小難しくなかった! 若き日のゴダールを描く『ヌーヴェルヴァーグ』&ゴダールの名作2本を劇場で楽しむ【50代の映画好き必見】
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『ヌーヴェルヴァーグ』
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1950年代後半にフランス映画界で起きた映画革命「ヌーヴェルヴァーグ(新しい波)」と、その代表的作家であるジャン=リュック・ゴダール。50代の映画好きなら、若い頃に一度は興味を持ったことがあるのではないでしょうか。ただ、当時すでにゴダールは大御所で、「ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか」が論じられていたこともあり、「小難しそう」「よくわからない」というイメージを抱いている人も少なくありません。
でも、そんなイメージを一新する新作映画『ヌーヴェルヴァーグ』が現在、公開中です。監督は、『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 <ディスタンス>』などの『ビフォア』シリーズでおなじみのリチャード・リンクレイター。
アメリカ人のリンクレイター監督は、フランス・パリを舞台に、ゴダール初の長編映画『勝手にしやがれ』ができるまでの舞台裏を描写。ここにいるのは神格化されたゴダールではなく、同世代の仲間であるフランソワ・トリュフォーに映画監督として先を越されて焦っている若者ゴダールで、彼を中心に映画作りに熱中する若者たちの姿がいきいきと描かれています。これを観ると、ゴダールをはじめヌーヴェルヴァーグの作品に一気に親近感がわいてくるでしょう。
そして、“舞台裏”を知った後は、本物の『勝手にしやがれ』を確認したくなるものですが、ご安心を! 7月24日から『勝手にしやがれ』、さらに7月31日からゴダールの『気狂いピエロ』が連続で劇場公開されます。かつて“小難しい”と思っていた作品も、『ヌーヴェルヴァーグ』を観た後なら、また違った感想を持つかもしれません。この夏は、“ゴダール漬け”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
目次
若きゴダールの情熱、『勝手にしやがれ』の舞台裏を描いた青春映画
『ヌーヴェルヴァーグ』

「これは映画が作れると信じさせてくれた人々と、“映画を作るべきだ”と確信させてくれた人々へのラブレターだ」とリチャード・リンクレイター監督が語る本作は、ゴダールが28歳の時に撮った『勝手にしやがれ』の舞台裏を描写した斬新な作品。ジーン・セバーグ役のゾーイ・ドゥイッチ以外は無名の俳優を起用しており、当時の状況や雰囲気を忠実に再現しています。

舞台は、トリュフォーの長編デビュー作『大人は判ってくれない』がカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した1959年。ゴダールは、トリュフォーらと共にカイエ・デュ・シネマ誌で映画評論を執筆していましたが、自分も長編映画を撮りたいと熱望し、フランスの俳優ジャン=ポール・ベルモンドとアメリカの若手女優ジーン・セバーグを主演に起用した映画の撮影にこぎつけます。
しかし、ゴダールは型にはまった演技を嫌い、リハーサルもしない、脚本もない、挙句には気分がのらない時は撮影をしない、というありさま。そんな監督の型破りなやり方に、プロデューサーやスタッフ、セバーグは困惑を隠せません。それでも、全員に共通しているのは、映画作りの夢と情熱。ゴダールに振り回されながらも、ついにラストシーンの撮影へ。

新しい何かが生まれる予感にワクワクしている現場の雰囲気がしっかり伝わってくる、青春映画のような作品。
リンクレイター監督といえば、『ビフォア』シリーズ3部作では主役の男女が街を歩きながら会話する約90分を実際に約90分の映画にしたり、男女の9年後を9年後に公開したり、さらには『6才のボクが、大人になるまで。』では少年の12年間(6歳~18歳)を実際に12年間かけて撮影したりと、時間へのこだわりと実験的な作風で知られています。本作でも、『勝手にしやがれ』の撮影期間20日を順を追って描写したり、まるでリンクレイター監督自身が1959年の撮影現場に立ち会ってゴダールたちのドキュメンタリーを撮っていたかのような没入感で、時間の魔法を見せてくれます。

“ヌーヴェルヴァーグとは”を語るのではなく、若きゴダールが長編デビュー作を撮るドタバタ青春劇といった作風。ヌーヴェルヴァーグに対する敬意や解釈を織り込みながらも、誰もが楽しめるライトな作品に仕上げているところにリンクレイター監督らしさが光ります。
また、本作はリンクレイター監督にとって初のフランス語映画となり、衣裳はフランスを代表する衣裳デザイナーのパスカリーヌ・シャヴァンヌ(フランソワ・オゾン監督の作品などを担当)が担当。当時を再現したカジュアルでもエレガントな装いにも注目。
『ヌーヴェルヴァーグ』
2025年製作
2026年7月10日(金)より全国公開中
監督:リチャード・リンクレイター
プロデューサー:ミシェル & ローラン・ペタン
脚本:ホリー・ジェント & ヴィンス・パルモ
出演:ギヨーム・マルベック、ゾーイ・ドゥイッチ、オーブリー・デュランほか
協賛:Chanel
配給:AMGエンタテインメント
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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