行楽シーズンに観たい！ ピクニックのシーンが素敵な映画3選

『Emma/エマ』© 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.



緑がまばゆいこの季節、晴れた日には、草の上でお弁当を食べたり、木陰でまどろんだり、自然の中でのんびり過ごしたくなるものです。そこで今回は、ピクニックのシーンが印象的な洋画を3作品ご紹介します。

恋のキューピッド役のつもりが恋に落ちて……
『Emma/エマ』（1996年）

© 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.　

19世紀のイギリス南部を舞台に、上流階級のお節介焼きのお嬢様が巻き起こす恋の騒動を描いた恋愛喜劇。『高慢と偏見』で知られるジェーン・オースティンの同名小説を映画化。

© 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

　恋の仲介役に喜びを見出したエマは、親友の恋に口をはさんですっかりキューピッド気取り。しかも見当違いなので、周囲は困惑気味。そんなエマはある日、近しい人々とピクニックに出かけます。イチゴを摘み、サンドイッチを食べながらおしゃべりをしていたそのとき、ちょっとしたことから不穏な空気が流れ……。そこから一気に物語が動き出し、エマは自身の過ちと欠点、そして恋心に気付きます。はたしてその結末は？

© 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.　

　なかなか自分勝手なヒロインですが、本作で映画初主演を飾ったグウィネス・パルトロウが持ち前の気品とチャーミングな表情でいきいきと演じていて、どこか憎めないヒロイン像をつくりあげています。また、エマが着ている淡いトーンのエンパイアドレスやリボンがたなびく帽子なども可愛らしく、ラストシーンのドレス姿はとびきり可憐。ファッションも必見です。

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自分が本当にしたいことは？
『ロンドン、人生はじめます』（2016年）

©2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

　ロンドンのハムステッドの高級マンションで暮らす未亡人のエミリー（ダイアン・キートン）は、夫亡き後に発覚した浮気や借金、各種の支払いに悩み、貯金はどんどん減る一方で、うわべだけの近所づきあいにもうんざりしています。ある日、エミリーがふと屋根裏から森を見ていると、そこには手作りの小屋で暮らす大男の姿が。魚を釣り、森でピクニックをして、自給自足で暮らすその男の名はドナルド（ブレンダン・グリーソン）。エミリーはドナルドに会いに行き、彼の気ままで自由な暮らしに触れ、自らの生き方を省みます。

©2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

　ホームレスの男性が勝手に住んでいた場所の所有権を手にして一夜にして資産家になった実話をもとに映画化した本作。“持たない暮らし”の豊かさを知った老齢のエミリーが、自分を見つめ直して変わろうとする姿に勇気をもらえるでしょう。

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人生の歓びと切なさが凝縮された至福の40分
『ピクニック』（1936年）

　印象派の画家ピエール＝オーギュスト・ルノワールの次男で映画監督ジャン・ルノワールによるフランス映画。1860年の夏の日曜日、パリの金物商一家は馬車に乗り田舎へピクニックに出かけます。サクランボの木の下でランチを食べ、父と未来の婿養子は釣りへ、母と若き娘（シルヴィア・バタイユ）は地元の青年たちの案内で小舟に乗ります。実は彼らはブランコに乗ってはしゃぐ娘を見て気に入り、近付いてきたのですが……。
　風にそよぐ木々、きらめく川面、白黒なのに鮮やかな色彩で見ているかのような美しさと躍動感に満ちた映像に魅了されます。そして、たった一日の密やかな歓びが娘と青年の人生に色濃く残り続ける切なさや残酷さまでも40分の中で描いた珠玉の名作です。
　本作は1936年に撮影されたものの戦争でドイツ軍に破棄され、10年後にシネマテーク・フランセーズの創設者がオリジナルネガを救出し、アメリカに亡命していたルノワール監督の了承を得て編集、公開されました。さらに、2014年にデジタルリマスター版が完成。長い年月を経ても色褪せない不変の魅力を持った作品だといえるでしょう。

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構成・文／中山恵子　

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