カテゴリー

人気タグ

大人のおしゃれ手帖 6月号

大人のおしゃれ手帖

最新号&付録

大人のおしゃれ手帖
2026年6月号

2026年5月7日(木)発売
特別価格:1680円(税込)
表紙の人:吉田羊さん

2026年6月号

閉じる

記事公開日

この記事の
関連キーワード

大人のおしゃれ手帖
の記事をシェア!

妻夫木聡さん「好きな人は、どこか自分に似ている」×石井裕也さん「『これ、どう思う?』と最初に聞きたいのは、彼です」

妻夫木聡さん「好きな人は、どこか自分に似ている」×石井裕也さん「『これ、どう思う?』と最初に聞きたいのは、彼です」

好きな人は、どこか自分と似ている―そんなふうに感じることは、ありますか?
俳優と映画監督として12年間、幾度もタッグを組み映像づくりに取り組んできた妻夫木聡さんと石井裕也さん。
新作映画の制作でより深めたのは、お互いへの信頼とシンパシー。同世代の絆からまた1本、珠玉の作品が生まれました。


演技にも人生にも、正解はない。
僕がもがく瞬間を捉えてくれる

石井裕也さん(以下、石井) 『人はなぜラブレターを書くのか』は、26年前に起こった地下鉄脱線事故で亡くなった男子高校生に、当時同じく高校生だったある女性が、事故から20年後にメッセージを送った実話がもとになっています。なぜ送ったんだろう? と興味を持ち、そこから物語を作りました。創作の許諾をくださった女性にはとても感謝しています。

妻夫木聡さん(以下、妻夫木) このエピソードを知らなかったんですが、聞けば聞くほどすごい話だなと思って。彼……信介さんの一生は短かったかもしれないけど、彼は今でも彼を知る人たちのなかにちゃんと存在していて、こうして映画になることで、僕たちのなかでも生きていく。これは前から考えていたことなんですが、死んで肉体はなくなるけれど、決してそれで終わりじゃなくて、その人の想いは誰かのなかで生き続けていく。だから僕は死が悲しい、恐ろしいものだとは、あまり考えていないんです。

石井 今話してくれた死生観、僕とまったく同じです。一瞬、「自分がしゃべってるのか?」と思いましたよ。

妻夫木 アハハ! そうなんだ。

石井 前にも、別の作品の衣装合わせのときに妻夫木さんを見て、まるで自分じゃないかと感じたことがありました。各年代で映画の主役を演じてきたから、多くの人が自分自身を妻夫木さんに投影してきたはずで、いわばアイコン。とくに僕のような同世代にとっては他人とは思えないところが……だから、ちょっと特別な思いを抱いているんです。

妻夫木 石井さんとは『ぼくたちの家族』(2014年公開)が最初ですが、もしかしたら僕も、石井さんと自分が似ていると潜在的に思っているのかもしれません。人間、やっぱり自分が好きだったりするじゃないですか。だから、似ている人と一緒にいたい……でも、石井さんはあんまり自分大好き!って感じじゃないですね。

石井 そうですね、そこまでは(笑)。『ぼくたちの家族』は29歳のときの監督作ですが、あの頃はいまにも増して、映画に対する気持ちが切実だったんです。大げさに言うと「これができなきゃ死ぬ!」みたいに。そんな思いを、妻夫木さんはずっと引き受けて演じてくださった。それを僕がいちばん近くで見てきたからなんでしょう。

戸惑うほど魅力的になる人。
ずっと困り続けていてほしい

妻夫木 今回、僕が演じたのは主人公のナズナ(綾瀬はるか・演)の夫・良一ですが、やっぱりちょっと僕に似ているところもあるのかな。優しいんだけど、どこかちょっと遠回りしてしまうところが……。石井さんを信頼しているのは、演じることに対しての答えを絶対に言わないところ。人がこの瞬間どう思うのかに正解はないし、言われたとしてもその通りに演じることはできないんですが、石井さんは、僕らがカメラの前で必死に生きている瞬間を撮ろうとしている気がして。

石井 亡くなった信介さんは僕と1歳違い。彼の気持ちだけでなく、彼の父親の気持ちもわかる年代になったんだなと思いました。それはやっぱり、家族をもったことが大きくて。テレビドラマ『乱反射』(2018年)は小さな息子を亡くす物語でしたが、あの頃はまだお互い独身だった。いま撮ったらまったく違うものになると思いますが、どちらがいいかがわからないのがまた、映画のおもしろさだったりもするのかなと。

妻夫木 そうですね。確かに。

石井 でも、妻夫木さんって基本的にいつも明るいですよね。前向きなことしか言わない。

妻夫木 そんなことないですよ! 真っ暗闇で、いつだって孤独の塊なんですから(笑)。仕事場でも実生活でも、ずっと戸惑ってばかりで……でも、そうやって悩み続けるのが生きてるってことだし、だからこそ幸せも感じられるんじゃないかなと。

石井 やっぱりポジティブだ(笑)。戸惑えば戸惑うほど魅力的になるから、ずっと困り続けていくべきです。そして、僕が書く物語について「これ、どう思う?」と最初に聞きたい相手であり続けると思います。

〔 映画 〕
『人はなぜラブレターを書くのか』

2000年の地下鉄脱線事故で犠牲となった富久信介さん。時を経て彼宛に届いたラブレターをもとに紡がれた作品には「幼い頃に死別した自分の母への思慕も表れている」と石井監督。高校生のナズナに當真あみ、信介に細田佳央太、信介の先輩ボクサー・川嶋勝重に菅田将暉、信介の父・隆治に佐藤浩市ほかが共演。

監督・脚本・編集:石井裕也
(『舟を編む』、『バンクーバーの朝日』、『月』)
出演:綾瀬はるか 當真あみ 細田佳央太 
/菅田将暉 妻夫木聡 佐藤浩市
配給:東宝
4月17日(金)にて全国公開

©2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会

俳優
妻夫木 聡さん
1980年生まれ。98年にデビューし数々の映像、舞台に出演。最近作に『宝島』『ある男』など。石井裕也作品へは『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』『乱反射』『本心』に続く出演。

映画監督
石井裕也さん
1983 年生まれ。2010 年『川の底からこんにちは』で商業作品初監督。13 年『舟を編む』で日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞ほかに輝く。近作に『月』『愛にイナズマ』など。


photograph: Yusuke Shirai styling: Yonosuke Kikuchi hair & make-up: Katsuhiko Yuhmi [THYMON Inc.] text: Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖2026年5月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人

ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中!
※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください

Instagram:@osharetecho
Website:https://osharetecho.com/
お問い合わせ:osharetechoofficial@takarajimasha.co.jp

この記事のキーワード

記事一覧へ戻る

大人のおしゃれ手帖の記事をシェア!

関連記事