梅雨でも気分が上がる、雨のシーンが素敵な映画3選

『シェルブールの雨傘』©Ciné-Tamaris 1993

梅雨になると気分が憂鬱になる、という人は多いものですが、そんなときこそ、雨がキーワードの美しい映画を観て気分転換してみませんか？今回は、フランス映画、アメリカ映画、韓国映画から１作ずつ大人の女性におすすめの映画を紹介します。

カトリーヌ・ドヌーヴの美しさが際立つ切ない愛の物語
『シェルブールの雨傘』（1964年）

©Ciné-Tamaris 1993

　港町シェルブールを真上から撮る冒頭のシーンが秀逸。哀切漂うテーマ曲が流れ、赤い傘がぱっと開き、雨粒が真下に落ちていき、濡れた石畳の路上を色とりどりの傘が通り過ぎていきます。そして、雨傘店の17歳の娘ジュヌヴィエーヴと自動車修理工の若者ギイの恋物語が始まります。逢瀬の最中に「子どもができたらこんな名前にしたい」と話すなど結婚を誓い合った初々しい二人でしたが、ギイにアルジェリア戦争の召集令状が届き、離れ離れになってしまいます。

©Ciné-Tamaris 1993

　セリフをすべて歌にした斬新なミュージカル映画で、主演のカトリーヌ・ドヌーヴのファッションも雨傘店のストライプや花模様の壁紙もすべてがカラフルでお洒落。なにより、撮影当時20歳前後のドヌーヴの美しさに圧倒されます。ブロンドヘアにリボンを結んだ可憐な少女は、戦争によって恋が引き裂かれた後、ある決断をしますが、その後の高貴な佇まいが美しくもあり哀しくもあり。ほろ苦い恋の物語が胸に迫る名作です。
　監督はジャック・ドゥミ、音楽はミシェル・ルグランが担当。第17回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞（最高賞）を受賞。

『シェルブールの雨傘』

Blu-ray　￥5,170
発売元：ハピネットファントム・スタジオ
販売元：ハピネット・メディアマーケティング　　　

天気のように変わりやすい若者たちの恋模様
『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』（2019年）

　ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスが共演、雨のニューヨークが舞台のラブコメディ。軽妙で洒落た作風を得意とするウディ・アレンが監督・脚本を務めた作品です。
　大学生カップルのギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごすことに。生粋のニューヨーカーであるギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内するため綿密なデートプランを立てますが、アシュレーは重要な用事が終わらず、計画は頓挫。突然に振り出した雨の中、2人はそれぞれ予期せぬことに振り回されて……。
　裕福な親に反発しているモラトリアムなギャツビー、上昇志向が強く天真爛漫なアシュレー、さらにアシュレーが再会した元恋人の妹で真っ直ぐな気性のチャン、彼らの恋の顚末は？青臭さ全開、でもユーモアに満ちていて、雨上がりのような爽やかな余韻が残ります。