちょっとした違和感”のほうが怖いじゃないですか。“ゾクッとミステリー”というキャッチコピーが付いているとおり、まさに、ほかのミステリーにはない“ゾクッと”があるし、それはこの作品の大きな魅力だと思います」
佐藤さんが演じるのは、主人公の雨宮から相談を受ける、ミステリー愛好家の設計士、栗原。間宮祥太朗さん演じる雨宮とバディとなって間取りの謎を解明していく人物ですが、どのようにキャラクターを作っていったのでしょうか。
「栗原は本だらけの部屋に住んでいて、劇中でも雨宮から『なんですか? この部屋…』と聞かれて、『ミステリーと建築の本に囲まれる、これ以上いい部屋はないでしょ』と答える。そういう人なんですよね。あることには突出しているけど、ほかのことには不得手な人っているじゃないですか。たとえば、僕の親しい演出家の鈴木裕美さんという人は、こと演出に関しては並外れた能力を持っているけど、携帯とかはあたり構わず忘れるんですよ。稽古場に忘れる、居酒屋に忘れる、タクシーの中に忘れる……。でも本人はどうしようもないんですよね。僕はそういう人にすごく魅力を感じるんです。栗原も、ミステリーや建築に関する分析や洞察に夢中になると、ほかのことはどうでもよくなっちゃうし、靴下が脱ぎかけになっていても気づかない。そういう人物だというイメージで演じました。それに、間宮演じる雨宮が、ご覧のとおり超イケメンですから(笑)。そのバディはちょっと変だったりする方が、コンビ感は出るかなとも思いました」
どんなに変な人でも、「いるかも」と思わせることが大事
そうした中でも、「絶対に外せない」と佐藤さんが考えたのが、「本当にこういう人がいるのかも」と見る人に思わせるリアリティ。
「よく取材で言うんですけど、“変な人”をやるときにいつも気をつけているのは、『変な人だけど、こういう人いるかも』と思わせること。実はどの役をやるときも同じですけどね。この『かも』がとにかく大事だと思っていて。『かも』がなくなって、『こんな変な人はいるわけないよ』って思われちゃったら、お客さんはマッハの速度で引いていっちゃう。下手すれば作品にものめり込めなくなっちゃうから、そこだけは大事にしたいですね」
「間取り」という題材から、約30年前に夫婦ふたりで風呂なし・四畳半の部屋に住んでいた頃のことも思い出したそう。
「当時、妻が毎日のように『将来、こんな間取りの家に住めたらいいな』と言いながら、空想で考えた間取りを紙に書いていたんです。栗原には空想癖や妄想癖があるので、あの頃の妻との合作のつもりで演じました」
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