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大人のおしゃれ手帖 7月号

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大人のおしゃれ手帖
2026年7月号

2026年6月5日(金)発売
特別価格:1720円(税込) 
表紙の人:中谷美紀さん

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【50代の奈良旅】抹茶ブームで世界的に品薄!?「茶筌」のふるさと、奈良・高山めぐり

茶筅師・谷村丹後さんの工房「和北堂」を訪ねて

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後01

奈良県生駒市の北端に位置する、高山地区。茶筅(*)づくりはかつて、“一子相伝”──つまり師からたった一人の弟子へ、口伝と見て学ぶことで受け継がれてきた秘伝の技でした。技を盗まれないために、夜中に茶筅をつくっていたというから驚きです。

茶筅師・20代目谷村丹後さんの工房「和北堂」を訪れ、お話を伺いました。

*谷村さんはこの字を用いています

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後02

お茶は奈良時代に伝わっていましたが、その飲み方は現在とはまったく異なるものだったそう。

お茶の粉にお湯を注ぐ「点茶法(てんちゃほう)」が伝わったのは鎌倉時代、“茶道”と聞いてイメージする「わび茶」の原型が作り出されたのは、室町時代後期のこと。

その立役者が、奈良・称名寺(しょうみょうじ)の住職でもあった村田珠光(むらたじゅこう)。茶筅は、この珠光と親交のあった鷹山宗砌(そうぜい)によって生み出されたといいます。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後03

丹後さんは「洗い物に使う“ささら”が茶筅を生み出すヒントになったのでは」と考えているそう。

宗砌は、大和鷹山の城主・鷹山頼栄の次男で、自作の茶筅を時の帝・後土御門天皇に献上し、「高穂」の御銘をいただいたことから、地名も「高山」とされるようになったのだとか。

当初は鷹山家の秘伝とされた茶筅づくりの技は、鷹山家が没落したのちにも、この地域の大切な産業として受け継がれてきました。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後04

江戸時代には徳川家からの保護を受け、高山の茶筅師13家に名が与えられました(その名はなぜか地名だったそう)。「丹後」の名跡は、現存する3家のひとつです。つまり、谷村家は創業500年以上!

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後05

徳川将軍家はもとより、仙洞御所や公家、諸大名へも納品していたといい、写真左の箱は納入の際に使われた提灯箱とのこと。現在でも、裏千家や武者小路千家などに茶筅を納めているそう。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後07

とはいえ、意外にも「継ぐ気は全然なかったんです」と丹後さん。一般企業での勤務を経験したことで、かえって家業を見つめ直すきっかけとなり、29歳でお父さまについて茶筅師としての修業をスタートさせます。基礎を身につけるだけでおよそ10年かかったといいます。

茶道具のなかで、茶筅はいわば消耗品。茶碗や茶杓には銘が付けられ、芸術品として展覧会も開催されるほど。「茶碗を作るのはArtist(美術家)、茶筅を作るのはArtisan(職人)です」と丹後さんはいいますが、その技は芸術的としか言いようがありません。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後08

さっきまでただの竹筒だったのが、表皮を削って16片に割る「片木」という工程を経て、なんとなく茶筅を思わせる形に。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後09

茶筅の種類に応じた穂数に割る「小割」という工程ののち、流派によって削り方を変え、特徴を出す「味削り」をします。

穂先を薄く削ることでしなやかになりますが、薄くしすぎては耐久性が下がります。その絶妙なバランスを指先と小刀だけで追求します。それこそが、茶筅づくりが「指頭芸術」と呼ばれるゆえん。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後10

工房には、各工程の茶筅が並べられていました。大きく分けると7工程だそうなのですが、実際にはもっと多くのステップを経てつくられていることがわかります。

奈良・生駒市高山/和北堂 谷村丹後11

ちなみに、工房では茶杓や蓋置など、丹後さんの作品を購入することもできます。……が、茶筅はとにかく品薄。この日は3つだけありましたが「1つもない日もあります」とのこと。

なお、工房では見学や体験も受け付けているので、詳しくは公式サイトからお問合せを!

和北堂 谷村丹後
奈良県生駒市高山町5964

この記事を書いた人

編集者

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

Instagram:@asa_ship

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