【舞台・インタビュー】麻実れいさんインタビュー
50代の女性たちへ~「思い悩まず、身近な人の存在を大事に」
役を演じ、自分を生きて、今日がある。
50年を超える麻実れいさんの俳優人生、その確かな歩みと営みは、大人のエレガンスのお手本です。
私という〝個〟を導いてくれる人を信じて
日本人離れした美貌と気品で、観客を異世界に導く人――俳優・麻実れいさんは、その身から溢れる優雅さと同時に、人をほっとくつろがせる笑顔の持ち主。この秋上演されたミュージカル『アナスタシア』では、主人公の祖母であるロシア皇太后・マリアを演じ、王侯貴族の威厳を体現。しかし、どこかチャーミングで親しみやすい佇まいもまた光っていました。
「位の高い人ですから、ノーブルに通さなくてはいけないのかなと思っていましたが、今回は彼女のかわいらしさや素の部分を引き立てる演出だったのね。最初はほぉ、と思ったけれど、通してみると、そちらのほうがずっと人間らしいなと……。俳優の仕事は〝個〟の仕事だけれど、そこにはいつも演出家がいる。その人が私にとっての相談相手であり、導いてくださる人でもあるんです」
来年2月に出演する舞台『インヘリタンス―継承―』も、これまでいくつもの作品をともに作り上げてきた若く才能あふれる演出家・熊林弘高氏からのオファーを受け、出演を決めた作品でした。2010年代後半のニューヨークに暮らす二組の男性カップルを中心に、20代から60代までのゲイの人々の生きざまを描く大作戯曲で、麻実さんはただ一人の女性キャストとして登場。ゲイである息子を受け容れられないまま死なせた過去を悔やみ、息子と同じくエイズで死に瀕した男性たちの世話をするマーガレットを演じます。
男と女。その両方が自分の中にある
「くまちゃん(=熊林氏の愛称)から『出てほしいんだけど』と言われるまで作品については知らなかったんですが、こういう作品が普通に上演できるようになったことに、時の流れを感じましたね。過去にも『エンジェルス・イン・アメリカ』や『蜘蛛女のキス』などゲイの人物を描いた作品に出演してきましたが、10年、20年前だと、世界も日本も、まだ頑ななところがあったでしょう? 男性同士が愛し合うことは、ひと昔前は秘めごととしてマイナーな意識を持たれていたけれど、今は違う。『インヘリタンス』は、私たちの日常に近い感覚でストーリーが流れる、リアルな作品になると思います。マーガレットという役に感じるところがなかったら、お断りしていたかもしれません」
そもそも、演劇の世界に入った頃から「垣根は感じてこなかった」と麻実さん。
「演劇や芸術の世界にはゲイの方々はたくさんいて、繊細な感性で素晴らしい表現をされている様子に触れてきましたから。そして、私は思春期に入った頃から宝塚で男(役)を作って男を演じ、退団後は女を作って女を演じてきた。両方の性が、私の中には今もあるのでしょう。だから私の中では、男も女も違いがない。もちろん、年齢の差も関係なく、誰もが皆、人間として生きるべきだと思っているのね」
世界は刻々と変化し、その波は、心を開いていればいつでも感じ取れるはず。麻実さんもまた、日々、目に映るものを新鮮に受け止めているといいます。
「この作品もそうでしたが、どこの現場に行っても若い男性たちが本当にきれいなんですよね! ファッションもメイクも、何もかも自由。ああ、こういう服装が好きなんだな、こういうアクセサリーを身につけることが自分らしさの表現なんだな、と……。個々の魅力をスムーズに表に出せる、いい世の中になったんだなと思います」
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