中村倫也さん「誰かと出会って感じたこととか、味とか匂いとか。“定規の目盛”が細かいほうが人生は楽しい」/新刊『THE やんごとなき雑炊』インタビュー
「大人のおしゃれ手帖さん、お久しぶりです」。
2016年から2年間、本誌でもエッセイ連載を担当してくれていた中村倫也さん。
TV、映画、舞台、CMと、俳優として活躍の場を広げ、執筆業としてエッセイ集『THE やんごとなき雑談』(KADOKAWA)を刊行、このたびは料理本にも挑戦されました。しかも料理本でありながら、中村さんの言葉にも触れられる一冊。その、中村さんらしい遊び心と自由な発想からも、人生を楽しむためのヒントが見えてくるようです。
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中村倫也さん「誰かと出会って感じたこととか、味とか匂いとか。”定規の目盛”が細かいほうが人生は楽しい」/新刊『THE やんごとなき雑炊』インタビュー
雑談も雑炊も「人の言葉を聞く力、拾う力」
初の料理本、そのタイトルは『THE やんごとなき雑炊』。エッセイ集『THE やんごとなき雑談』(KADOKAWA)から続くシリーズとして、「雑談」ならぬ「雑炊」の本を上梓した中村倫也さん。
雑炊をテーマにした理由を「雑談」からの言葉遊びでもあったと言いますが、雑炊という料理の自由さにも可能性を感じたそう。「いろんな食材を鍋に入れてご飯とともに煮れば雑炊」。そう語るとおり、本の中には魚介の出汁を生かしたもの、トマトスープ仕立てのもの、ココナッツミルクを使ったものまで、監修のフードコーディネーター、タカハシユキ先生と一緒に作ったレシピが並びます。自由さは料理につけた名前にも。それぞれの雑炊を作って食べたあと、そこから連想して中村さんがつけたとか。例えば、冷製トマトスープ雑炊の料理名なら″あの波に消えた、ビーチボールは。″……。「張り切って名前をつけたものの、目次を見てもなんのレシピかわからないのが弱点なんですけど」と中村さんは笑いますが、素材や味から思い出を呼び覚まし、発想する力に驚きます。
「細かいディテールのほうに興味が湧くから覚えているんですよ。日々、暮らしていても、ささやかなことに幸せを感じるほう。花屋できれいな花が目に入って、一輪挿ししてみたいなあとか、あったかい布団があって幸せだなあとか。ちっちゃな幸せだけど壮大な幸せに感じられることが年々増えてきましたね」。
小さなことに幸せや喜びの種があると気づけたら、固定観念に縛られず、人は自由になれるのかもしれません。その感受性はどうやって育まれたのでしょうか。
「昔から好奇心があったからかな。知らないことに対する興味があるんですよ。例えば雑談が苦手という人って、自分の話で楽しませなければと思いすぎているんじゃないかな。僕は聞いてほしいっていうより人の話を聞きたいんですよ。だから、話しながら誰かが何かを言ったら、気になることを質問していく。人の言葉を拾って、喋ってもらっている感じ。質問して、答えてくれたら知識も増えるし、質問されたらされた人も嬉しいだろうし。そのほうが楽しいですよね」
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