新常識!大掃除は「秋」にする
〜キッチン編〜
いつも通りの掃除をしていても、水まわりのにおいやぬめりがなんだか気になる、残暑の季節。
実は、夏の終わりから秋は水まわりの大掃除にぴったり。
この機会に、たまった汚れも一掃しませんか?
目次
汚れもゆるみ、水温も高い秋は大掃除のベストシーズン
「大掃除は冬のイメージがありますが、実は夏の終わりから秋のほうが、掃除はしやすいんです」
と、20年以上さまざまな家庭の掃除に携わるみけままさん。
油汚れはもちろん、どんな汚れも気温が低いときよりも高いときのほうがゆるんで落としやすくなります。
「さらに、水まわりの掃除は、水の温度が大切。暖かい時期はそもそも水温が高いので、効率的なんです」。
水まわりの掃除のおすすめのプランは?
「ふだんの掃除が行き届いているなら、どこから始めてもいいのですが、
汚れがたまっているという自覚があれば、短時間で結果が出るところから始めるのがおすすめ。
トイレや洗面所はスペースが限られているので、達成感が出やすいです。
最初に、つけ置きできるキッチンの換気扇やコンロまわりを始めて、
その間にできるところをやってもいいですね」。
一気にやろうとすると疲れるので、1日1か所と決めてもいいでしょう。
洗剤はこのアイテムを使います
油汚れという手ごわい敵がいるキッチン。
油汚れは酸性なのでアルカリ性のセスキや過炭酸ナトリウムを賢く使うのが時短のコツ。
逆に、アルカリ性の水アカには、酸性のクエン酸を使います。
固まった油はカードのフチなどで、物理的に落としていくのも有効。
セスキ炭酸ソーダ
油汚れに強いアルカリ剤。
水に溶けるので、水200mLに対し、
セスキを小さじ1でスプレーにし、
布などに吹きかけて掃除を。
クエン酸
シンクまわりの水アカ汚れや石けんカス、に強い酸性剤。
粉のまま使うか、水200 mLに対しクエン酸小さじ1~2で混ぜてスプレーにしても便利。
過炭酸ナトリウム
過炭酸ソーダ、酸素系漂白剤ともいう。
水分と反応すると発泡するのでつけ置きや排水口の掃除に便利。
洗濯や漂白にも使えます。
油汚れ洗剤
油汚れなどの酸性の汚れを、アルカリで中和して落とすキッチン用洗剤。
除菌、消臭など機能のあるものも多いので、お好みで。
カビ取り洗剤
ついてしまったカビを取る洗剤。
塩素系が多いので、目や手に付かないよう注意。
クエン酸と一緒に使用するとガスが発生するので注意。
クリームクレンザー
研磨剤を含んだ、クリーム状のクレンザー。
粉のタイプに比べて、研磨力が控えめなので、傷がつきにくい。
こびりつき汚れに便利。
大掃除の流れ
❶ 油ものをつけ置き
べったりと油がついてしまった五徳や排気口カバー、
魚焼きグリルの扉や受け皿などもばらして掃除。
換気扇などと合わせて、つけ置きで汚れを落とします。
時間がかかるので、まずここから手を付けるのが正解。
❷ 上から下へ汚れを落とす
掃除の基本は奥から手前、上から下へ。
特にキッチンは、冷蔵庫の上などにも油汚れが飛んでいて、べたべたになっているかも。
大掃除をするなら、まずはそこから着手を。
脚立などを使う場合は、安全に注意して。
❸ 食器棚やシンクの扉など表面を拭く
こちらも、油が飛んでいる場所。
キッチンは収納が多くトビラの面積が広いので、
そこがきれいになると、キッチン自体のきれい度もアップします。
多くがガラスや樹脂製で汚れが落ちやすいので、セスキなどで拭けばOK。
❹シンクやガス台まわりを磨く
ふだんの掃除で落ちきっていない、ガス台まわりの汚れや、
シンクの中も油汚れ用洗剤やセスキのスプレーで落として。
キッチン用洗剤では落ちない蛇口まわりやシンクについた白いくもりは水アカなので、
クエン酸で落とします。
❺最後に床を拭く
最後は二度拭き不要の洗剤で、床をきれいに拭き上げます。
ピカピカなキッチンの完成です!
油汚れはセスキ水につけ置き
セスキの成分はアルカリ性です。
合成界面活性剤不使用で環境にやさしく、アルカリの力で油汚れを分解します。
重曹が水に溶けにくく粉のまま研磨するのに向いているのに対して、
セスキはお湯に溶けやすいので、スプレーにしたりつけ置きしたいときにも便利。
換気扇がきれいになると換気力もパワーアップするので、
油が飛んで部屋に落ちることも少なくなり、掃除の手間を減らす効果もあります。
レンジフード
1. ファンを取り外す
レンジフード内の回転する部分がシロッコファン。
整流板やフィルターを外してファンが見える状態にし、
ねじをゆるめ取り外します。
2. 汚れたものを入れる
シロッコファンを入れます。
油汚れを落としたいパーツがあれば一緒にいれてOK。
ただし、塗装のものははげる可能性があります。
3. セスキを溶かす
ゴミ袋などを二重にして、
セスキの粉(食洗器の粉洗剤や過炭酸ナトリウムでもOK)を入れ、
給湯器の湯温60℃でお湯を注ぎます。
4. 1時間ほどつける
ゴミ袋の口をしめて、1時間ほどつけ置きします。
終わったら水で流して、残っている汚れは歯ブラシなどでこすればOK。
五徳・グリル網
レンジまわりの五徳、魚焼きグリルやトースターの網などの汚れも、
換気扇の汚れと同様の方法で落とせます。
焦げも浮いてくるので歯ブラシなどでこすって。
冷蔵庫の上は古カードでこそぐ
冷蔵庫の上は、ほこりの上に油の粒が落ちてきて、層をなしている場合も。
その場合は雑巾で拭いてもびくともしないので、
使わなくなったプラスチックのカードなどで、力を入れてこそげ落としましょう。
レンジまわりは油汚れの洗剤で
レンジは食品の汚れ、油汚れ、こげつき汚れが一緒になっています。
油汚れに対応しているキッチン洗剤を使い、スポンジなどで落としていきます。
金属たわしや粉のクレンザーはガラストップを傷つけるので注意。
落ちにくい焦げ付き汚れには、ガラストップに対応したスポンジや、
使い終わったハブラシなどで、少しずつこすり落とします。
食器棚やシンク扉はセスキスプレーで
1. クロスに少量の水を垂らしておく
セスキスプレーは濃度に注意すれば、二度拭き不要。
拭き跡を残さないために、まずマイクロファイバークロスを水滴で湿らせます。
2. セスキをスプレーする
スプレーのセスキをクロスに吹きかけます。
掃除する場所に直接吹きかけると、拭き残しが白く残ることがあるので注意。
3. すみずみまで拭いていく
汚れが残らないように、すみずみまでていねいにふき取っていきます。
トビラの上なども油が飛んでいるので、忘れずに。
排水口は過炭酸ナトリウムで
1. 過炭酸ナトリウムを振りかける
奥まで手が届きにくい排水口の汚れは、過炭酸ナトリウムの発泡の力が活躍。
粉のまま、排水口にまいていきます。
2. 熱めのお湯を排水口に注ぐ
60℃まで給湯器の湯温をあげて、排水口にお湯を注ぎます。
3. 自然の発泡で配管掃除ができる
自然に発泡して、排水管の中の汚れも浮き上がって流れています。
詰まり取りより刺激が弱く、パイプを傷める心配がありません。
蛇口の根元はラップ湿布
1. 白い汚れが固まっている部分にクエン酸をスプレーします
2. ラップを巻いてしばらく置いておきます。
1~2時間たったら、ラップをはがし、濡れた雑巾でクエン酸を拭き取ります。
最後は、乾いたクロスで仕上げます。
フローリングの目に沿って床拭き
最後は、キッチンの床を拭いて仕上げです。
フローリングOKの中性洗剤を使い、フローリングの目に沿って拭き上げます。
マイクロファイバークロスは床の素材によっては滑りにくいので、その場合はタオル地の雑巾で。
2度拭き不要の洗剤が便利
フローリングがワックス仕上げの場合は、
セスキなどアルカリ性の洗剤では、コートが剥げてしまうことがあります。
フローリングOKの中性洗剤がおすすめ。
教えてくれたのは・・・
家事代行マッチングサービス
タスカジ
みけままさん
大手ハウスクリーニング会社勤務を経て、タスカジ歴6年。
水まわりの掃除が得意で、効率的に汚れを落とし、
汚れをつきにくくして、大掃除のいらない家にするのがモットー。
撮影/近藤沙菜 文/田中絵真 協力/POLUS
※大人のおしゃれ手帖2022年10月号から抜粋
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