自律神経のバロメーター「腸」を元気に保つ食べ方
免疫力アップに必要不可欠なのは腸内環境を整える食生活です。
食物繊維、乳酸菌、水を意識した食生活を送りましょう。
目次
腸内環境の乱れは便の状態をチェック
「季節の変わり目は、副交感神経が下がり、免疫細胞のリンパ球数も下がるので、腸内環境が悪化しやすいのです。この季節に風邪をひく人が多いのも、そのせいです」(小林さん)
免疫細胞の6割が集中している腸内の健康を守ることは、免疫アップに直結します。
自分の腸内環境が今、どうなっているかは、便の状態でセルフチェックもできます。
「健康な便はいわゆるバナナ状。便秘でコロコロ便の場合、停滞した便で腸が炎症を起こしています。反対に下痢の人は、腸内に悪玉菌が増加して、腸内環境が乱れている状態。おなかにガスがたまる、いわゆるガス腹も悪玉菌が原因ですね」
腸をいたわって免疫力を上げる3つの食習慣
腸をケアする食べ方のポイントは3つ。できることから始めましょう。
❶ 乳酸菌を運ぶ「船」となる食物繊維をたっぷりとる
● 繊維がないと菌も届かない
腸にいい乳酸菌をいくらとっても、それを腸に届ける船の役割をする食物繊維をとらなければ、あまり意味がありません。
根菜類、果物、きのこ類、海藻類などを意識して食べましょう。
● 便秘も下痢も繊維不足が原因
下痢は腸内の悪玉菌が増えている状態なので、善玉菌のエサとなる食物繊維が不足しています。
便秘の人も下痢の人も、食物繊維を積極的にとりましょう。
● 食事だけではとり切れない
腸を健康にするために必要な食物繊維量はレタス8個分。
食事でとるのは難しいのが現実なので、サプリメントなどを上手に利用して補うことも必要です。
❷ ビフィズス菌・乳酸菌は継続してとることが肝心
● 1週間で死滅する乳酸菌
食事からとった乳酸菌は1週間もすれば死滅して、腸内環境が入れ替わります。
発酵食品やヨーグルトなどは、毎日継続してとることがとても大切です。
● ヨーグルトは夜食べる
腸が最も活発に動くのは夜10時〜深夜2時。
その時間に腸に乳酸菌があるのがベスト。
1回200gを果物と一緒に食べるのがおすすめです。
● 銘柄はときどき変えよう
同じ菌ばかり続くと体が慣れてしまうので、
定期的に銘柄を変えると、腸に新しい刺激を与えることができます。
❸ 水と上手につき合えば腸はもっと元気になる
● 朝の常温水で腸を起こす
目覚めたら200mLの常温の水を一気に飲みましょう。
水の刺激で眠っている腸を起こすと、自然な便意を招いてくれます。
● 1日1・5ℓの水を飲む
副交感神経を優位にして自律神経を整えるには、水分不足を起こさないことが大切。
1日に1・5ℓの水を、意識してこまめに飲むようにしましょう。
● 炭酸水で腸内環境を改善
炭酸水は腸に刺激を与えてぜん動運動を促すので、腸内環境の改善に一役買ってくれます。
血管を拡張して、血行を促す働きも。
腸のゴールデンタイムとは?
腸のゴールデンタイムとは、夕食の約3時間後。
食べ物の消化や吸収が終わって腸の動きが最も活発になる時間帯のことで、一般的には22時から深夜2時くらいまでを指します。
この時間に入浴したり、リラックスして過ごすことで、睡眠に向けて副交感神経が優位になり、腸もリフレッシュして便秘や下痢なども解消。
免疫力アップにもつながります。
40代以降は腸の曲がり角?
忙しくても腸を守るケース別リカバー術
腸の“ゴールデンタイム”にゆっくり過ごせないときのリカバー術を教わりました。
Case1. 夕食の時間が21時以降になる
→ 食べる量を約半分に減らす
21時以降にフルで夕食をとると、消化に時間がかかるので腸にとっても負担になります。
自律神経も乱れて免疫力も下がるし、何より太りやすくなります。
いつも食べている量の半分に減らして、残った分は翌朝にまわすといいでしょう。
Case2. 外食することが多い
→ 胃にやさしいメニューを選ぶ
外食では、脂っこいものや辛いものやカフェインなどの刺激物を避けて、野菜を中心に消化がよく、できるだけ体にやさしいメニューを選ぶようにしましょう。
食べすぎないように、量も腹七分目~八分目くらいに抑えるのがベストです。
Case3. 食事が不規則で1日1食のことも
→ 昼間に消化のよいものを食べる
食事時間が不規則な人は、仕事の終わったあとなど、夜にまとめて食べてしまう傾向にあります。
どうしても1日1食になってしまうなら、せめてその1食を夜ではなく、昼間にして、なるべく消化のよいものをとるようにしましょう。
Case4. ストレスが多く食欲が出ない
→ ゆったりした音楽を聞きながら食べる
メンタルは腸に直結するので、ストレスでイライラしていると腸の働きも悪くなります。
食事のときはゆったりとした音楽をかけるなどして、リラックスする工夫をしましょう。
気持ちが切り替わると、自然に食欲が出てくることもあります。
食習慣+αの腸活テクニック集
腸のために毎日習慣づけたい腸活テクニックを集めました。
● 頑固な便秘におすすめのトイレでストレッチ
❶トイレに座った状態で、右肘を左膝に乗せ、ゆっくりと腹式呼吸をくり返します。
おなかを上下させることがポイント。
❷左肘も同様に行い、肘の位置や上半身の角度を変えて、腸を刺激しましょう。
● 眠っている腸を起こす腸ストレッチ
❶両肘を伸ばして頭の上で手を交差させ、息を吸いながら腕を上に引っ張り上げます。
❷息を吐きながら体を横に倒します。
体の側面が伸びていることを意識して、左右行います。
朝食前に行うのがおすすめ。
● すぐにリラックスできる四・八呼吸
いったん息を吐き切り、4秒かけて鼻から息を吸い、8秒かけてゆっくり口から吐き出します。
寝る前や緊張したときに3回行いましょう。
● 腸が疲れたときのホットスムージー
繊維質たっぷりの根菜にヨーグルトを加えた「ホットスムージー」を夜に飲むと、腸が元気になります。食欲がないときや遅い夕食時、腸をリセットしたいときにもおすすめです。
〈作り方〉
❶根菜(かぼちゃ、さつまいも、ごぼうなどお好みで)80gを水100mLでやわらかく煮て、ミキサーにかける。
❷ヨーグルト100gを加える。
腸を休ませてリセットする「ゆる断食」のすすめ
疲れてしまった腸を休ませて、リセットするためには「ゆる断食」がおすすめです。
注意ポイントは短期間のうちにくり返し行わないことと、断食の前後に急に食べすぎないようにすることです。
■3日間コース
朝:バナナとヨーグルト、水
昼:サラダ
夜:スープやおかゆ
というメニューを3日間くり返します。
■半日コース
朝、昼は消化のよいものを普通に食べ、夕食をスープやおかゆだけにします。
体調が悪く、食欲のないときにもおすすめ。
教えてくれたのは・・・
順天堂大学医学部教授
小林弘幸 さん
日本初の便秘外来を開設。自律神経研究の第一人者として独自のメソッドを提唱。
プロスポーツ選手や文化人への指導にもかかわる。
著書は『2週間で体が変わる「もち麦」ダイエット』ほか多数。
イラスト/はまだなぎさ 文/佐治 環
※大人のおしゃれ手帖2016年10月号をもとに再編集したものです。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
この記事のキーワード
この記事を書いた人
ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中! ※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Instagram:@osharetecho
Website:https://osharetecho.com/
お問い合わせ:osharetechoofficial@takarajimasha.co.jp
関連記事
-
-
-
-
-
PR
-
PR
-
PR