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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

2025年1月号

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「脳デトックス」で頭と体をクリアに!
~食生活編~

大人のおしゃれ手帖編集部

「最近、物忘れがひどい」「頭の回転が遅くなった」と感じませんか?
大人世代が気になり始める脳の衰えは、加齢とともにたまる“脳のゴミ”が原因。脳をスッキリきれいにする方法を脳神経専門医に伺いました。

教えてくれたのは…

内野勝行先生

金町駅前脳神経内科院長。脳神経の専門医
として認知症の予防に注目し、多数の診療
経験をもとに「脳のおそうじスープ」を開発。
執筆活動やテレビ出演など多方面で活躍。

記憶力や集中力の低下は脳にたまるゴミが原因⁉

大人世代になると、体だけでなく、頭も「若いころとは違う」と感じることが増えてきます。集中力が落ちたと感じたり、人の名前が思い出せなかったり。

それはもしかすると、脳の〝ゴミ〟がたまってきているのかもしれません。

脳のゴミとは、脳内でつくられる「アミロイドβ」というタンパク質のこと。「アミロイドβは脳の神経細胞を死滅させる、毒性の高いタンパク質です。通常は発生しても短時間で分解されて排出されますが、
40代くらいになると、脳にたまってきます。加齢とともに代謝や免疫力が低下し、アミロイドβの排出が追いつかなくなるからです」

実はがん細胞も1日に数千個発生していますが、若いうちは免疫力が働いて排除されます。しかし、加齢とともに免疫力が低下。やがて排除しきれなかったがん細胞がかたまりを形成し、「がん」を発症するといいます。アミロイドβの場合は、15年20年という長い年月をかけて脳に蓄積し、脳の神経細胞を変性させます。その結果、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられています。
 
ただし、物忘れや記憶力の低下は、更年期障害や甲状腺機能低下症、がんなどの病気でも起こることがあります。誰かに指摘されるほど、物忘れが急に現れたり、増えてきたりした場合は、医療機関
を受診して原因を確かめておいたほうがよいでしょう。


必要なのは脳トレより脳の〝おそうじ習慣〟

〝脳のゴミ〟による衰えを防ぐには、やはり脳トレをしたほうがいいのでしょうか?

「好きでもない脳トレをわざわざ時間をかけてやるよりも、ふだんの生活のなかで〝脳のおそうじ習慣〟を取り入れていくのがいいと思いますね」

脳のゴミを増やす最大の要因は加齢ですが、それに加えて間違った生活習慣を続けていると、体にもともと備わっているアミロイドβの分解や排出の機能を妨げ、脳にたまりやすくなるそう。

「そこで生活習慣を改善して、アミロイドβを分解・排出しやすくし、ためにくくする。そういうふうに体の中を整えてあげることが大切になります」

「ゴミ」のたまり方と脳神経細胞の変化

脳のゴミであるアミロイドβがたまり始めるのは40 代から。アミロイドβが脳に蓄積すると、神経細胞が変性し、認知機能の低下や脳の萎縮を招きます。


あなたの認知機能は大丈夫? セルフチェックリスト

以前と比べて変わったところにチェックを入れます。家族以外の
第三者に聞いてみたり、人から指摘されたことなども参考に。

□ 体を動かしたり、他人と会ったりするのが億劫
□ 数分~数十分前に会った人の顔や名前を思い出せない
□ テレビを観て笑ったり泣いたりすることがなくなった
□ ちょっとしたことでもイライラする、怒りを感じる
□ 思ったことをそのまま口にしてしまう、暴言を吐いてしまう
□ わけもなく気分が沈むことが多い
□ 同じことを何度も言うと指摘される
□ 料理を焦がしたり、洗濯ものを取り込み忘れるなど、家事での失敗が増えた
□ 部屋の整理整頓ができなくなった
□ 会話の内容が理解できないことが多い
□ 話したいことが言葉にできないことが多い
□ 病院の予約、旅の準備などの段取りがうまくできない

結 果
●チェックが2個以下
今のところ心配ない、と考えられます。今の生活スタイルを維持して。

●チェックが3~9個
認知機能が少し低下している可能性あり。運動したり、積極的に外出するなどして、脳を刺激するような活動を。

●チェックが10個以上
認知機能が低くなっている可能性大。物忘れがひどいようなら専門機関を受診して。


脳によい食品を選んでゴミの排出をサポート

 体にはもともとアミロイドβを分解・排出する機能が備わっています。ところが、高血糖や血糖値の乱高下があると、その機能が阻害されて、アミロイドβがたまりやすくなります。 これを防ぐには〝白い色の糖質〟を避けること。特に空腹時の甘いお菓子や清涼飲料水はやめましょう。食物繊維の豊富な食品を積極的にとるのも◎。血糖値の上昇を緩やかにするうえ、腸内環境を整えるのにも役立ちます。

「サプリメントもありますが、自然の食品からとるのがおすすめ。食品中のさまざまな成分が互いに作用しあって、体の中をよい方向へ整えてくれます」 さらに最近の研究で、脳の海馬の神経細胞が「かむ」ことで再生することがわかってきたそう。「歯槽骨から出ている神経が、海馬周辺に直接つながっているので、かむことで海馬が刺激されるのではないかと考えられています。食べるときは、よくかむことを意識してください」

食生活の4つのポイント

1. 「高血糖」や「血糖値の乱高下」を防ぐ
高血糖や血糖値の乱高下があると、インスリン分泌が増え、アミロイドβの分解を妨げます。お菓子やジャンクフード、ジュース、精製された炭水化物のとりすぎに要注意。

2. 活性酸素を除去する食材をとる
活性酸素はアミロイドβを、アミロイドβは活性酸素を増やすよう作用します。その結果、両者が増えるという悪循環に。抗酸化作用のある色の濃い野菜や果物を積極的にとって。

3. 血液をサラサラに
血液の流れが悪いと、アミロイドβなどのゴミをスムーズに排出できません。DHA・EPA、α-リノレン酸、食物繊維などをたくさんとって、サラサラ血液を保ちましょう。

4. 腸をきれいにする
腸は多数の免疫細胞が集まる場所。腸内環境が悪化すると免疫力が低下し、アミロイドβがたまりやすくなります。食物繊維や発酵食品を積極的にとって良好な腸内環境に


美味しく食べて、記憶力&集中力アップ!脳をきれいにする成分

脳のゴミをためないためには、まず栄養バランスのよい食事を3食きちんととること。そのうえで、脳のゴミの排出をサポートしてくれる成分を積極的にとるようにしましょう。

<毒素を取り除く成分>
活性酸素は老化を促し、アミロイドβを増やすように作用します。これを除去してくれるのが抗酸化作用のある成分です。

①ビタミンB群

葉物野菜や肉類などにに多いビタミン。活性酸素を増やすホモシステインを無毒化します。

②セサミン

ゴマに多く含まれる成分。抗酸化作用や悪玉コレステロール値の改善作用があります。

③アスタキサンチン

エビやカニ、サケ、タイの皮などに含まれる赤い色素で、高い抗酸化力をもちます。

④リコピン

トマトやスイカに含まれる赤い色素。生やジュースのほか、トマト缶を調理に使っても。

<注目の成分>
クルクミンやノビレチンは、アミロイドβの沈着や認知機能の低下を抑える効果があるとして注目されています。

①クルクミン

黄色い色素で、カレー粉に含まれるターメリック(和名:ウコン)という香辛料の主成分。

②ノビレチン

シークヮーサーなど柑橘類の皮に多い。皮ごとしぼったり、マーマレードにするのが◎。

<血液を流れやすくする成分>
血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らして、血液をサラサラに。血行をよくすることで、アミロイドβの排出を促します。

①γ-オリザノール

こめ油に多く含まれる成分。脳機能を活性化したり、コレステロール値を改善します。

②α-リノレン酸

くるみやえごま油、亜麻仁油などに豊富。血行を改善したり、血栓を防ぐ効果があります。

③DHA・EPA

青背魚に多い成分。ツナ缶やサバの水煮缶などでもOK。缶はノンオイルのものがおすすめ。

<脳の材料になる成分>
脳の神経細胞や、脳内で情報伝達にかかわる神経伝達物質の材料となる成分です。

①レシチン

卵黄や大豆に含まれる成分で、記憶力や集中力の向上をサポート。抗ストレス作用も。

②タンパク質・リン

肉や卵などの動物性タンパク質と、豆などの植物性タンパク質をバランスよくとって。


イラスト/上路ナオ子 文/寺本彩
大人のおしゃれ手帖2022年7月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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