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大人のおしゃれ手帖 5月号

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大人のおしゃれ手帖
2024年5月号

2024年4月6日(土)発売
特別価格:1360円(税込)
表紙の人:南果歩さん

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舞台の深層 『ザ・ウェルキン』

若手劇作家・演出家、加藤拓也とシス・カンパニーのコラボレーション第3弾。2020年1月に幕を開けるも、コロナの影響を受けてわずか2か月で幕を閉じた、イギリスの劇作家ルーシー・カークウッドの意欲作『ザ・ウェルキン』で初の翻訳劇に挑む。

お話を伺った人:加藤拓也さん

脚本家・演出家・映像作家。劇団た組主宰。17歳でラジオ・テレビの構成作家として活動開始。18歳でイタリアへ渡り、映像演出について学ぶ。帰国後、20歳で「劇団た組。」を立ち上げる。シス・カンパニー公演『たむらさん』(作・演出)、『友達』(上演台本・演出)など外部舞台作品の他、ドラマの脚本・演出など映像分野でも活躍中。『きれいのくに』(NHK)で「第10回市川森一脚本賞」を最年少で受賞。映画『わたし達はおとな』(脚本・監督)が6月10日に公開。


出自がそれぞれ違う俳優陣と新しいルールを作って挑みたい

「『ザ・ウェルキン』は、無意識に植え付けられた〝女性〟という性別が持つ役割、風習、習慣に対して意見を持ちながらも受け入れ、さらに利用する〝女性〟をテーマにした作品です。男性の僕が演出することでお客さんの中にどんなジェンダーバイアスがかかるのか、作品がどのように届くのかに興味をひかれました」

自ら書いた脚本の演出とはやはり勝手が違い、「わからないことだらけ」と加藤さん。

「自分の作品のときには演出ノートはあまり作らないのですが、今回はわりとしっかり作っています。大切にしているのは、ひとつひとつのことを〝なぜだろう?〟と考える作業。連想ゲームのように台本以外の部分から情報を拾ったり、キャストのみなさんと考えたり。稽古に入ってからも、付け加えて削いでと変わることが多いです。演じる俳優さんを見ながら、〝そういうふうにすることもあるんだな〟という発見が多々あります」

ベテランから若手まで、力のある魅力的なキャストが揃った
「みなさん出自が違うので、演劇のルールも違うと思うんです。今回、稽古を重ねながら新しいルールを作って、作品に挑みたいと思っています。羊さんはたくさん引き出しを持っていて、選択肢にバリエーションのある方だなと。また今回、新しい選択肢が生まれるんじゃないかな、なんて期待をしています。大原さんはまだどんな方なのかわからない部分がありますが、舞台に立つ姿を見た印象では、気持ちを表現することがとても上手な方だと感じました」

映像の世界でも活躍する加藤さんだが、演劇の魅力は「同じ時間が流れていること」だと言う。「劇場では同じ時間が流れているはずなのに、舞台上では時間が飛んだり、そこではない場所に行ったりすることができる。お客さんの想像力次第で時間が変化していく面白さを感じているので、これからも生で同じ時間を共有していきたいです」


『ザ・ウェルキン』

0801759年、英国の東部サフォークの田舎町。人々が75年に一度天空に舞い戻る彗星を待ちわびる中、一人の少女サリー(大原)が殺人罪で絞首刑を宣告された。しかし彼女は妊娠を主張。妊娠中の罪人は死刑を逃れられるため、その真偽の判定のために集められたのは、妊娠経験のある12人の主婦たち。その中に、サリーに正当な扱いを受けさせようと心を砕く助産婦エリザベス(吉田)の姿があった。妊娠は本当か? 死刑を逃れるための嘘か? エリザベスがサリーを助けようとする理由とは……。

作:ルーシー・カークウッド演出:加藤拓也出演:吉田 羊 大原櫻子鷲尾真知子 梅沢昌代 那須佐代子 峯村リエ 明星真由美 那須 凜西尾まり 豊田エリー 土井ケイト 富山えり子 恒松祐里 土屋佑壱 田村健太郎 他声の出演:段田安則

【東京】7月7日(月)〜31日(日) Bunkamuraシアターコクーン※大阪公演あり 問い合わせ:シス・カンパニー 03-5423-5906(平日11:00〜19:00)

https://www.siscompany.com/welkin/


文/石本真紀
大人のおしゃれ手帖2022年7月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公演は延期・中止となることがあります。最新情報についてはHPをご確認ください。

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