50代からの「美髪」を叶える9つの新常識
肌や髪に良いとされるケアの方法は多数あります。
「常識」として知られていることでも、実は皮膚科学的に間違っている、ということも。
せっかくのケアをむだにしないために、「本当に正しいケア」を皮膚科医の吉木伸子先生に伺いました。
教えてくれたのは……
吉木伸子先生
皮膚科・美容皮膚科「よしき皮膚科クリニック銀座」院長。皮膚科医。科学的根拠にもとづいた明快なスキンケア・ヘアケアの解説が、長年幅広い世代に支持される。主な著書に『素肌美人になれる 正しいスキンケア事典』『一生ものの美肌をつくる 正しいエイジングケア事典』(ともに高橋書店)、『美容皮膚科医が教える大人のヘアケア再入門』(青春出版社)など。
常識? それとも思い込み?
あなたの美容知識を再チェック!
次のリストは、一般的に知られている「ヘアケアの常識」。
それぞれが合っているかどうか、〇△×の中から答えを選んでみて。
「そうだったの!?」という驚きの答えがきっとあるはず。
答えと詳しい解説は次項から!
1. 無添加シャンプーは髪にやさしい
2. シリコン入りシャンプーは毛穴が詰まって薄毛になる
3. 髪の毛は毎日洗わないほうが髪にいい
4. 髪は濡れたまま寝てはダメ
5. 白髪染めは暗い色のほうが髪のダメージは少ない
6. 白髪を抜くと増える
7. 育毛剤は、薄毛が気になり始めたらすぐ使い始める
8. 頭皮マッサージは白髪や抜け毛を予防する
9. 顔の産毛そりはしないほうがいい
日々のスキンケアで肌が変わるのと同様に、髪の毛もヘアケアで変わります。
根拠のない俗説に惑わされず、正しいヘアケアで健やかな髪を目指しましょう。
1. 無添加シャンプーは髪にやさしい
△ 地肌にはいいが、髪はパサつく可能性も
無添加シャンプーはコーティング剤が少ないものが多く、頭皮に付着してもかぶれなどを起こす可能性は少ないといえます。
「ただコーティング成分が少ないと髪の毛はパサつきやすいことも。髪の毛は死んだ細胞。敏感肌でなければ、むしろコーティングしたほうが良いでしょう」。
アミノ酸系やベタイン系の界面活性剤を主体としたシャンプーは比較的洗浄力が穏やかで、「ダメージヘア向け」などの場合は、コーティング剤入りのものも。
試してみるのも手です。
(右から)
1. 乾燥でパサついた髪をやさしく洗い、みずみずしく軽やかな仕上がりに。
ダヴィネスエッセンシャル モモ シャンプー 250mL ¥2,860
2. シャンプーとセットで使えるドライヘア用コンディショナー。
ダヴィネスエッセンシャル モモ コンディショナー 250mL ¥3,080
3. うねりやパサつきなどが気になる大人の髪用のトリートメント。頭皮にも使えます。
ナチュラルテック コンディショニング トリートメント<RN>250mL ¥4,070
4.年齢とともに変化する髪質を整えるエイジングケアシャンプー。髪にやさしいベタイン系の洗浄成分を使用し、コンディショニング成分も配合。
ナチュラルテック シャンプー<RN> 250mL ¥3,190/すべてダヴィネス(コンフォートジャパン)
2. シリコン入りシャンプーは毛穴が詰まって薄毛になる
× シリコンは洗いあがりの髪の手触りに影響
「シリコン入りシャンプーを使っても、毛穴を塞いだり薄毛になったりすることはありません。きちんと洗い流せば大丈夫です」。
シリコン入りとノンシリコンで違うのは、その洗い上がり。
シリコン入りシャンプーを使うと、シリコンが髪の毛をコーティングしてくれるので、指通りのよいサラサラヘアに仕上がります。
ノンシリコンはふんわりした仕上がりになるので、ねこっ毛やボリュームの少ない人におすすめ。
3. 髪の毛は毎日洗わないほうが髪にいい
○ 整髪料を使っていなければ洗わなくても問題はない
髪を洗うときは、濡れた髪同士がこすれあうので、どうしてもキューティクルが傷みます。
また、洗いすぎで頭皮がカサつくことも。
髪や頭皮のためには、シャンプー洗いの頻度は2~3日に1回でもOK。
「髪の毛を洗わないからといって、毛穴に汚れが詰まったり、薄毛や白髪になったりすることはありません」。
ただし、ワックスやオイルなどの整髪料をつけた場合はシャンプーで洗ってください。
4. 髪は濡れたまま寝てはダメ
○ 濡れた状態の髪は弱い。摩擦を加えないで
濡れたまま寝ると、開いたキューティクルがこすれてはがれるので、乾かして寝るのは基本。
ポイントは髪の温度が上がり過ぎないようにすることです。
「髪の内部はたんぱく質の束なので熱に弱い。また、強い温風で速乾しすぎても、キューティクルがしっかり閉じません」。
こすらずにタオルドライをし、髪からドライヤーを15㎝ほど離して移動させながら乾かして。
合間に冷風を入れながら、ゆっくり丁寧に乾かすのが理想です。
5. 白髪染めは暗い色のほうが髪のダメージは少ない
△ 黒髪が多い場合はそう
ヘアカラーや白髪染めの大半は「永久染毛剤」と呼ばれるもの。
2つの薬剤の化学反応によって、髪色を脱色し、髪の内部に色素を定着させます。
白髪がまだ一部の人は暗い色に染めるのがおすすめ。
強く脱色せずにすむので髪へのダメージは少なく、退色もしにくくなります。
美容師さんに相談してみましょう。
ホームカラーリングの場合、色にかかわらず脱色は強めであることが一般的。
ダメージを気にするなら、脱色せず髪の表面に色素を吸着させるヘアマニキュアやカラーリンスを選ぶとよいでしょう。
6. 白髪を抜くと増える
× 俗説。抜いても増えないが、生えてくるのも白髪
「これは俗説で、白髪を抜いても増えることはありません。ただ抜いた後も生えてくるのは白髪です」。
髪の毛の色を決めるのは、髪の根元にある「メラノサイト」。
ここで作られたメラニンが髪の毛に届くことで髪の色が決まります。
何らかの原因でメラニンが作られなくなったり、メラニンが髪の毛に届かなかったりすると白髪になります。
残念ながら今のところ、白髪を黒髪に戻す方法はありません。
7. 育毛剤は、薄毛が気になり始めたらすぐ使い始める
○ 早めにケアをスタートしたほうが効果が望める
「女性の髪は40代から細く弱くなります」と吉木先生。
「分け目が目立つ」「地肌が見えやすい」など、薄毛が気になり始めたら、育毛剤でのケアを始めましょう。
早めにスタートしたほうが、効果が期待できます。
発毛には「ミノキシジル」という成分が有効で、女性用には「ミノキシジル1%配合ローション」が市販されています。
ただ、血圧が高い人や心臓の病気のある人は使用前に医師に相談を。
(右)発毛成分「ミノキシジル」1%配合の女性のための発毛エッセンス。
リアップリジェンヌ[第1類医薬品]60mL ¥5,763/大正製薬
(左)有効成分が毛包に直接作用する女性向け発毛剤。抜け毛の進行も予防。
LABOMO ヘアグロウ ハナミノキ[第1類医薬品]62mL ¥4,960/アートネイチャー
8. 頭皮マッサージは白髪や抜け毛を予防する
○ 血行を促進。顔のリフトアップ効果も
髪の成長に必要な栄養は血液を介して送られます。
健やかな髪を育てるには、血行をよくするマッサージが効果的。
お風呂上がりや育毛ローションをつけたときなどに、爪を立てず、頭皮全体を指の腹でもみほぐしてみてください。
豚毛のブラシや頭皮マッサージ用の器具を使っても◎。
「血行がよくなるとコラーゲンの減少も抑えられるので、顔のリフトアップ効果もある程度は期待できるでしょう」
9. 顔の産毛そりはしないほうがいい
○ 肌の負担に。使うなら電動シェーバーで
更年期の女性ホルモンの低下とともに男性ホルモンが活性化し、産毛が濃くなることもあるようですが、詳しい原因はわかっていません。
「T字カミソリで反ったり毛抜きで抜いたりすると肌の負担になります。角質に細かい傷がついて、かぶれやシミの原因になることも。どうしても気になるなら、顔用の電気シェーバーでそるほうが肌への負担は少ないです。永久脱毛も選択肢の1つになります」
【知っておきたい】
界面活性剤はNGなもの?
界面活性剤とは水と油、それぞれと結合して、両者の橋渡しをする成分のこと。
シャンプーで整髪料などの油汚れを洗い流すことができるのは、界面活性剤が配合されているからです。
化粧品、洗剤、食品にも配合され、卵黄の「レシチン」のように天然の界面活性剤も存在します。
強すぎる界面活性剤は肌にダメージを与えることもありますが、〝体に悪いもの〟ではありません。
かぶれなどが起こらなければ敵視する必要はないでしょう。
SHOPLIST
コンフォートジャパン 0120-39-5410
大正製薬 お客様119番室 03-3985-1800
アートネイチャー・オンラインショップ お問い合わせ窓口 0120-501-396
撮影/清水奈緒 スタイリング/平井律子 ヘアメイク/面下伸一[FACCIA]
モデル/AYUMI 文/寺本 彩 イラスト/nanaoka 協力/AWABEES
大人のおしゃれ手帖2023年4月号より抜粋
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