【インタビュー】松重豊さんに聞く60代の生き方『孤独のグルメ』を経て見えた新たな自分
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「家族を守る役割」を終えたら。60代で手放した「呪縛」と、自分の「好き」との向き合い方

俳優として揺るぎないキャリアを確立してきた松重さん。60代を迎えて監督・脚本という新たな領域へ飛び込むことに、不安やプレッシャーはなかったのでしょうか。そう尋ねると、松重さんはふっと柔らかな笑みを浮かべて語り始めました。
「いやぁ、60代も半ば近くになるとね、別にもう怖いものがなくなるんですよ(笑)。50歳くらいまでは、どうやって家族を養っていくか、家庭を守っていくかが最大のテーマだったと思います。ですが、子どもも独立して夫婦ふたりの生活になり、さらにコロナ禍を経て仕事や生き方を見つめ直す機会があって。そのとき『俳優を続けること』自体が自分のなかでガチガチの決めごとになっていて、がんじがらめになっていたのかもしれないと気付いたんです。まずはその呪縛を解いてみようと思いました」
決意した松重さんは、自身が本当に好きなものと向き合いました。
「音楽も好きだし、文章を書くことも好き、写真も好き。それら好きなことをすべて集約してみたら『映像作品を撮る、作る』ということに行き着いたんです」
『大人のおしゃれ手帖』世代の読者も、これまで積み重ねてきた仕事や家庭での役割に囚われ、知らず知らずのうちに選択肢を狭めていることがあるかもしれません。でも松重さんのように、一度自分の「好き」をフラットに見つめ直してみると、新たな可能性やワクワクする一歩が見つかるのではないでしょうか。
「変な話、人生の終わりに近づいているのだから、思った通りにやっちゃえという気持ちもありますね」と冗談めかす松重さん。その表情には解き放たれたような軽やかさが漂っています。責任を果たし終えた世代だからこそ手に入れられる、自由で柔軟な生き方のヒントがここにあります。
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