齋藤智子さんpresents 香りの力で自分を癒やす アロマの処方箋 vol.8
集中力を高める香り
ファッションの秋、食欲の秋、読書の秋と、何をするにも心地よく楽しめる時季ですね。
今回のテーマは集中力。
自律神経は、交感神経と副交感神経をシーソーのようにバランスをうまくとることが必要なのですが、そのバランスをとるのに一役買ってくれるのが精油です。
前回は心地よい眠りを促す香りとして、ラベンダーとオレンジスイートなどの精油の組み合わせをご紹介しました。
これは自律神経の「副交感神経」を優位にする=ゆるめるのが得意な精油でしたね。
今回はその反対、「交感神経」を優位にする香り=キュッと集中力を高めたいときにおすすめの精油をご紹介します。
ローズマリー 1,8シネオール(Rosmarinus officinalis ct1,8 cineole)
主な作用:頭脳明晰化、刺激、活性、去痰、抗菌、免疫賦活など
Rosmarinusという学名のように、『海のしずく』という意味がつけられた地中海沿岸に自生する植物です。
幅広い効用があるため、古くからさまざまな習慣と結び付けられていました。
古代エジプトでは王の墓に焚かれ、石棺の中にも入れられていました。
また古代ローマでは愛や忠誠心の象徴にも。
ハンガリーの王妃がローズマリーを漬け込んだハンガリアンウォーターで若さと美を取り戻したため、若返りの象徴ともされています。
1,8シネオールのほかに、カンファー、ベルベノンなどの種類があり、それぞれ香りも働きも異なります。
レモン(Citrus limon)
主な作用:血流アップ、抗菌、消臭、消化促進、消毒殺菌
レモンは北インド原産と考えられている低木で、料理や薬、香料など世界中で親しまれている香りです。
古代エジプト時代は毒から身を守るとされ、肉や魚が傷むのを防ぐためにレモンを使っていたといわれています。
古代ヨーロッパでは豊かさの象徴とされ壁画などにも残されました。
アーユルヴェーダでもデトックスのために使われてきました。
爽やかな甘味とすっきりした強い酸味がある香りは、子どもから年配の方まで幅広く人気があります。
他の柑橘類の精油と比べるとすっきり感が強いので、リフレッシュしたいときにピッタリです。
ペパーミント(Mentha piperita)
主な作用:健胃、冷却、刺激、鎮痛、頭脳明晰化、抗菌など
古代エジプト時代からキフィという薫香でも使われてきた歴史のある植物です。
今ではお菓子などの香りづけや、歯磨き粉や石鹸などにも使われているのでとても馴染みのある香りですね。
以前もお伝えしましたが、ペパーミントは香りを嗅ぐだけで体感温度が4度下がるというデータもありますので、クールダウンしたいときや冷静になりたいときにもおすすめの精油です。
使うときにちょっと注意していただきたいのが、肌刺激が強いということ。
マスクなどに1滴垂らして使いたい場合は精油が肌に触れるとヒリヒリしますので、マスクシールなどを使って直接精油が肌に触れないように気をつけてください。
日本産のハッカ精油も同じように使えます。
上記のほかにも、おすすめの精油はまだまだあります。
・ジュニパー
・サイプレス
・バジル
・ユーカリ
・ティートゥリー
いずれも、すっきりとしたグリーン調の香りです。
ジュニパー、サイプレスは深い森林の香り。
体の余分な水分を排出してくれ、心の鬱滞も流してくれる作用もあります。
バジルは感覚を高め頭をクリアにしてくれますが、皮膚刺激が強いので皮膚への塗布は気をつけてください。
ユーカリやティートゥリーは優れた抗菌作用とともに、免疫を強化してくれるので、私も日常からよく使う精油のひとつです。
おすすめの香らせ方
1)
すっきり、シャキッとしたいときに。
レモン 4滴
グレープフルーツ 2滴
ローズマリー1,8シネオール 2滴
ユーカリラディアータ 1滴
フランキンセンス 1滴
2)
穏やかに爽やか気分を堪能したいときに。
レモン 3滴
オレンジスイート 2滴
ペパーミント 2滴
ラベンダー 1滴
ヒノキ 2滴
集中したいとき、キッチン周りの片付けの後や、会議と会議の間で部屋の空気をクリアにしたいときなどにもおすすめです。
齋藤智子
一般社団法人プラスアロマ協会代表理事、アロマ調香デザイナー®️
京都で10代続く家に生まれ、白檀の香りに魅かれて調香の世界へ。20年間で創作した香りは6000種以上。代表作「TRANSITIONS」〜ミラノで最も美しい空気〜(Milano design award best technology賞)はミラノサローネで60万人の心を動かした。国内外で企業やブランドのアロマ空間演出を手がけるほか、美術館の創香などアート分野の企画も多い。近年は、日本各地の農家や蒸留所との連携、マーケティングやサイエンス分野の研究など香りの可能性を広げる活動も行う。著書『アロマ調香デザインの教科書』(BABジャパン出版)。