【50代の自分探し】
50代、イギリスの小さな町で。「何者でもなかった私」を救った言葉と暮らし
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夏の食卓を彩る、ハーブのサラダとレモンパスタ
海老のレモンパスタと、フルーツとハムのハーブサラダ
昌栄さんが描いたレモンのデッサン。お母さまからのリクエストで描いた。
日本にはそうめんや冷やし中華のように、夏の食べ物がありますが、イギリスの夏はどんなものをたべるのでしょうか。
「夏はトマトやハーブのサラダ、スイカやメロン、ぶどうやトマトにハムを合わせた一皿、インゲンをさっと炒めたものなど、シンプルな料理をよく食べます。チーズとサワードウブレッドを合わせたり、海老とレモンのパスタをつくったり。素材そのものの味が楽しめる軽やかな食事が多いです。また、夏になると庭で収穫できる茗荷は、私にとっては宝物です」(昌栄さん)。
夏の終わりは温かなスープを。ゆっくりと次の季節の準備をする
解放的なリビング。向かって右手に見えるのは暖炉。イギリスの住宅は夏の暑さは想定しておらず、冬の寒さに合わせている。写真は友人のイギリス人アーティスト夫妻のお宅にて。
「森ぽ」に行く近所の森に自生するブラックベリー。季節の移ろいを感じさせる
秋に森で摘んだ果実で保存食をつくるのが楽しみ。写真はスローの実をジンに漬けた果実酒
夏の終わりから秋の始まりにかけて、昌栄さん流の養生食についてお聞きしました。
「まだ8月だというのに、森はすでに秋の支度を始めていました。数日前の『森ぽ』で、緑から赤へ、赤から黒へと熟してゆくブラックベリーを見つけました。毎年、夏の終わりになると、冷たいものを少しずつ減らし、スープや豆の煮込み料理、温かいお茶を取り入れます。りんごやブラックベリーなどの秋の実りを楽しみながら、体をゆっくりと次の季節に慣らしていきます。
イギリスでは秋になるとスローという濃い紫色の木の実を、砂糖と一緒にジンに漬け込んでスロージンをつくります。そのままでは、渋くて酸っぱい実が、数か月後には赤紫色の甘酸っぱい果実酒になります」(昌栄さん)。イギリスでの暮らしを彩るのが、ガーデニング。長い冬を前にやっておくことは?
「雑草を抜き、庭を掃除して、伸びすぎた枝を剪定します。秋は、咲き終わった花からタネを採るのも楽しみの一つ。ほおずきのようにぷっくりしたナイジェラの実、硬い殻の中に黒いタネが入ったポピー、銀色のコインのように透けるルナリア。小さなタネを集めながら、来年の庭を思い描きます。冬支度をしながら、次の春の準備は始まっているのだと感じます」(昌栄さん)。
星の巡りをヒントに自分らしく生きる
イギリスのフラワーショップには、色とりどりの季節の花が並んで華やか。
「私は魚座、繊細でロマンティック」「あなたは射手座だから、冒険好きで海外に縁がある」など、12星座別の大雑把な性格分析を耳にすることがあります。ニュースサイトや雑誌の占いページに一喜一憂することも。昌栄さんが書いたエッセイ集の第一部「星とめぐる十二ケ月」では、星の巡りを1月の山羊座から12月の射手座までを物語として収録しています。
「私は星や天体の巡りを、自分自身を知り、気づくため一つの手がかりとして大切にしています。生年月日、出生時刻、出生場所から、生まれた瞬間の天体配置を読み解くことで、俯瞰の視点で捉えた自分の資質や人生のテーマが見えてくることがあります。未来を決めつけるものではなく、『どんな魂として命をいただいているのか』『どんなふうに生きると自分らしくいられるのか』を見つめる指針として、星の叡智を読み解いていきます。
本書では12星座を手がかりに章を構成していますが、誰の中にも12星座それぞれの要素があります。季節ごとに巡ってくる星のテーマを知ることで、そのときの自分を見つめ、より自分らしく生きるためのヒントにしていただけたらと思っています」
日々の暮らしに追われて季節の移り変わりも、星々の巡りも気づかないうちに通り過ぎてしまう。そんな50代女性にこそ、夜空を見上げる時間が必要なのかもしれません。
空を眺め、星に思いを馳せる。大人の秘密基地のような屋根裏部屋
ワークスペースでもある屋根裏部屋は、天井からの光がやさしい。
クマの湯たんぽ、座り心地のいい椅子、お気に入りのひざ掛け……。家のてっぺんにある屋根裏部屋は、まるで大人の秘密基地。昌栄さんが原稿の執筆や翻訳、オンラインミーティングをするスペースです。
「家の中で一番長く過ごす場所なので、好きなものだけを置き、こざっぱりとさせて、いつも気持ちよい空間に保つようにしています。この窓から、朝晩の空の色を眺めています。いつも鳥たちの声も聴こえてきます。イギリスの小さな町で暮らすうちに、空に浮かぶ星や星座が身近なものになりました。庭で天体の動きを見て、星から受け取ったメッセージを、地上の言葉へと降ろしていくための小さなステーションが、この屋根裏部屋なのかもしれません」(昌栄さん)。
この記事を書いた人
ライター・エディター田村幸子
「文筆」と「料理」を肩書きに、さまざまなメディアに寄稿する。「大人のおしゃれ手帖」webでは「1週間コーデ」を連載中。ネイルと帽子とピンクが好き。
Instagram:@sachiko5180
この記事を書いた人
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