「風邪」「下痢」のときの対処法
よくある勘違いにご用心
抗生物質は、ウイルスが原因の風邪には効果がない
風邪をひいたときに医療機関を受診し、「抗生物質・抗菌薬を処方して欲しい」と希望する患者さんがいます。
一般的な風邪の大半はウイルスが原因とされています。
抗生物質・抗菌薬は細菌に効く薬であり、ウイルスには効かないため、風邪のときに飲んでも効果はありません。
風邪のような症状があるとき、細菌による感染の疑いがあるかどうかは医師が診断し、処方する薬を検討します。
同様に、インフルエンザにも抗生物質・抗菌薬は効きません。
抗生物質・抗菌薬は、不要なときに使うなどして使い過ぎると、体のなかにいる良い細菌が殺されて下痢をしたり、薬剤耐性菌が増えたりするリスクがあります。
薬剤耐性菌とは、治療に使う抗生物質・抗菌薬が効きにくい、または効かない細菌のことです。
抗生物質・抗菌薬は必要なときに正しく使うようにしましょう。
「酒は百薬の長」と鵜呑みにせず、薬との併用は避ける
お酒に含まれているアルコールは中枢神経に作用します。
風邪薬、解熱鎮痛薬、睡眠薬なども中枢神経に作用する薬です。
これらの薬とお酒を併用すると、薬の作用を増強したり、副作用が強く現れたりすることがあるため、併用は控えましょう。
また、上記に出てきた風邪薬と解熱鎮痛剤には同じ効果をもつ成分が含まれています。
風邪薬を飲んでいるときに頭痛があると、風邪薬と解熱鎮痛薬を一緒に飲んでも良いか、迷うことがあるかもしれません。
併用すると安全な量より多く飲むことになり、副作用が出る可能性があります。
長湯は禁物だけれど、シャワー程度ならOK
風邪をひいているときはお風呂を控えている人もいると思いますが、体を清潔に保つことも大切。
もちろん高熱があるときは、入浴すると体力を消耗してしまうため控えたほうがいいですが、微熱程度で食欲があるようなときは長湯はせず、体を洗い流す程度にシャワーを浴びても問題ありません。
脱衣所をあたたかくしておくなど、湯冷めをしないように気をつけましょう。
すべての下痢に、下痢止め薬が適しているわけではない
下痢の原因は、感染症、食べ過ぎ・飲み過ぎ、抗生物質・抗菌薬の服用、ストレス、お腹の冷えなどさまざまです。
このうち、感染症による下痢のときは、下痢止め薬を使うとウイルスを体外に排出できなくなり、病気の回復が遅くなることがあるため、使わないことが望ましいとされています。
感染症の中でも、冬は特にノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行しやすい時期。
感染症が疑われるときは早めに医療機関を受診しましょう。
感染症以外の下痢がつらいときは、下痢止め薬を使用した方が良い場合もあります。
ただし、高熱や血便があるとき、または下痢の症状が3週間以上続くときなどは、何らかの病気の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
市販の下痢止め薬を自己判断で長期間服用しないことが大切です。
(まとめ)
市販薬は服用前に説明書をよく読みましょう。
医療機関で処方された薬は、薬剤師の服薬指導をよく聞き、薬と一緒に提供された文書も読むようにします。
病気や薬に関して心配なことがあれば、自己判断せずに医師や薬剤師に相談し、正しく対処しましょう。
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この記事の監修者
たいや内科クリニック 院長加藤大也
1997年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。2003年4月から同大学医学部内分泌・代謝内科助手を務める。2010年5月、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝科病棟部長などを経て2022年5月、たいや内科クリニックを開院。糖尿病専門医・総合内科専門医・甲状腺専門医 藤田医科大学医学部客員講師。医学博士 糖尿病、生活習慣病を中心に、日々診療に取り組む。患者さん目線で分かり易い説明がモットー。
Website:https://taiya-naika.com
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