50代以降の女性に多い子宮体がんの対策 症状があれば受診を
50代以降の女性に多い病気のひとつに子宮体がんがあります。
子宮体がんは早期発見・早期治療で治癒が期待できる病気です。
人生100年時代を健やかに過ごすために、子宮体がん対策として知っておきたい情報をまとめました。
子宮体がんと子宮頸がんの違い
子宮がんには子宮の上部にできる子宮体がんと、子宮の下部にできる子宮頸がんがあります。
子宮体がんは閉経を迎えた50代以降の女性に多く、子宮頸がんは20~40代の女性に多く見られます。
ただし、子宮頸がんの死亡率は年齢が上がるごとに高くなる傾向があります。
50代以降も子宮頸がんにかかることはあるため、子宮体がんと同様に注意したい病気です。
子宮体がんになりやすい人・症状は?
子宮体がんにはさまざまなリスク要因が知られており、症状としてはまず不正出血が挙げられます。
子宮体がんのリスク要因
子宮体がんは、肥満、高血圧、糖尿病の人などがなりやすいといわれています。
また、エストロゲンという女性ホルモンが関わっており、妊娠・出産経験のない人や、エストロゲンのみのホルモン治療を受けている人もなりやすいことが知られています。
日常生活では、脂肪の摂り過ぎに注意して栄養バランスのよい食事を心がけ、適度な運動を習慣にしましょう。
閉経後の不正出血に注意
もっとも多い自覚症状として初期からの不正出血があり、90%の患者に見られます。
不正出血とは生理以外で性器から出血することを指します。
生理ではないときに出血が続く、閉経後に出血するなどの症状があれば放置せず、婦人科を受診することが大切です。
子宮体がんの検査と治療法
子宮体がんが疑われるときの検査方法や、がんが見つかったときの治療法について解説します。
子宮体がんの疑いがあるとき
検査方法は、子宮内部の細胞を採取する細胞診や、組織を採取する組織診の他、超音波検査があります。
超音波検査とは、子宮体がんになると子宮内膜の厚みが増すため、厚みがどれくらいかを超音波で調べるものです。
超音波検査は細胞診や組織診に比べて痛みが少ないのがメリットですが、初期のがんが見つかりにくいなどのデメリットもあります。
なお、子宮がん検診で調べるのは一般的に子宮頸がんの検査であり、子宮体がんの検査は含まれないことが多い点に注意しましょう。
主たる治療法は手術
子宮体がんの主な治療法は手術です。
がんのステージによって腹腔鏡手術や開腹手術を行う他、状況に応じて抗がん剤治療や放射線治療を行うこともあります。
腹腔鏡手術とは、腹部に5~12ミリ程度の小さな穴を3~5か所程度開けて、内視鏡という超小型カメラで観察しながら手術を行うものです。
腹腔鏡手術は腹部を切開する開腹手術に比べ、傷跡が小さい、術後の痛みが少ない、回復が早いなどのメリットがあります。
「国立がん研究センター がん情報サービス」によると、子宮体がんの5年相対生存率(2009年~2011年)は80%を超えています。
5年相対生存率とは、あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体(※)で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表します(※正確には、性別、生まれた年、および年齢の分布を同じくする日本人集団)。
100%に近いほど治療で生命を救えるがんです。
子宮体がんは早期発見・早期治療で高い治癒が望めます。
参考サイト:国立がん研究センター がん情報サービス
(まとめ)
子宮体がんは50代以降の女性に多い病気。
肥満などの生活習慣病はリスク要因となるため、まずは健康的な食生活と定期的な運動で生活習慣病の予防に努めましょう。
不正出血があれば迷わず婦人科を受診してください。
気になることがあれば何でも相談できる、かかりつけの婦人科を見つけておくのもおすすめです。
監修
つづきレディスクリニック院長
吉岡範人
1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディスクリニックの院長に就任。産婦人科医療と既存の事柄をかけ合わせることにより、新たな産婦人科医療を生み出しており、産婦人科領域における医療脱毛や訪問診療など新たな分野に挑戦している。また女性の働き方改善や待遇改善にも注視しており、サービスの良いホテルやレストランへの研修など医療界における持続可能な待遇改善にも注力している。
構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
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