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大人のおしゃれ手帖 1月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

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齋藤智子さんpresents 香りの力で自分を癒やす アロマの処方箋 vol.1

アロマの基本、働きを知る

一般社団法人プラスアロマ協会代表理事・アロマ調香デザイナー®️の齋藤智子です。
この度、「香りの力で自分を癒やす」をテーマに、アロマの基本から毎日の楽しみ方などをお伝えしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

さて、皆さんはどんな香りがお好きですか?
アロマといえば、ユズやヒノキなどの日本の精油、またローズやネロリ、ラベンダーといったお花の香りがお好きという方もいらっしゃると思います。
そんな香りには、実は私たちの毎日を心地よくしてくれるものがいろいろあります。

「なぜ心地よくなるの?」「リラックスできるの?」
それにはいくつか理由があります。
今回は、そもそもアロマセラピーって何? 精油って何? それが私たちとどういう関係があるの? というお話も含めて、アロマの基本をお伝えしていきます。
少し専門的なお話ですが、これを最初に知っていただくと、きっと役立つと思いますので少しお付き合いくださいね。

アロマセラピーとは?

アロマセラピーとは、アロマ(芳香)+セラピー(療法)という意味の造語です。
20世紀前半にフランス人化学者のルネ=モーリス・ガットフォセ(Rene-Maurice Gattefosse 、1881〜1950) によって名付けられました。
彼はアロマセラピーの発展に最も大きく寄与した人物の一人で、彼が実験中に大火傷を負い、その際にとっさに近くにあったラベンダーの精油をかけたところ、治癒が早かったということから療法として取り入れ始めたと、著書『Aromatherapie』の中で記されています。

精油って何?

精油とは、植物の「香りの成分」を蒸留などを行って抽出したエッセンスのことです。
100%混じり気のないものを天然精油(エッセンシャルオイル)と呼びます。
(アロマオイルという呼び方は、厳密にはアロマの天然精油を指すのではなく、化学的に作られた合成香料なども含む意味になります)

精油には、鎮静作用、抗菌作用、免疫賦活(アップ)作用、ホルモン様作用、加温作用など、非常に多くの働きを持つ成分が含まれています。

例えば、ラベンダーの精油の中には300種類以上の芳香成分が含まれていて、その中のひとつに「鎮静作用」があります。
ラベンダーの香りを嗅ぐと、張り詰めていた気持ちや体の強張りなどがふっとゆるんだりしてリラックスできるのは、この鎮静作用の成分が私たちに働きかけている、という仕組みになっています。

なぜ私たちに影響するの?

嗅覚は、人間の持つ五感の中でも他の4つの感覚と異なるルートで脳へ伝わります。
何かの匂いを嗅いだとき、鼻の奥にある嗅細胞から香りの情報が取り込まれて、私たちの自律神経などと深く関係がある「大脳辺縁系」という部分に電気信号となって届きます。その速さは約0.2秒! 一瞬でラベンダーやユズの香りの情報は脳に到達するのです。

その「大脳辺縁系」は、私たちの本能や情動を司る器官です。好きか嫌いかを一瞬で判断します。食べ物が腐っていないか、天敵が現れないか、生きるか死ぬか、という動物の本能に直結しているといわれています。
また、「大脳辺縁系」にある自律神経は、心や身体を活発にしてくれる「交感神経」と、休ませる「副交感神経」があり、両方がバランスを取りながら私たちの心身を支えています。

精油の芳香成分が瞬時に自律神経に伝わることで、汗を出そう、身体を温めよう、消化を促そう、といった私たちの意思ではコントロールできないところに指令を出してくれています。
つまり香りは、「嗅ぐだけ」で私たちの心や身体に何らかの作用をもたらしてくれるのです。

アロマというと「癒やし」というイメージはあるものの、医療ではないし、気分的なものと思う方も多いかもしれません。
しかし実際は、香りは嗅覚を介して脳に働きかけ、女性ホルモンの分泌にも非常に効果的に作用することがさまざまな研究によってわかってきています。
アラフィーに多いホルモンバランスの変化による「なんとなく不調」という状態に対しても、香りを上手に使うことで心も身体も安定させる作用は高いと思います。

アロマ調香デザインとは?

香りを混ぜ合わせることを調香(ブレンド)と言います。
複数の精油を混ぜ合わせることで、その人にぴったりなオンリーワンの香りや、リビング、寝室などに合わせた香りを楽しめる。より心地よい空間を作り出すことができるのです。それが私が構築したメソッド「アロマ調香デザイン®️」です。

人によって香りの好みはそれぞれ。また、そのときの季節や年齢によっても好き、嫌いは変わります。今の自分にとってぴったりの香りが何であるかを知ることは、あなたのライフスタイルを変えるきっかけになるかもしれません。

香りの選び方や組み合わせを知り、「自分らしく自然体であるための香り」をぜひ一緒に見つけていきましょう。


齋藤智子

一般社団法人プラスアロマ協会代表理事、アロマ調香デザイナー®️
京都で10代続く家に生まれ、白檀の香りに魅かれて調香の世界へ。20年間で創作した香りは6000種以上。代表作「TRANSITIONS」〜ミラノで最も美しい空気〜(Milano design award best technology賞)はミラノサローネで60万人の心を動かした。国内外で企業やブランドのアロマ空間演出を手がけるほか、美術館の創香などアート分野の企画も多い。近年は、日本各地の農家や蒸留所との連携、マーケティングやサイエンス分野の研究など香りの可能性を広げる活動も行う。著書『アロマ調香デザインの教科書』(BABジャパン出版)。

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