スパイスの効能をもっと体に
大人の新習慣は「薬膳カレー」!vol.1
具材とスパイスを炒めて、後はサッと煮込むだけ。
本格スパイスカレーは、実は手軽で簡単。
野菜は旬なものを使って、季節に合わせてアレンジを!
教えてくれたのは・・・
料理家・国際中医薬膳師・国際中医師
井澤 由美子先生
体が本来持ち合わせる力を、中医学・薬膳の考え方で引き出す料理を提案。作り手に負担がない、再現しやすいレシピにファン多数。著書に『12か月の食べ合わせ暦 漢方ごはん』(永岡書店)など。
揃えてほしい基本のスパイス5種
〈旨味&辛味スパイス〉
● ガラムマサラ
インドを代表するミックススパイスで、通常3 ~ 10 種類のスパイスがブレンドされている。カレー粉に比べて辛味スパイスが強く、スパイシーな風味づけに役立つ。
● カレー粉
通常20 ~ 30 種類のスパイスが使われているミックススパイス。ガラムマサラには入っていない、ターメリックなどの色付けスパイスが入っている。旨味や辛味のバランスを整えた万能スパイス。
〈香りスパイス〉
● パプリカ
パプリカはビタミンを多く含み、粘膜の保護、お肌の美白に効果的です。疲労回復の作用も期待できるので、夏バテにも。ほのかに甘い香りが特徴で、辛味がなく、カレー以外にも多用される。
● クミン
胃腸の働きを促して、消化を助ける作用が。肝臓の働きを助け、老廃物を外に出す力を助ける。さわやかな香りでストレス緩和にも。種子の粒を油で熱することで高貴な香りが引き出される。
● コリアンダー
弱った胃を強化し、むかつきや下痢・便秘などを緩和する整腸作用が。発汗を促し体をあたためる。パクチーでおなじみの刺激的な香りが特徴。
スパイスカレーは自然の恵みを活かした食養生
心と体は繋がっている、という考え方が中医学にはあります。
ヒポクラテスの名言にも「私たちの内なる自然治癒力こそ真に病を治すものである」とあります。
心と体、どちらも癒やすものこそ、まさに薬膳料理です。
「薬食同源」という言葉があるように、薬と食事は同じという考えのもと、自分の体質を知り、体調に合わせた食材を選んで調理する。つまり薬膳とは、日々続けられる美味しい食事でなくてはいけません。
落ちがちな食欲を刺激し、特に美味しく感じるカレーは、生薬そのものであるスパイスから成る薬膳料理の王道です。
漢方や薬膳の考え方において、食材は5つの性質に分けられます。
「熱性(体を温める作用)」「温性(やや体を温める作用)」「涼性(やや体を冷やす作用)」「寒性(体を冷やす作用)」「平性(冷やしもせず温めもしない)」です。
体の深部が冷える夏こそ、積極的に体を温める「温性」「熱性」の食材を取り入れたいもの。
今回紹介するレシピは、厳選したスパイス5種の組み合わせ。
あれこれ揃える手間もなく、本格薬膳カレーをすぐに始められるよう、シンプルな組み合わせにしました。
そしてどれも、体を温める属性のスパイスです。
スパイスで体を温め、旬の夏野菜で体のほてりや余分な熱を取り除く。薬膳の力を食卓で実感してください。
ベーシック薬膳チキンスープカレー
材料(2人分)
厚揚げ … ⅓ 丁
手羽先 … 4 ~ 6 本
しょうが(すりおろし) … 大さじ1
サラダ油 … 大さじ1
はちみつ … 小さじ1
水 … 2と½ カップ
塩 … 小さじ½
(A)カレー粉 … 小さじ2、クミン(ホール) … 小さじ½、コリアンダー(ホール) … 小さじ½、パプリカ … 小さじ1
【好みの野菜】
ゴーヤ … 5㎝
なす … ½ 本
パプリカ … 小½ 個
いんげん … 5 本
山芋 … 100g
〈作り方〉
1. ゴーヤは薄くスライスし、塩少々(分量外)で塩もみし、ギュッと水気を絞る。なすとパプリカは1㎝幅に切り、中温で素揚げする。いんげんは茹でて3等分に切る。厚揚げは食べやすく切る。山芋は皮をむいておろす。
2. フライパンに油を入れて熱し、手羽先の表面を焼く。Aを加えて馴染ませる。
3. 2 に水、厚揚げ、しょうが、はちみつ、塩を入れて沸騰したら弱火にし、フタをして8 ~ 10 分煮込む。
4. 器にごはん(黒米)を盛り、カレーをかけて野菜を添える。好みでゆで玉子を添えて。
ココナッツとかぼちゃのシュリンプカレー
材料(2人分)
むき海老 … 180g
かぼちゃ … 300g
油 … 大さじ1
水 … 1カップ
ココナッツミルク … ½
カップソース … 大さじ1
鶏ガラスープの素 … 小さじ1
(A)カレー粉 … 小さじ2、ガラムマサラ … 小さじ½、クミン(ホール) … 小さじ½
作り方
1. むき海老はあれば背わたを取り、かぼちゃは乱切りにする。
2. フライパンに油を入れて熱し、かぼちゃを炒め、Aを加えて馴染ませる。
3. 水とココナッツミルク、ソース、鶏ガラスープの素を加えて煮込み、かぼちゃが柔らかくなったら、海老を加えて火を通す。
photograph: Wakana Baba styling: Mariko Nakazato
※大人のおしゃれ手帖2021年9月号をもとに再編集したものです。
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