家事効率をアップ!
段取り上手は暮らし上手(前編)
築55年の平屋をセルフリノベーションした柚木さとみさん。
自宅、キッチンスタジオ、料理教室を兼ねた一軒三役の家は、カフェプロデュースの経験を活かした独自の工夫でいっぱいです。
教えてくれたのは・・・
柚木さとみさん
料理家・カフェプランナーとして活躍。
自宅兼キッチンスタジオ「さときっちん」で料理教室も主宰している。
一軒三役の家だから、家事は要領よく、が必須
飴色に光る柱や天井の梁が築年数を物語る一軒家。最新の便利機器こそないものの、掃除が行き届いて、いかにも使い勝手がよさそうです。
「教室の生徒さんや雑誌や書籍の編集スタッフさんなど来客が多いので、片付けやすい部屋を心がけています」と話しながら、台ふきんであちこちをキュッと拭いて回る柚木さん。同様のマメさで部屋を見回し、適材適所に物が配置されているか、動きにくい場所はないか、意識を配るのが日課です。
「家仕事って多少使いにくくても、慣れてしまうのが落とし穴。単純ですが、日々の見直しが段取りのいい暮らしへの近道だと思います」
白いアイランドキッチンは、取り壊すアパートから譲ってもらったシンクをベースに手作りしたもの。
キッチンを中心に向かって左にパソコンデスク、右にパントリーを備え、一直線上で無駄なく仕事ができるそう。
「物が多いと散らかりやすく動きにくくなるので、物を買うのは置き場や使い勝手をよく考えてから。厳選した道具が並ぶ風通しのいい住まいが理想です」
そんな柚木さんおすすめの家事効率アップ方法は、模様替え。
「家具の位置をはじめ、冷蔵庫やクローゼットの中など、小さなスペースもこまめに配置換えしています。
こっちのほうが使いやすい!と発見できるとうれしくて。どうも動きにくいなと感じたら、とりあえず変えてみる。そのうちに動線や作業工程を意識できるようになります」
家事を段取りよく終わらせたら、本を読んだり、散歩に出かけたり。
「家が職場だからこそ、リセットの時間は大事ですね」
テーブルにすぐ置けるよう、グラス類はリビングコーナーに収納。
グラス=キッチンと決めつけない柔軟思考で使い勝手がアップ!
必要な物を必要な所に。暮らしは動線が命
「狭い厨房でたくさんのオーダーにこたえるカフェでは、動線が売上を左右するほど。暮らしも同じで、適材適所に物を配置し、キッチンなら食材を洗って、切って、火にかけるという一連の動作がスムーズにできるかが、作業効率を上げるカギになります」と柚木さん。
動線を見極めながら、物の置き場所を決める目はまさにプロ。
動線上にパントリーを
パソコンデスクの反対側にはパントリー。
収納、キッチン、デスクを一直線に並べて、室内をウロウロする手間と時間を節約。
パソコンデスクはキッチンの近くに
キッチン脇に作った仕事スペースは、レシピを考え、調理し、書き留めるのに最適。
DIYで極薄い棚板を設置
「本棚も食器棚も奥行きが浅く、棚板の薄いものがほしくて」と、手作りの棚に極薄スペースをプラス。
バットや金網がぴったり収まります。
フックは誰でも作れる壁面収納
鍋敷きや焼き網はコンロの脇にひっかけて。
「道具はしまい込むと存在を忘れてしまう。フックなら目に見えるし、取り付けも簡単」
ダストボックスはデッキが定位置
リビングに面したデッキも手作り。
隅に大きなダストボックスを3つ置き、ゴミを分類・保管しやすく。
フタ付きでニオイも気になりません。
photograph: Takafumi Matsumura text: Chikako Hayakawa
※大人のおしゃれ手帖2015年9月号をもとに再編集
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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