【お出かけ情報】開催中のおすすめ美術展3選
かつて朝香宮家の本邸だったのが、現在の東京都庭園美術館・本館です。
貴重なアール・デコ建築の空間で、朝香宮の調度品や衣装、工芸品が披露されます。
美しい紅色の小袖に格調高さが垣間見える!
東京都庭園美術館の本館は、昭和初期に朝香宮家の邸宅として建てられた歴史的建造物。
当時世界中で大流行したアール・デコ様式を取り入れていて、まさに館全体が美術品と言えます。
「『建物公開展』は、この邸宅の魅力を存分に知っていただくために、年に一度開催される展覧会です。フランスの芸術家たちが手掛けた壁画や室内用の噴水器、エッチング・ガラスをはめ込んだ扉など、アール・デコ様式の作品はもちろんのこと、今回は皇室が婚礼などの引き出物として使用した、繊細で可愛いボンボニエール(菓子器)の数々が必見です」と、学芸員の鶴三慧さん。
なかでもおすすめのひとつとして挙げたのは《小袖 紅縮緬地菊尾長鳥の丸文様刺繍》。
「朝香宮允子妃が婚姻前に着用されたこの小袖には、皇族や公家に特有の折枝文様が施されています。鮮やかな紅色のちりめん地の小袖全体に菊と藤の折枝を散らし、それが飛び交う二羽一対の尾長鳥と相まって、格調高くも艶やかな美しさを醸し出しています」
宮内省内匠寮が設計し、フランスの室内装飾家アンリ・ラパンが担当した部屋の内装など、アール・デコの世界観が結実した室内装飾も見どころ。
旧朝香宮邸の魅力をぜひ堪能してみて。
トップ掲載作品:《小袖 紅縮緬地菊尾長鳥の丸文様刺繍》明治時代 青梅きもの博物館蔵
教えてくれたのは・・・
東京都庭園美術館学芸員
鶴 三慧さん
1989年生まれ、福岡県出身。東京都庭園美術館学芸員。
世田谷美術館学芸員などを経て現職。
建物公開2023 邸宅の記憶
場所:東京都庭園美術館 本館+新館
開催 :開催中~6月4日(日)
開館 :10:00~18:00〔4月1日(土)のみ20:00まで〕 ※入館は閉館の30分前まで
閉館 :月曜日
※オンラインにて日時指定予約
050-5541-8600(ハローダイヤル)
こちらの展覧会にも注目!
『フィンランド・グラスアート
輝きと彩りのモダンデザイン/
ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展』
北欧フィンランドのデザインや工芸作品のなかでも、ガラスに焦点を当てた展覧会。
20世紀初期から現代まで、フィンランドを代表する8名のデザイナーの作品、約130点を展示。
「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展」も同時開催。
開催中~6月11日(日)
茨城県陶芸美術館
https://www.tougei.museum.ibk.ed.jp/
『「柿右衛門」の五色
—古伊万里からマイセン、近現代まで—』
1670年代の佐賀・有田で確立された「柿右衛門様式」。
素地や絵具の「色」に着目し、江戸時代の伊万里焼やマイセン、近現代の作品、約80点を展示。
「色絵 花鳥人物文 蓋付六角壺」や「色絵 人物群像」など、7点の初公開作品も。
開催中~6月25日(日)
戸栗美術館
http://www.toguri-museum.or.jp/
大人のおしゃれ手帖2022年5月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください