北欧便り vol.6 週末は山や湖へ!
北欧の国、ノルウェーはオスロから、大人世代に伝えたい暮らしのヒントをレポートする北欧便り。
今月のテーマは「週末の過ごし方」。
やっと長い冬が明けたノルウェーでは新緑と太陽が輝く素晴らしい季節に突入しました。気温は15度前後。厚手のダウンを脱いで一気に夏モードです。今回は、平日は効率よく仕事をし、週末はしっかり休むノルウェー女性の週末の過ごし方をご紹介します。
日本のように気軽にレストランに出かけたり、友達と夜遅くまでバーで飲んだりという光景は一般的には見られません。
いったいどんなふうに過ごしているのでしょうか。
日曜日の散歩は欠かせない!
教育機関で働くボディル・アールネゴードさんは、日曜日は必ず家族で散歩に出かけると言います。
「ほとんどのノルウェー人はsøndagstur(ソンダグスチュール、日曜散歩)に行きます。子供がいる家族も高齢者も若者もみんな。これはノルウェー人の典型的な週末の過ごし方でしょうね。散歩といっても様々で、本格的なハイキングで山を登る場合もあれば、近くの公園や森を短時間歩く場合もあります。要するに外に出て歩くことを指すんです。雨天でも、ハイテク防水素材の服やレインコートをバッチリ着込んで外出しますよ。ノルウェーの表現にはDet finnes ikke dårlig vær, bare dårlige klær.(悪い天気なんてない、服装が悪いだけだ)っていう金言があるんです。それにね、日曜に外に散歩に連れて行かない親は悪い親だということわざもあるんですよ(笑)。だから日曜は外に行くのがお約束なんです」
散歩の目的は、豊かな自然に触れること。景色を楽しみながら、自然の中で、自分の大切な人たちとリラックスした時間を過ごすことなのだそうです。
人気はハイキングとカヤック
「私は日曜日はお弁当を持ってハイキングに行くことが多いです。湖でカヤックを漕いだり、泳いだり、湖畔にテントを張って野宿したりすることも。キャンプするときは、夜にキャンプファイヤーをしてバーベキューをします。美しい田園風景や田舎の景色を眺めたり、自然のど真ん中にいることで癒やされますね」
テントは自宅から持っていく。ノルウェーでは、こうした野外生活が人々の権利とされている。キャンプファイヤーでソーセージやマシュマロを焼いて食べると最高に美味しい。
「当時5歳と8歳だった子供も木で遊んだり、森の中で非日常の時間を楽しみました。火は平和とエネルギーを与えてくれます」とボディルさん。
キャビン(山小屋)で過ごすのも至福
また、Hytte(ヒュッタ)に泊まり週末を過ごすのも一般的です。ヒュッタとはキャビン(山小屋)のことで、セカンドハウス的な家。統計的にノルウェーでは10人に1人がこのキャビンを所有しているとされています。キャビンのグレードはさまざま。豪華でモダンな別荘風なものから電気も水道も通っていない原始的な小屋のようなものまであり、最近はレンタルも人気です。周りに店もレストランも何もなく、ちょっと不便。ただ、大自然の中に建つ静寂な山小屋で思い思いの時間を過ごす。その不自由さがまた楽しいのよとノルウェー人は嬉々として出かけます。自宅に帰ってくる頃には、すっかりエネルギーチャージされて心身が整っていると言います。
このようにノルウェー女性の週末は自然の中で過ごすのが一般的のようです。
「私たちは2歳から屋外で育てられていますから(ノルウェーでは幼稚園から冬でも子供をベビーカーに入れて屋外で昼寝させる習慣がある。冷たく新鮮な空気が肺や体を強くするとされる)。幼稚園の頃から外や森で遊ぶことに慣れているので自然に触れているととてもリラックスできるんです」
写真、文:古澤恭子
出版社で女性誌編集に携わった後、2010年北欧に移住。現在ノルウェー在住、執筆業を中心にメディアのコーディネーターとしても活動。
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出版社で女性誌編集に携わった後、2010年北欧に移住。現在ノルウェー在住、執筆業を中心にメディアのコーディネーターとしても活動。
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