優恵のおしゃれは心意気 Vol.18
「色を楽しむ夏のことを、どうぞ」
晴れた日曜日、美容室で髪を整えていただき、帰りに友が営むジュエリーショップへ。併設されているギャラリーでは折々に作り手の心のこもった作品の展示を拝見することができます。お買い物はもちろんですが、いつもそこにいてくれる友の笑顔に会えることが、わたしには何より嬉しいことなのです。
<自然からの賜(たまわ)りものと思うのです>
夏は麻のストールが大変重宝(ちょうほう)いたします。劇場やレストランで、座るお席によっては肩やお腹に掛けておきたくなることがありまして、カーディガンよりも使い勝手が良いのです。友のギャラリーで開かれていたAnemoi(アネモイ)さんの個展に伺いました際に、大判の麻のストールをお願いしました。伺う前から、わたしの夏の装いに合う色は?と思いを巡らせていたのです。そして、きれいな紫色が良いなぁ、とイメージしていましたら、ぴったりの色がありました。五倍子(ゴバイシ)、コチニール、ログウッドという染料を配合するとこれほどにきれいな紫色になるのだそうです。五倍子という名前は初めて知りました。コチニールという名前は聞いたことがあるような、でも頭に浮かぶのは白い薬品棚で、調べてみますとカイガラムシの一種とありました。ログウッドに至っては、それは違うとわかっていても頭の中から山小屋のイメージが消えません。あれとあれとあれでこの色になるのかぁ、きれいだなぁ、すごいなぁ、と愛でて撫でてうっとりとします。この色は天然の素材に人の手が加わることによって生まれる、自然からの賜りものと思うのです。
ある日、ピンク色の大きな淡水パールに一目惚れをしました。可愛い、可愛い、ピンク色の丸いもの、これは堪りません。天然の色は一言では言い表せない深みがあります。そのピンク色は、光が射すと紫色にもグレーにも見える美しさです。そして、わたしの手は「歳相応で良いのだ」と思わせてくれるリングを得ました。いかがでしょうか?
この記事を書いた人(写真・文)
モデル、俳優優恵
今年はモデルデビュー40周年。『大人のおしゃれ手帖』でもおなじみ、おしゃれと旅とおいしいものをこよなく愛する。『mc Sister』で人気を博し、俳優としても映画、舞台などで活躍。近年の出演作に『秘密のフレグランス』(2021)ほか。
Instagram:@yue_y_u_e_yue