【能登半島地震】南果歩さんー復興に思いを寄せるー 被災地を活気づけるシェフとの出会い
炊き出しで気付いた、力を合わせることの強さ
復興、そして新たな和倉温泉を目指して
被災地を訪ねることで、「私のほうがたくさんのものを与えてもらっています」と話す果歩さん。子どもたちと過ごす時間の楽しさはもちろんのこと、地域の方々とお話ができる時間もかけがえのないものです。そこで生活する方々の、大切にしている何かを少しでも聞かせてもらいたくて、読み聞かせの前後には地域の方々と交流を深めています。今回の能登では、自身も被災者でありながら地域の復興に尽力している、和倉温泉「レストラン ブロッサム」の2代目シェフ、黒川恭平さんにお話をうかがいました。
先は見えなくても、
目の前の食材は無駄にできない
「1月1日は、お正月のオードブルの注文が入っていたので、店でその支度をしていました」と、黒川さんは震災の日を振り返ります。これまでに経験したことのないほどの強い揺れに、厨房では揚げ物の油がバシャバシャと波打ち、調理道具や食器が床に落ちて割れ、壁も崩れるほどの被害に遭いました。家族もスタッフも無事だったものの……。
「店内はどこから手をつけたらいいのか計り知れない状況で、途方に暮れました。けれども、冷蔵庫を開けると食材はたくさん残っている。それをダメにはしたくありません。周囲の旅館も同じような状況で、『食材、使わんか?』と連絡をもらっていたので、それならば、避難所にいる人たちのために炊き出しをしようと思い立ちました。同業者に電話をかけると、みなさん二つ返事で動いてくれました」
黒川さんは他の炊き出しチームとも連携をとりながら、同じメニューが続かないように気を配り、炊き出しを続けたそうです。果歩さんが「自身も被災しながらだったのに、どんなことが心の支えになったのでしょうか」と尋ねます。黒川さんから、きっぱりとした答えが返ってきました。
「水もない、道具もない、衛生面でも非常に気を使うような状況でも、『食』で人に喜んでもらうことができるんだと、そう思えたことは、料理の仕事を再認識する機会になりました。そして、炊き出しひとつにしても、ひとりじゃ何もできないことを実感しました。農家さんたちが食材を提供してくれたり、金沢の料理人の方々が情報をくれたり、たくさんの方々から支援金が集まったりしたことが、いま、大きな力になっています」
和倉温泉「レストラン ブロッサム」
二代目シェフ、黒川恭平さん
専門学校卒業後、京都のフレンチ懐石や、フランスの星付きレストラン、大阪「ラシーム」を経て、北陸新幹線開通を機に帰郷。両親が営む「レストラン ブロッサム」を受け継ぎ、バラエティに富んだ洋食からフレンチのコースまで提供。日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」ではファイナリストの5人に選ばれた。
小さな店から、あかりを灯そう
苦難を乗り越え再オープン
「レストラン ブロッサム」は、3月より営業を再開。そこには、地域復興に向けての黒川さんの思いがあります。
「和倉温泉には21軒の旅館がありますが、それぞれに被害が大きく、再開が進んでいません。そうすると、夜、街が真っ暗になってしまうんです。うちのように小さな店からオープンして、街に明かりを灯そうと思いました」
お話をうかがったあと、せっかくの機会だからと取材スタッフ全員で食事をいただきました。京都やフランスで修業を積んだ黒川さんのお料理は、素材を最大限に生かした洗練の味。能登の自然の恵みを堪能し、果歩さんも「来てよかった」とつぶやきます。
玄関口である和倉温泉の復興が、
奥能登の復興につながることを祈って
「震災から数ヶ月、ようやく能登を訪れることができましたが、実際に自分の目で見てみないとわからないことがいっぱいありました」と果歩さん。旅館のいくつかが再開できたとしても、当面は、復旧工事のために訪れる関係者の宿泊受け入れで精一杯だそうです。それでも、金沢に泊まって、そこから食事や温泉に訪れてもらえたらと、黒川さんは言葉に力を込めます。
「和倉温泉は、能登半島の観光の玄関口。この温泉が早く復興することが、奥能登の復興にもつながります。それを目指して、飲食店、旅館、スポーツ関係者などが力を合わせ、新しい和倉温泉をつくっていこうとしています。まずはぜひ日帰りで、足を運んでいただけたらうれしいです」
七尾湾で捕れる能登牡蠣を使ったアヒージョ
地元農家さんの野菜を使った農園サラダ
大粒のホタルイカを使った和え物
「トロけるバスク(バスクチーズケーキ)」
オンラインショップでもお取り寄せ可能な「トロけるバスク(バスクチーズケーキ)」が絶品。能登の天然塩とフランス産クリームチーズなど贅沢な材料を使って、パティシエが温度と焼き時間を細やかに設定することで理想の口どけを目指したという、リピーターに愛される看板デザートです。直径15cmのワンホールが3540円(別途送料)。
レストラン ブロッサム
住所:石川県七尾市和倉町ヲ部22-2
アクセス:JR和倉温泉駅から2キロ、北鉄バス和倉温泉ターミナルから3分
電話:0767-62-2410
営業時間:11:00〜15:00、17:30〜21:00 休業日:月曜日(祝日の月曜日は営業)
写真/枦木功 原稿/石川理恵 協力/有永史歩
この記事を書いた人
ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中! ※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Instagram:@osharetecho
Website:https://osharetecho.com/
お問い合わせ:osharetechoofficial@takarajimasha.co.jp
関連記事
-
-
-
-
-
-
-
PR
-
PR
-
PR