【セルフケア】
植物療法士・鈴木七重さんに聞く、心身を巡りよくする心がけとは?
草花は季節の移り変わりとともに循環する。
必要な水分と養分を蓄え、美しく咲き、また土へと還り、それぞれの季節を待つ。そんな花のようにありのままに生きる知恵を身につける連載。
今回は植物療法士の鈴木七重さんのところへ。
鈴木さんは20年以上、植物の力をセルフケアに取り入れることで自らの心身を整えてきた、実践の人。自分の体の声を聞き、心身を巡りよくする心がけをうかがいました。
お話を伺ったのは・・・
鈴木七重さん
∴chimugusui Inc.代表、植物療法士。武蔵野美術大学卒業後、企画デザインの仕事を経て、自身の不調改善のために自然療法を取り入れる。不調が改善し心身が調和していく体験から、本格的に植物療法を学ぶ。
2009年より講師として活動し、13年から∴chimugusuiをスタート。また、20年からはオンラインで、日々のセルフケアの方法から植物療法士として活動したい方向けのレッスンも始める。
成分や効果効能だけにとらわれず、体や心という自然を信頼しつながることを大切にしたセルフケアを伝え続けている。著書に『ゆるめる・温める・巡らせる』、『私を整える。』(エクスナレッジ刊)がある。
インスタグラム:@chimugusui
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植物の力は心身をゆるめ、温め、巡らせてくれる
平井さん(以下、平):植物に触れることで、日々その力を感じていたので、植物療法についても興味を持ち続けてきました。改めてですが、鈴木さんはどんな経緯で植物療法士となられたんでしょうか。
七重さん(以下、七):もともとさまざまなアレルギー持ちで。大学卒業後に就職してグラフィックデザイナーとして働き始めてから生活が不規則になって、さらに不調が続いていたんですね。当時は強い薬を飲んでも不調が治らず、薬をやめたらまたひどくなるということを繰り返していました。転機は結婚したこと。会社を辞めてフリーランスになってから、時間的な余裕も生まれ、家族のために食事を気をつけるようになって。その頃に無添加の石鹸を知って、調べているうちに無添加食品など、自然派の生活があることを知ったんです。体にもいいし環境にもいい暮らしがあるなんて!と衝撃を受けたんです。
平: 90年代後半って、ホリスティックな美容が注目され始めた頃ですね。
七: すっかりハマってしまって。自然食品店に通って情報交換をしたり、食材や調味料も変えて。私にとっては新しい世界が開いた面白さもあったんです。しかもそれを数年続けていたらトラブルが治った。今までは自分の体は弱くてダメな体だと責め続けていたけど、環境が悪かったんだと気づいたことが人生の転機となりましたね。
平: そこから植物療法についても学ばれたんですね。
七: まず石鹸を手作りに変えてから、自然と精油についても勉強するようになりました。妊娠出産も重なったので、実験するような気持ちで取り入れていきましたね。当時はかなりナチュラリストに傾倒していたと思います。薬は絶対使わないと決め込んでいたりね。今は違いますが。
平: ご自身で実践されてどうだったかが学びになっているんですね。
七: 子供が成長してそろそろ仕事を再開しようと思った時に、10年くらいの実体験による学びがあったので、このことを仕事にしようと思ったんです。自分が本当に信頼できる、伝えたいと思えることを仕事にしようと。それで本格的に植物療法についても学びにいきました。
平: 今は植物療法の講座をオンラインでもされていますが、最初はどんな感じだったんですか?
七: 植物のある暮らしをテーマにしたワークショップから始めました。
平: どんな方が参加されていたんですか?
体からのアプローチで 自然と心も整っていく
七: 30〜40代の方が多かったかな。悩みにフォーカスはしていなかったのですが、世代的に婦人科系とかアレルギーの悩みを抱える人がいらっしゃいましたね。だから、実体験からどんなケアがいいかという話はしていました。でも人の体は千差万別で、ある人には効いてもある人には効かないということがあって。さまざまな悩みに向き合いながら、もっといい方向へ向かってほしいと問題解決の糸口を探求する中で、一つの共通点に辿り着いたんです。それが、ゆるんでいて温かくて巡りのいい体を目指すということだったんです。
平: 鈴木さんの著書にもある、ゆるめる、温める、巡らせる、ということですね。
七: ハーブを飲むから良くなるんじゃなくて、それによって心身がリラックスするから良くなる。そこがゴールなんですよと言うようになったら、みんなの体が目に見えて変化するようになったんですね。大切なのは気持ちのいい体の状態にフォーカスして、その状態になるまでケアするってこと。そのためにも、自分の体の声を聞いて、自分がどんな状態だと気持ちがいいか、逆にどんなことをすると不調を感じるかを知ることが大切なんです。不調の出方は千差万別だけど、いい体の状態って一個しかない。その状態がどう作られるかというと、ゆるんでいて、温かくて、巡りのいい体ということになるんですね。
平: 確かにわかりやすいです。
七: そうやって体からアプローチしていくことで、私自身も発見だったのが、心の状態もよくなっていくということ。体の声を聞き始めると、不調や不快がわかるようになって、人はそれを手放そうとするんです。自分にとっての気持ちよさや喜びを自然と増やしていこうとするんですね。すると自分軸で自分を幸せにするという状態になっていくんです。
平: 具体的にどんなふうに自分の体の声を聞いていくか、ぜひ教えてください!
この記事を書いた人
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